近畿地方整備局が淀川水系宇治川で進めていた「天ケ瀬ダム」(京都府宇治市)の再開発事業が完了し、12日に現地で完成式が開かれた。ダムの放流量を増やすため、トンネル式放流設備(全長617メートル)を新設した。吐き口部に近い減勢池部は断面積が約600平方メートルで国内最大級の水路トンネルという。総事業費は約660億円。2022年8月に運用を開始した。
式典は放流設備ゲート室部前の広場で行われ、国土交通省や地元の自治体、府議会、市議会の関係者、施工会社の代表ら約120人が出席した。
式辞で豊田俊郎国土交通副大臣は「再開発事業の完成によって天ケ瀬ダム下流の淀川、宇治川の治水安全度を高め、琵琶湖の水位上昇を抑制できる。引き続き流域の関係者と安全・安心な社会の実現に向けて、総合的かつ多層的な水災害対策に全力で取り組む」と述べた。
京都府の山下晃正副知事は「府民、市民の意識改革を進め、命を守る対策を進めたい」と話し、滋賀県の三日月大造知事は「ソフト・ハードの全ての対策を組み合わせ、琵琶湖、淀川の治水能力向上のために頑張りたい」と述べた。大阪府の田中清剛副知事は「流域全体の治水安全度がさらに向上し、住民の生命財産が守られ、関西の経済活動を支えるものと期待している」と吉村洋文知事の祝辞を読み上げた。
足立敏之参院議員ら来賓あいさつに続き、琵琶湖河川事務所の矢野公久所長が事業経過を報告。最後にテープカットとくす玉開披で完成を喜び合った。
天ケ瀬ダムは1964年に淀川に初めて建設されたダム。形式はドーム型アーチ式(堤高73メートル、堤頂長254メートル)。再開発事業は洪水調節機能の強化と水道用水の確保、発電能力の増強のために計画し、1998年度に工事用道路の整備に着手した。
放流設備はダム湖から水を取り込む流入部(内径28メートル×深さ50メートル)、ダムの水を流す導流部(延長339メートル、内径10・3メートル)、放流する水の量を調節するゲート室部(主ゲート・副ゲート各2門)、放流水の勢いを緩める減勢池部(延長170メートル、最大高さ約26メートル、幅約23メートル)、宇治川に放流する吐き口部(高さ14メートル)で構成。13年6月にトンネル本体工事を開始した。
ダムの放流能力は毎秒900立方メートルから1500立方メートルに増え、水道用水は新たに1日当たり5万1840立方メートルを安定的に供給する。
施工は大成建設、鹿島、大林組、飛島建設、IHIインフラシステム、日立造船らが担当した。
豊田国交副大臣
テープカット
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