2018年10月3日水曜日

【回転窓】禹王の治水に学ぶ

香川県に治水の歴史を伝える菓子の特産品がある。商品名〈大禹謨(だいうぼ)〉。高松市の菓子製造販売会社「かねすえ」が地域の恩人に敬意を払うために作ったという人気の和菓子である▼〈大禹謨〉は栗林公園内に立つ石碑の文字と同じ。江戸時代に暴れ川であった香東川を改修した西嶋八兵衛が、「治水の神」とあがめられる古代中国、夏王朝の祖「禹王」にあやかり、治水の安全を願い建立した碑と伝えられる▼同様に禹王の名を記した治水碑は国内各地に残る。10年からゆかりの地で「禹王サミット」も開かれているが、治水を巡る史実に畏敬の念を込めて商品化された菓子は全国でも珍しいと言えよう▼日本列島を縦断した台風24号は、記録的な暴風雨で広範囲に被害をもたらした。緊急時にいち早く適切な行動を取るためにも、それぞれの土地に刻まれた災害の歴史を知っておきたい▼〈近年の巨大災害を受けて原点回帰の禹王の治水の意義が見直されてきている〉と指摘するのは竹林征三富士常葉大名誉教授。その意義については本紙に連載中の「明治維新150年と治水の歴史」で解説してくれるに違いない。

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