2022年6月10日金曜日

日本M&Aセンター/建設業のM&A積極支援、成長戦略の有効な手段に

 中小企業らのM&A(企業合併・買収)仲介などを手掛ける日本M&Aセンター(東京都千代田区、三宅卓社長)が建設業での展開に力を入れている。建設業の取り扱いが増加しており、業種別でも最多となっている。後継者不在による事業承継を要因とするケースが約6割と多いものの、人材・資機材の確保につなげたり、大手傘下に入って成長を狙ったりするケースも増えている。生産性や競争力を高める手段として注目されており、同社はさらに増加するとみる。
 同社の年間成約実績によると、2017年に50件弱だった建設業界でのM&Aが、19年に100件を超え、21年には17年比で約2・5倍に増えた=グラフ参照。21年の譲渡企業の業種別内訳では、建設業が最多で23・1%を占めた。
 同社が手掛ける建設業のM&Aは事業承継型が多いが、スケールメリットを生み出すようなケースも目立つという。
 重機や設備が必要な建設会社が同業・類似業種と業界再編を狙いにM&Aを行い、仕入れのコストダウンや重機の稼働率を上げて、経営効率を高める事例などがある。
 資機材の効率的な調達やグループ一括採用による人材確保につなげる成長戦略型の事例も出ている。同社の業種特化事業部業界再編部の前川拓哉シニアチーフは「生産性向上やスケールメリットを生かす有効な手段として理解されてきたため広がっている」との認識を示す。
 例えば事業エリアを広げようと自社単独で進出する場合、事務所を設置して人員を配置したり許認可を取得したりする必要があり、求める効果を発現するまでに数年の期間を要するケースもある。拠点があって人材がいる企業とM&Aを行い効率的に事業展開できれば、譲り受ける企業と譲渡企業の双方にとって大きなメリットになる。中小・中堅企業の若手経営者が大手企業の傘下入りを決断し、自身が引き続き社長を務めながら成長を狙うケースもある。
 前川氏は「何を目指すのかという目的が重要だ」と指摘し、「目的のために補完するピースを当てはめていく企業連合のような捉え方が正しい。自社単独では難しい場合に、スピード感を持って幅広く生産性を向上していけるのがM&Aのメリットだ」と説く。中小・中堅建設会社やゼネコンの協力会社などを含めて、M&Aの潜在的なニーズは高いとみており「培ってきたデータや知見を生かしてサポートしたい」と話す。



source https://www.decn.co.jp/?p=143352

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