「みまなさに だじいな おらしせ」で始まる広告のキャッチコピーがネットニュースなどで話題を呼んだ。富山県の和菓子店が看板商品のどら焼きのリニューアルを告知するためにとった広告戦略で、売り上げと認知度の両方が一気に高まった▼文字が入れ替わっていても補正して文章を読むことができる人間の認知の特性を逆手に取ったこの広告キャンペーンは大成功を収め、10日間で5万9200個の売り上げがあったという▼文字が並べ替わっていてもその文章を読めてしまうのは、われわれの脳が文章に含まれる単語を一つの集合として視覚的に認識しているためで、「タイポグリセミア現象」と呼ばれる▼この現象、人間の脳のだまされやすさを象徴しているともいえるが、編集業務とりわけ校正作業の担当者にとっては厄介な存在だ。すんなり読めていたはずだったのに活字になった段階で誤りに気付くという落とし穴のような現象だからである▼文字を扱う出版・印刷業界に先駆けて証券・金融業界では文章校正に人工知能(AI)を活用する事例が広がりつつあるようだ。AIなら冒頭の文書をどう読むのだろう。
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