2018年10月18日木曜日

【回転窓】危機管理のプロに学ぶ

「世間の耳目を集めた警備事案で陣頭指揮を執られ、危機管理のプロとして大いに活躍された」-。今月10日に死去した初代内閣安全保障室長で評論家の佐々淳行氏を悼み、菅義偉官房長官が記者会見で述べた言葉である▼警察庁時代に東大安田講堂事件やあさま山荘事件などの現場で指揮を執った。退官後は危機管理に関わる評論や執筆活動で活躍し、7年前、本紙インタビュー連載「国のかたちを考える」にも登場いただいた(11年10月24日付)▼自然災害などの緊急時は前例にとらわれず、最も適した制度や組織を迅速、有効に活用して対処する。そして頻発する異常な集中豪雨に対応できる都市の新しい水害対策を急ぐ。インタビューで指摘したこれらのことがいかに重要かは論をまたない▼〈陣頭指揮〉に対する考えが自著に書かれている。多くのリーダー、それも力のある人ほど陣頭の場所を間違えて最前線に出たがるが、〈これでは組織体としての情報対応など、さまざまな弊害があって一利なし〉。個々の力を最大限に引き出せてこその陣頭であろう▼佐々氏の著作を読み返し、危機管理の在り方を改めて学びたい。

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