2018年10月11日木曜日

【回転窓】行基生誕1350年

奈良・東大寺の大仏殿建立に尽力した名僧行基。橋の建設や貯水池の掘削など土木事業でも数多くの実績を後世に残している▼土木学会が今年発売した「土木偉人かるた」にも登場。18年は行基の生誕1350年に当たり、ゆかりのある喜光寺らが、20日に奈良公園(奈良市)で「行基さん大感謝祭」を開く。行基の実像に迫り、広く知ってもらうことが狙いという▼行基の偉業をモチーフにしたスタンプラリーや、土木の体験教室などを行うそう。来年度以降も開催することを目指しており、クラウドファンディングで運営資金を集める取り組みで協力を募っている▼建設省(現国土交通省)で河川局長などを務めた尾田栄章氏の著書『行基と長屋王の時代』(発行・現代企画室)によると、地域全体を視野に入れて、河川の特徴を生かした水資源開発に取り組んだ。技術者集団を結成し治水事業も推進した▼洪水と渇水に苦しむ地域に水を安定供給し、地域を発展させていく。技術力とともに熱意や信念がなければ実現できない。今の時代の為政者や技術者にも求められる素養だろう。先達を参考に将来を考える機会にしたい。

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