成田国際空港会社などでつくる「『新しい成田空港』構想検討会」(委員長・山内弘隆一橋大学名誉教授)は14日、東京都内で会合を開き、中間まとめの骨子案を示した。既存ターミナルを集約した「ワンターミナル」を整備する計画だ。成田空港会社は新旅客ターミナルと新貨物地区の有力候補地を明らかにした。中間まとめは年度内に公表し、2023年度に詳細な検討を始めるという。
同案によると、三つある旅客ターミナルは集約型ワンターミナルとした。直行需要とともに、アジアをはじめとする3国間流動や国際線・国内線の乗り継ぎ需要を取り込み、多様なネットワークを持つ国際ハブ空港を目指す。施設は十分な取扱容量を確保しつつコンパクト化し、乗り継ぎ利便性を高めていく。
新貨物地区は土地利用規制を弾力的に活用し、空港の隣接地に整備される物流施設と一体的に運用。空港内の物流機能を補完し、効率化を図る。東アジアの貨物ハブとして、トランジット需要を取り込む。ストックセンターやパーツ発送基地といった新たな需要も創出していく。
空港アクセスの面では、鉄道やバスなどの利便性向上や周辺道路網の整備を各事業関係者らと検討する。空港内道路は信号の少ない周回型道路に再編する考えで、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)といった高規格道路との接続性を高める。
地域共生やまちづくりに関する項目も盛り込んだ。地域と空港が相互に連携して築く「エアポートシティ」の実現を目指す。関係市町と協議し、▽空港周辺への産業誘致▽空港起点の観光圏や地域に根差したコンテンツ▽地域の人が空港を訪れ、相互交流できる場所-などを検討していく。資源の地産地消にも取り組むという。
会合後、新旅客ターミナルと新貨物地区に関して田村明比古社長は「具体的な位置は検討中」とした上で、有力候補地となる大まかな位置を明かした。新旅客ターミナルの有力候補地は、第2旅客ターミナルの南側とした。C滑走路を含む3滑走路から見てほぼ中心に位置する。新貨物地区の有力候補地は、B滑走路とC滑走路の中間地点。新規に用地を取得する空港東側エリアとなる。
田村社長は「われわれが主体で検討すべきことは本年度内に進めたい」との方針を示した。道路や鉄道などの空港アクセスに関する検討は「プレーヤーが変わり、事業関係者も違う。23年度、それぞれに検討の場を設けて進めていく」との見通しだ。
同検討会は22年10月に初会合を開き、今回で5回目となる。新ターミナルの整備方針や新貨物地区の在り方などの議論を重ねてきた。具体的な検討が必要な項目が残っていることから「検討会は存続させる」(田村社長)という。
source https://www.decn.co.jp/
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