2018年5月17日木曜日

【安全・円滑運行支える作業拠点】東京メトロ、深川車両基地を公開

 東京メトロはグループの業務・事業を幅広く情報発信する目的で実施する「メディアツアー」の一環で、東京都江東区にある「深川車両基地」を報道関係者に公開した。

 東西線を走る車両のメンテナンスなどを行う同基地のツアーでは、車両の洗浄や広告の張り替え、比較的簡易な検査を行う検車区、車体と台車を分離して車両全体の安全性などを徹底検査する工場などの各施設を見て回った。計画的に車両の保守・点検を行いながら、日々の安全・円滑運行を支えている車両基地の役割や重要性をアピールした。

 東西線車両(相互直通運転の東葉高速鉄道を含む)を専門に保守点検する深川車両基地(敷地面積約8・7ヘクタール、留置能力300両)。車両の検修計画や工程管理、入出庫・在庫管理など担う「深川車両管理所」、車両を分解して部品ごとに検査・修繕を実施する「深川工場」、運行時の状態で車両の検査・修繕を行う「深川検車区」で構成される。

 検車区では、昨年5月に新検査庫(ピット)が竣工した。規模は平屋一部3階建て延べ約5700平方メートル。東京メトロ初の空調(冷暖房)設備、台車下降装置設備を備えたピット施設となり、点検・検査の作業効率の向上、職場環境の改善を図った。自然換気システムの導入や壁面緑化、全照明設備のLED化など、省エネ化・環境保全にも配慮している。

 車両を分解せずに検査業務を行う検車区では、10日以内のサイクルで消耗品と電車の主要部分の機能などを確認する列車検査、3カ月以内のサイクルで電車の状態と機能を対象とした月検査を実施。車両の洗浄・清掃、車輪の削正、入出庫車両の運転なども行う。

 工場では、車体と台車を分離する台抜き作業後、台車・車体・機器をそれぞれ検査する。具体的には4年以内または走行距離60万キロ以内のサイクルで重要部(動力発生装置、走行装置、ブレーキ装置など)を分解・検査・修繕する重要部検査、8年以内のサイクルで車体を含めた車両全体を分解・検査・修繕する全般検査を担う。定期検査のほか、新車購入時や大規模な車両改善後の臨時検査も実施する。

 国内の鉄道路線の中でも通勤時間帯の混雑が特に激しいことで知られる東西線。東京メトロは混雑緩和や遅延防止に向けて駅ホームの大規模改良や折り返し線の整備を進めるほか、通勤時間帯を早めるキャンペーンなど、ハード・ソフト両面から対策を展開中だ。車両基地についても、多くの旅客を乗せる車両の安心・安全確保や快適空間の提供といったサービスを担い、日々の運行を支えている。

 同社関係者は「東西線の安心・安全かつ円滑な運行を支える拠点施設として、人材の確保・育成を含めて施設機能の強化・拡充に継続的に取り組む」と話している。

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