2023年3月23日木曜日

記者手帖/親孝行したい時には親はなし

先日、父親の十三回忌の法要で数年ぶりに実家に帰省した。思い返せば父親が亡くなったのは東日本大震災の約2週間後。世の中も社内の業務も慌ただしい中で会社を休むことは心苦しかったが、こればかりはどうしようもなかった。葬儀後もこまごましたことで忙しかったことを覚えている◆実家にはしばらく母親が1人で住んでいたが、高齢で心配なこともあって、施設にお世話になることになった。盆と正月は帰省し面会するようにしていたが、コロナ禍で面会が禁止に。高齢者を預かる施設として当然の決断だが帰省の意味を失い、実家からも足が遠のいていた◆感染症の状況が落ち着いたこともあり、先日の帰省時わずか5分だったが対面で面会することができた。もしかしたら私の顔を覚えていないのではないか、と少し緊張したが杞憂(きゆう)に終わった。久しぶりに会う母親は1人暮らしの時よりも肌つやもよくふっくらしていた。三度の食事もおいしいそうで安心した◆いま考えると、父親にはたいした親孝行ができなかった。母親には「親孝行したい時には親はなし」とならないようにしなければ。久しぶりの故郷で改めてそう誓った。(川)
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