深夜の渋谷で大規模架設工事が行われた |
国土交通省関東地方整備局東京国道事務所が東京・渋谷駅前で進めている「国道246号渋谷駅東口歩道橋架替工事」が大詰めを迎えている。工場で製作した箱桁ブロックを現地で連結させて歩行者デッキを構築しており、9月23日深夜から24日早朝にかけて、最後の大型ブロックが据え付けられた。施工完了箇所から段階的に通行が開始されており、併せて旧歩道橋の撤去も進めていく。本年度末には、より快適な歩行空間として生まれ変わる予定だ。
工事場所は東京都渋谷区渋谷2。構造形式は、鋼5径間連続鋼床版箱桁ラーメン橋で、総延長は191メートル。標準幅員は6メートルで、最も広い部分は7メートルとなる。デッキ部分の面積は、従前の1094平方メートルから1700平方メートルに大幅に拡大する。施工は、東急建設・JFEエンジニアリングJVが担当している。
最後の架設作業は、渋谷駅前の明治通りを通行止めにして実施された。同事務所職員のほか、東急建設JVと協力会社らの約150人が作業に当たった。
翌朝5時までに通行止めを解除しなければならないため、同事務所計画課の田村貴事業対策官は、「東西の交通量が多く、歩行者も多いので、安全に留意しつつ、限られた時間で確実に作業を進める」と語った。
今回架設した箱桁ブロックは、長さ約22メートル、幅約7・2メートルという大きさで、重さは約41・4トンになる。今回の歩道橋は、単純な長方形ではなく湾曲した形状になっており、傾斜も付いている。大型ブロックを架設すると、たわみやよじれが生じてしまうため、それも加味した上で接合させなければならない。
午前0時50分ころ、大型台車による搬入作業が完了。その後、仮固定するための器具「セッティングビーム」を取り付けてから、200トンつりのクレーンで慎重に架設作業を進めた。少しつり上げて角度を調整してから、ゆっくりと持ち上げて、所定の位置に落とし込んでいった。それから高所作業車に乗った作業員が、約900本のボルトを順次固定していった。午前4時までには仮固定作業が完了。予定よりも早い午前4時半に通行止めを解除した。
東急建設JVの山田雅彦所長は、「設置済みの部分との隙間は1センチしかなかった。無事に接合できて安堵(あんど)している」と語った。メインの部分は出来上がってきたが、階段やスロープの設置作業などはこれからも続く。「全員が同じ方向を向くようにコミュニケーションを取りながら、安全に施工して完成を目指したい」と抱負を述べた。
同工事を担当する東京国道事務所工務第一課の梶原ちえみ課長は、「大規模な架設は最後となるが、引き続き気を抜かないで進めていきたい」と語った。
同事務所は、国道246号渋谷駅周辺整備事業の一環として、渋谷駅前の東西で歩道橋を再整備する工事を展開している。東口が先行しており、年内には西口でも工事が始まる予定だ。
□SNSで実況中継、ダイナミックな作業PR□
同事務所では、PR活動にも力を入れている。今回の架設作業では、SNS(インターネット交流サイト)のツイッターで随時、作業状況などを投稿していった。同事務所の梶原課長は「夜間にどのような工事が行われているのか、多くの方に知ってほしい」と狙いを話す。
紹介する作業や内容などを事前にある程度固めておいて、そのシナリオに沿って、若手職員が写真や動画を投稿していった。「一般の方が見ることができない作業や重機の細部などを発信する」(計画課の藤原愛里さん)ことや、「言葉も写真も分かりやすさを重視する」(交通対策課の下平幸英さん)といった点を心掛けたという。
定点カメラを設置して、動画投稿サイトのユーストリームによる生中継も行った。「(箱桁ブロックが接合されて)おーはまった。すげー。」「お見事でした。おやすみなさい」などのコメントが、視聴者から寄せられた。
ダイナミックな工事を一目見ようと一般市民も集まり、周辺から作業を見守った。「迫力があってすごい!」「一大イベントだと思う。いろんな人が見ることができた方がいい」といった声が上がった。
同事務所では、通行者向けの案内看板にQRコードを掲載して、過去の架設作業の動画をインターネット上で見てもらう試みも始めている。同事務所の井上圭介所長は、「夜間施工などの仕事を『見える化』することで、正しい理解の促進や技術者のモチベーション向上につなげたい」と話している。
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