2018年5月29日火曜日

【回転窓】情報発信の本義

「建設業界だけでなく、多くの一般市民にわれわれのことを知ってもらいたい」。最近、取材活動でそうした話を耳にする機会が増えた▼個人の設計事務所など小規模な企業ほど、自社の取り組みを世に伝えたいという思いが強いようだ。かつてのような右肩上がりの成長が期待できない市場環境にあって、彼らは建築界の将来に強い危機感を持ち自らの歩むべき方向を真剣に考えている▼取材を通じ、何としても会社を存続させるという気迫と事業活動を通じて世の中に貢献するという気概を持った何人かの経営者と会った。先日出会った横浜市の建築家もその一人だ▼彼は本業の建築設計に加え、保育支援機能を持つシェアハウスの運営や待機児童解消、土地不足で新設が困難な墓地の整備に関わるコンサルティングなども手掛けていた。地域の課題を的確に捉え、建築家としての知見と技術、経営センスを生かし、課題解消に尽くしている▼会社運営と地域貢献を両立させ、それらが結果的に建築家の評価や地位の向上につながっていく。こうした草の根的な取り組みにより目を向け、情報を発信するのが大切だと痛感した。

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