倫理学の応用分野に、現代の行動が未来世代に及ぼす影響や責任を考える「未来倫理」がある。書籍『未来倫理』(戸谷洋志著、集英社)では、たとえ自分の利益にならないとしても未来に向けて配慮すべき倫理的な指針が必要と説く▼どのような行為が影響するか予測が難しく、生きている間に未来世代から批判されることもない。「自分には関係ない」との立場を取ることはできるが、気候変動など未来世代に困難を強いる可能性が高い事柄は存在する▼災害対応もテーマの一つだろう。あすで東日本大震災から12年。「前に進んだ光の部分と難しい影の要素がある」とは内堀雅雄福島県知事の言葉▼福島第1原発事故に伴う避難指示が解除された地域で住民の帰還が進んできた。一方で若者が少なく、企業が立地しても働き手が不足する事態が生じている。「まだまだ大きな壁や山がそびえ立っている」(内堀知事)とも▼人口減少などの社会課題はインフラだけで解決できるものではないが、安心できる場所がなければ人は集まらないことも明らか。未来への責任も考えつつ、激甚化する災害に備える姿勢が求められる。
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