2018年10月29日月曜日

【世界の建築文化発展に寄与】文化功労者に建築家・伊東豊雄氏、11月5日に顕彰式

 政府は26日、18年度の文化勲章を5人に贈ることを決め、文化功労者に20人を選定した。文化功労者の一人に建築家の伊東豊雄氏(77)が選ばれた。

 独自性のある建築作品の数々が日本の現代建築の発展に大きく寄与。日本の現代建築を広く海外に認知させ、世界の建築文化の発展にも貢献してきたことが高く評価された。文化勲章の親授式は11月3日に皇居で、文化功労者の顕彰式は同5日に東京都内のホテルで行われる。

□「人と人がつながる建築をつくる」□


 「国内外で手掛けてきた仕事を認めていただいて光栄に思う」。文化功労者に選ばれた建築家の伊東豊雄氏はこう喜びを語った。

 1965年に東大工学部建築学科を卒業後、菊竹清訓建築設計事務所に勤務。71年にアーバンロボット(現伊東豊雄建築設計事務所)を設立した。

 90年代に入り代表作となる「せんだいメディアテーク」(仙台市)を手掛けた。6枚の床と曲線形状の13本の鉄骨独立シャフトによる梁のない構造で表現した作品は国内外から高い評価を集めた。

 日本芸術院賞、王立英国建築家協会のロイヤルゴールドメダル、高松宮殿下記念世界文化賞と国内外の賞を総なめに。2013年に「建築界のノーベル賞」と評されるプリツカー賞も受賞した。

 これまでの作品の共通項は「人と自然を、建築を介してどう結ぶか」と振り返る。11年に東北の太平洋沿部を襲った東日本大震災で被災した人々を見て、建築を通じて「人と人のつながり」をつくるという意識を強く持った。「失われたコミュニティーのつながりを回復することが私の建築のテーマになった」と話す。

 今の建築家を「近代主義思想に基づくモダニズム建築の考え方を脱却できず、新しい思想で作品を作っている人が少なくない」と感じている。それだけに「もっと違う発想からつくってほしい。そのお手伝いをしたい」という思いが胸の内にある。

 作品を世に送り出すのはもちろん、「東北で被災した人々が集まるコミュニティーの場『みんなの家』を若者たちとともにつくった」活動を広げることにも心血を注ぐ。

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