2023年3月27日月曜日

回転窓/橋の魅力に引かれて

詩人の高田敏子さん(1914~89年)は川に架かる橋の姿を見るのが好きだった。橋の持つあるさびしさと、美しさに引かれる自分の心を見つめて出来た詩がある▼〈橋は聞いている 川の声を ひととき 車のとだえたときに〉(「橋」の一節から)。通過する人のためにひとときでも役立つ力になることを、喜びとする心を橋は教えてくれるのだという(『高田敏子 暮らしの中の詩』河出書房新社)▼かたちの美しさに加え、つなぐ、架ける、支えるといった役割が、人々のさまざまな思いやストーリーに重なる。橋の魅力であろう▼詩や絵画などにも描かれるインフラだが、健全な状態に保たれてこそ本来の役目を果たしていける。国土強靱化の観点からも必要なのが、不具合が生じる前から計画的に修繕する予防保全型メンテナンスへの転換だ。持続可能なストックとしていくことが急がれる▼高田さんはこうもつづっている。日常生活の中でふと目に留まるもの、心引かれて見つめるものがあり、折々にその姿を思い浮かべてみることで、何か生きる力になることを教えられると。身近なインフラにもっと目を向けたい。

source https://www.decn.co.jp/

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