2023年3月29日水曜日

鉄道各社の展望-開業150年-/東急/鉄道と都市開発の両輪で事業強化

 東急は2022年9月に創立100周年を迎えた。今月18日には東横線と相模鉄道を結ぶ「新横浜線」が開業。初の東海道新幹線との接続を実現し、利便性を一層高めた。沿線を中心とした都市開発事業にも力を注いでいる。本拠地の渋谷では「100年に一度」とも言われる再開発を推進。駅周辺にオフィスや商業施設が入る超高層ビルを整備し、多様な来街者を呼び込む街づくりを仕掛けている。
 新横浜線は羽沢横浜国大駅~日吉駅間をつなぐ約10キロの新路線だ。神奈川県央部から東京都心部まで乗り換えずに移動でき、所要時間の短縮も実現。相鉄湘南台駅~東京メトロ副都心線新宿三丁目駅間を最速59分、相鉄海老名駅~都営三田線大手町駅間を同70分で結ぶ。新駅として整備した「新横浜駅」は、東急にとって初の東海道新幹線への乗換駅となる。関西方面へのアクセスが大幅に改善され、沿線からの利用者増加にも期待がかかる。
 鉄道とともに事業基盤を支えるのが都市開発事業だ。渋谷駅の周辺では12年に開業した「渋谷ヒカリエ」を皮切りに、「渋谷ストリーム」(18年開業)、「渋谷スクランブルスクエア東棟」(19年開業)といった高さ180メートル超の複合ビルを続々と完成させた。駅直結のビルにオフィスや商業施設を設け、来街者の増加と鉄道利用者の取り込みを図った。
 23年度以降も大規模プロジェクトが控える。ヒカリエに隣接する「渋谷二丁目17地区」では、延べ約4・4万平方メートルの再開発ビルが24年度に完成する予定だ。駅周辺に不足する屋外広場を設け、来街者の滞留空間にする。東急百貨店東横店の跡地に建設中の「渋谷スクランブルスクエア中央・西棟」も27年度の開業を目指している。先行開業した東棟と合わせると、オフィスの貸し床面積は約7・3万平方メートル、商業施設の営業面積は約7・2万平方メートルとなり、駅周辺で最大級の複合施設になる。
 新宿・歌舞伎町では、14年に閉館した旧新宿ミラノ座の跡地に建設した複合施設「東急歌舞伎町タワー」が4月14日に開業する。「好きを極める場」をコンセプトに劇場や映画館、ライブホール、ホテルなどエンターテインメント要素に特化した用途構成が特徴。回復傾向にあるインバウンド需要の取り込みも視野に、歌舞伎町の新たなランドマークを目指す。
 東急担当者は施設について「集客に向けた施策を定期的に打っていき、世界へ向けた新たな都市観光の拠点を目指す」としており、ソフト面からのにぎわいづくりも積極的に仕掛けていく考えだ。開業時には人気アニメ「エヴァンゲリオン」とのコラボレーションを実施。作品の上映や舞台公演、ライブなどビル全体で関連企画を展開し、ファンらを呼び込む。
 ハード面だけでなく、ソフト面からも沿線の魅力の底上げを図っている。田園都市線沿線では、生活者を起点とした街づくりとして「nexus(ネクサス)構想」と題した取り組みを昨年スタートした。農業やエネルギーなど持続可能性をテーマに実証を展開し、地域単位で社会課題や環境問題を解決する郊外沿線の新モデル構築を目指す。 =おわり
 (編集部・林慶彦〈現九州支社〉、小堀太暉、若松宏史、木全真平、沢口誠、遠藤剛司)



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