国土交通省は2023年度からの5カ年を対象とする「電気通信技術ビジョン」を策定した。インフラ管理の高度化や防災・減災につながる電気通信分野の技術開発や技術導入の方向性を提示。優先的に取り組むテーマとして、急速に発展する「情報通信」「センサー」「AI」の三つを挙げた。既存の通信基盤を強化するとともに、衛星コンステレーション(多数の小型衛星が連携して情報収集する衛星網)などと連携し災害時の迂回(うかい)路を確保する「次世代統合ネットワーク」の構築を目指す。 国交省は河川や道路の管理用に光ファイバーを敷設し、自営の通信網を保有している。特に災害時は映像による確認やテレビ会議が標準となり、通信回線の信頼性向上や大容量通信への対応が求められる。 衛星コンステレーションなど外部通信と連携し、新たな通信経路制御技術も導入。柔軟に自動迂回できる通信網の高度運用を目指す。地方自治体との相互接続や災害時の住民利用などを視野に入れた「共通プラットフォーム」の構築も推進する。 流域治水の実現に必要な技術的要素の一つとして、高性能センサーを用いて対象地域を面的に管理する技術検証に当たる。直轄施設の管理エリアにとどまらず民地も含めた広域的な被災情報の収集などを可能とする。ローカル5Gを活用した被災現場の臨時回線の確保などで機動性の高い防災通信を実現する。 AIで危険事象などを検知する技術は、車両検知以外にも土砂崩落や浸水・越水、不正侵入などに利活用対象を拡大する。映像やセンサーを組み合わせるなどしてAI検知技術の精度向上などを目指す。AI技術などを活用したインフラ管理の遠隔化・自動化にも取り組む。 これ以外にDXとGX(グリーントランスフォーメーション)を目指した技術開発も強化。BIM/CIMデータなどを日常的に利活用できる通信環境を構築したり、省エネルギー型の電気通信施設を展開したりする。
次世代統合ネットワークのイメージ (国交省資料から)source https://www.decn.co.jp/
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