2018年10月30日火曜日

【回転窓】慣用句と意思疎通

檄(げき)を飛ばすという慣用句を「元気のない者に刺激を与えて活気づける」の意味で使っている人が多いが、本来は「自分の主張や考えを広く人々に知らせて同意を求める」ときに使うのが正しい用法だ▼会話や文章で定型句として用いられる慣用句。記事でも端的に言いたいことを伝えたいときや文章にメリハリを付けたいときなどに多用しているが、受け手側が本来の意味で理解していなかったら意思疎通は図られない▼「檄を飛ばす」の場合、本来の意味で理解している人は22・1%に過ぎず、激励といった意味で受け止める人が67・4%を占める(文化庁の17年度「国語に関する世論調査」結果)▼3分の2の人がそのように理解している慣用句を「本来の意味」で使っても、広く正しくは伝わらない。言葉や言い回しの意味を発信者と受信者が相違して理解していたら、会話が成立しないどころかトラブルのもとにもなりかねない▼借金をなし崩しにする、と言われた場合に、「なかったものにする」と捉える人がやはり3分の2近くいたが(同調査)、本来は「少しずつ返していく」と言う意味なのでお間違いなく。

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