2018年10月4日木曜日

【回転窓】「引退」の美学

最近世間をにぎわすキーワードに「引退」が思い浮かぶ。芸能界やスポーツ界などから、一時代を築いた実力者が相次いで表舞台から退いている▼進退を決した理由は異なるのだろうが、これからも活躍が期待されていた中での引退劇に周囲からは現役続行や慰留を求める声が聞かれる▼業界問わず、引き際は本人が自らの意思で決断するケースが多く、絶頂期に突然引退したり、体力の衰えや成績低迷などに屈せず現役を貫き通したり、それぞれの美学が見られる。一方で本心とは別に、周囲からの有形無形の圧力によって引退を決断せざる得ない場合もある▼高齢化社会の進展や人手不足の深刻化などにより、生産年齢人口(18~65歳)に関する考え方も変わりつつある。少子化で若年世代の人材獲得競争が激化する中、企業側は再雇用や定年延長などにより、労働力の維持・確保に努める▼2日に発足した第4次安倍改造内閣の平均年齢は63・4歳。当選回数の多い「入閣待機組」の積極登用が目立った。個人や組織の能力を年齢や経験数だけで軽々に判断できないが、幅広い年齢層の人が活躍できる環境整備が求められている。

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