2023年3月14日火曜日

四国整備局/愛媛県今治市でDXモデル工事現場で見学会開く、地域建設業が体験

地域建設業が使ってみたい最新のDX技術が集結。四国地方整備局は、日本建設業連合会(日建連)会員企業が保有するDX技術を活用した「インフラDXモデル工事(建設DX技術活用モデル工事)」の現場見学会を、10日に愛媛県今治市の国道196号今治道路の橋梁下部工を対象に開いた。配筋検査の人員と時間を大幅に削減できる自動配筋検査システムなどが導入されており、技術提供した各社の担当者が実演を交えて使用方法を紹介。四国4県の35社から約100人が参加し、DX技術の効果を体験した。
現場は同モデル工事の初弾となる「令和4年度今治道路五十嵐高架橋下部P47-P49工事」。施工を担当する白石建設工業(愛媛県)が日建連インフラ再生委員会の「建設DX事例集」から導入技術を選択。四国整備局と日建連の3者で調整し、五つの技術をマッチングさせた。
見学会の冒頭、四国整備局の濱田向啓企画部建設情報・施工高度化技術調整官は「地域の建設業が使ってみたいと思う新技術を取り入れた工事を日建連に協力してもらい実現した。担い手確保に向けた新4K(給与・休日・希望・かっこいい)につながることを期待する」とあいさつした。
現場内に各社のブースが設けられ、開発担当者らが説明に当たった。鹿島の担当者は「AI配筋検査システム」を紹介。三菱電機エンジニアリングが提供するサービスで、「ステレオカメラで撮影した画像を基にAIが配筋の検出と検査を行う。配筋の本数、間隔に加え、径を検出できるのが特徴」と説明した。
清水建設の提供技術は3眼カメラ配筋検査システム「写らく」。三つのカメラで同時に撮影した画像データから瞬時に配筋情報を算出し検査帳票を作成する。2022年にカナモトがレンタルを開始した。清水建設の開発担当は「当たり前になくては困るものに育ってほしい。もっと早くもっと小さくしたものを近くリリースしたい」とPRした。
三井住友建設の担当者は、日立ソリューションズと共同開発した鉄筋出来形自動計測システム「ラクカメラ」を披露。「スマートフォンやタブレット端末などの機器で自動計測できるようになるのをゴールに開発を進めている」と意欲を語った。
不動テトラの担当者は3Dレーザースキャナーにより構造物の出来形形状を計測し、取得した3D点群データを用いて出来形管理を実施する手順を紹介。VR(仮想現実)による安全教育訓練を支援する淺沼組の担当者は「施工前に安全教育訓練を行うことで事前に危険箇所の発見や対策が可能。施工イメージを深めることで施工効率の上昇、手戻り作業防止になる」とメリットを説明した。
日建連の大野昌仁常務執行役は「現場にDXを実装するには技術への理解や情報共有、発注者の理解、技術者育成、コストの問題といろいろある。これらの課題に対応するため事例集をまとめた。いち早く反応したのが四国整備局で、全国に先駆けたモデル工事の立ち上げとなった」と話す。
白石建設工業の白石尚寛社長は「まだまだわれわれのような中小企業では自社のみでDXを実践していくのは難しい。今回の取り組みで技術の進化を実感できた。かっこいい、わくわくする建設業を四国全体でつくっていける大きな一つのきっかけになれば」と期待を込めた。使用技術の選定に協力した四国建設青年会議の越智雅一会長は「さまざまな地域で展開し、新4K実現で魅力ある業界にしたい」と展望を語った。
見学会には多くの若手技術者が参加した。県西土木(徳島県)の施工管理担当は「配筋検査システムが社内に1台か2台あれば助かる。水路の鉄筋など小規模工事にも使える。VRによる安全教育も導入してみたい」と感想を話した。入社1年目の白石建設工業の女性職員は「就職するまでDX技術を全然知らなかった。導入されると女性にとっても働きやすくなる」と目を輝かせた。
モデル工事の実現に奔走した四国整備局の水野匡洋企画部技術管理課長補佐は「さまざまな感想をお持ちだと思うが、感想を持ってもらうことが生産性向上につながる一歩。次年度、こうした取り組みを他県に拡大しながらやっていきたい」と話した。

日建連会員企業の担当者らが自動配筋検査システムなどを実演=10日、愛媛県今治市で

source https://www.decn.co.jp/

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