2023年3月28日火曜日

国交省/民間発注者の意識浸透を、大手対象に初の取引実態調査実施

国土交通省は民間工事の発注者から直近の取引実態を聴取するモニタリング調査の結果を公表した。大手企業の発注・契約担当者を対象に、適正な請負代金や工期を見込んだ契約締結、契約変更の実施状況を確認。物価などの変動に基づく契約変更条項がないケースが26%、工期設定で長時間労働の是正や週休2日を考慮していないケースが24%あるなど、改善が必要な実態がいくつか明らかになった。国交省は来年度以降も調査を継続し、適切な対応が現場レベルで浸透するよう働き掛けていく考えだ。
モニタリング調査では本省や地方整備局の職員が個別企業の担当者に取引実態を直接ヒアリングする。元請企業の支店・営業所などが従来の調査対象だったが、昨年8月から民間発注者も新たに加えた。調査件数は全国各地の49カ所(1社で複数箇所を含む)。デベロッパーを中心に電力、鉄道、小売りなどの業界から選定し、本店・支店の発注・契約担当部署に出向いた。
受注者と物価上昇を織り込んだ総価契約で合意していることを理由に、請負契約書に民間工事標準請負契約約款で規定する契約変更条項が含まれない事例が一部あった。同条項の規定がなくても「申し出があれば協議する」という例外もあるが、国交省は契約時の適正な対応として民間約款の活用を呼び掛ける。
実際の契約額変更の申し出は65%にとどまる。発注者の肌感覚として申し出が増えているという声がある一方、自社の価格調査を踏まえ申し出を予想しつつも待ちの姿勢を見せる企業もある。公正取引委員会の独占禁止法に関する見解を踏まえ、発注者から積極的に協議の場を持つことが求められる。
工期設定は全調査対象で受注者との協議・調整を前提としていた。必ずしも短工期を求める姿勢だけでなく、「ゼネコン提案の工期が短い場合は理由の説明を求めている」「品質の確保を考えると工期短縮という考えはない」という意見もあった。受注者から工程に遅れを生じさせる事象の報告を受けた場合、工期変更を受け入れないことが多いとの回答は9%。エンドユーザーに影響しなければ柔軟に対応する傾向があり、余裕を持った事業計画の重要性が高いと言えそうだ。


source https://www.decn.co.jp/

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