2022年6月24日金曜日

首都高技術センター/鋼床版の亀裂を半自動で探査、全国展開へ積極的にPR

 首都高速道路技術センター(安藤憲一理事長)が、鋼床版の疲労亀裂を効率的に検知する診断ツールの全国展開に向けた取り組みを加速する。床版の剛性を高めるためにプレート下部に設ける「Uリブ」に超音波を当て、深さ6ミリ以上の亀裂を半自動で検出。従来方法に比べ、作業員の負担を大幅に軽減する。同センターは東京都内に開設する異業種交流拠点などを通じ、開発技術のPRに努める。
 検知技術の名称は「鋼床版き裂の半自動超音波探傷装置(SAUT)」。同センターと首都高速道路会社が共同開発した。耐久性向上を目的に新設橋の鋼床版の厚さが16ミリ以上となっている。建設の年代が古い鋼橋の多くは12ミリと薄く、高速道路各社がUリブを使用して床版のゆがみ防止に努めている。
 SAUTは、Uリブに超音波を当てる「探触子」と探触子の移動距離を捉えるワイヤ付きの「リニアエンコーダ」「超音波探傷器」で構成する。床版とUリブの境界面に探触手を滑らせ、6ミリ以上の亀裂を検出すると超音波探傷器に画面表示する。リニアエンコーダで正確な位置を把握できるため、亀裂箇所の記録を取りやすい。
 既に特許も取得済みで、首都高速道路以外には国道や都市高速道路など10橋梁で使用した実績がある。同センターは、本部が入る虎ノ門PFビル(港区虎ノ門3の10の11)に設置する「イノベーションハブ」を利用してSAUTのPRに注力する考え。各高速道路会社や公社、橋梁点検会社に技術の信頼性などを訴求し全国展開を目指す。
 亀裂の有無を確認するには、これまでUリブに探触子を軽く打ち付けながら実施していた。無理な体勢で行っている作業は診断業務に従事する検査員の負担増に加え、亀裂箇所の距離が曖昧であるなどさまざまな課題を抱えていた。



source https://www.decn.co.jp/?p=143794

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