ただより高いものはない-。無料や無償なものも、後になって相応の出費や要求が伴うことを意味し、世の中はそれほど都合が良くできていないという戒めの言葉でもある▼少しでも安く購入し、利用したい消費者心理からすると、ただほど安いものはない。しかし、モノやサービスを得る際の価格には、品質や性能など享受できる価値が含まれる▼安全・安心や便利・快適さも、ただでは手に入らない。先週末、首都圏の鉄道各社が運賃を一斉に引き上げた。コロナ禍で旅客需要が減少する中、安全輸送やバリアフリー対応への投資増が背景にある。近畿圏などでも値上げを順次実施する予定だ▼日々の暮らしや経済活動を支える公共インフラ・サービスの恩恵は、税収などで成り立っている。限りある予算をどう配分するか。必需が増せば、財源確保で難しい判断が迫られる▼少子化対策で医療費や教育費など家庭の負担を抑える無償化の取り組みに理解はしつつも、別のどこかにつけが回っては問題だろう。防災・減災、国土強靱化、経済・安全保障など、喫緊の課題は増えるばかり。先を見据えた政策論議が問われている。
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