2018年10月31日水曜日

【回転窓】川の歴史伝える童歌と絵馬

〈…ここはどこよと船頭さんに聞けば ここは危ない天神が滝よ いうと間もなくお舟は割れて 姉は流れる妹は沈む〉。山梨県にこうした童歌が伝わると、関東地方整備局甲府河川国道事務所のホームページで知った▼日本三大急流の一つ富士川で、舟運の難所であった「天神の滝」。水面に突き出た巨岩の下流が滝のようになっていたようで、先の童歌は姉妹が舟とともに沈んだ悲しい出来事を歌ったものという▼神社や寺に奉納された絵馬からも川の歴史を学べる。改修工事などの完成を機に奉納されたものも多く、「天神の滝」でも巨岩を取り除く人々の労苦をうかがえる絵馬が納められた▼今月20日からさいたま市の埼玉県立歴史と民俗の博物館で始まった特別展「ダムと変わる!私たちの暮らし」には、明治時代に大洪水で決壊した利根川堤防の修復工事竣工を記念した絵馬などが展示されている。地域の代表者や世話人、作業に従事した人たちの名前も記され、地域にとっていかに重要な工事であったかが分かる▼童歌や絵馬からその土地と川の関わりを知る。これも次代を担う子供たちへの大切な教育になろう。

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