2023年3月31日金曜日

回転窓/記者の原点

2022年度が終わる。生活や仕事の変化を前に慌ただしい読者も多かろう▼「人に何かを伝えるときは必要十分条件ではだめで、必要十二分条件を言わなければ真意は伝わらない」。今月末退官する高知工科大学の磯部雅彦学長が、本紙の取材に語っていた▼海岸工学の第一人者で防災分野をけん引した磯部氏。土木学会が100周年を迎えた14年に会長を務め、社会へのアピールにも力を注いだ。市民の理解を得るために、より丁寧に伝える努力が不可欠との指摘は重い。すべてに通じる話で新聞社はその最たるものとなる▼記事は、ちょっとした表現で意味が変わることがある。内容を理解して、全体の構想とともに細部にまで気を配る必要があり、新米時代に何度も駄目出しされた。繰り返し取材して書いた原稿がボツとなり、取材先に謝罪した苦い経験も▼厳しく指導してくれたベテランが、きょう当社を卒業する。「読まれて初めて新聞記事になる。読み手を意識してほしい」とはHさんの言葉。当たり前だからこそ忘れてはならない記者の原点。建設産業を社会に正しく伝える一助となるため、肝に銘じ続けていきたい。

source https://www.decn.co.jp/

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