◇職長目指し日々奮闘◇
食品業界に身を置き、40代後半になって一念発起、会社を辞めて建設業の道に進んだのが2年前だった。
建設会社で働く2人の息子に感化された面もあるが、デスクワークよりも自分の性に合っていると、体を動かして働くものづくりの仕事に就くことを考えた。
地元のポリテクセンターで転職者向けに技能を教える半年間に及ぶ建築関係のコースを受講していた。途中で土木関係の技能習得と資格取得に無料で挑戦できる厚生労働省の建設労働者緊急育成支援事業(建設業振興基金受託)を知り、「年齢的にも建築より土木だろう」と考え、方向転換した。
研修を終えて就職したのは、宮城県東松島市を拠点にとび・土工工事を手掛けるカメヤ(亀谷伸社長)。土工をメインに現場で日々汗を流す。
研修で一定の知識や技能を習得したといっても、建設はこれまでとは全く畑違いの仕事だ。現場で日常飛び交う言葉も分からず、「今から◯◯やるよ」と言われても、何のことを指しているのか理解できずにいた。
それでも戸惑ってばかりはいられない。「持ってくるよう指示された工具を間違えていては仕事にならない」。素直に分からない言葉が出てくれば、確認しながら一つ一つ覚えていくしかない。現場には年下の先輩職人も多いが、それでも「快く自分を受け入れて対応してくれた」と感謝している。
◇現場経験積みながら職長目指し日々奮闘◇
建設はマニュアルのない世界でもある。作業の段取りも1人でやろうとすると、「まだ分からないこともある」。引き続き、分からないことはその都度確認しながら、効率よく仕事が進められるようにしたいと自分を奮い立たせている。
仕事に真正面から向き合い、まじめに働く姿を会社も評価。亀谷社長も「いずれは職長に」と期待を掛けている。今は建築、土木とさまざまな現場を踏むことで経験値を重ねている状況だが、自身としても「仕事を任され、入職してきた人たちに教える存在になれたら」と思っている。
ただいま50歳。職長になるために必要な1級技能検定などの資格取得に向け、受験条件となる現場経験を積むことに注力していきたい考えだ。
仙台市内のマンションの建設現場では、元請の山一地所(仙台市泉区、渡部洋平社長)の指示も受けながら、コンクリートの打設作業などに従事した。「元請の指示を的確に、そして丁寧な仕事で現場を完成しなければ」。そんな思いを胸に抱き、きょうも現場に立ち続ける。
(おおとも・ただし)
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