建設工事での安全衛生経費の「見える化」や関係者の意識改革に向けた方策を検討していた「建設工事における安全衛生経費の確保に関する実務者検討会」(座長・蟹澤宏剛芝浦工業大学教授)が議論を再開した=写真。事務局を務める国土交通省が提言(案)を示した2019年12月の第6回会合から一時ストップしていたが、業界関係者の合意形成を経て27日の第7回会合で提言を成案としてまとめた。関連施策の具体化に向け、まずは安全衛生対策項目の「確認表」の検討に入る。
提言では実効性ある施策として、元請と下請の契約時などに活用できる安全衛生対策項目の「確認表」と、安全衛生経費を内訳明示する「標準見積書」の作成を挙げている。同日の会合では提言に基づく施策実現の進め方でも合意した。第1ステップとして22年度に元下双方の実務者が参加する検討の場を設置し、確認表の作成に着手。その上で各専門工事業団体などに確認表を普及させ、第2ステップとして標準見積書の作成・普及に取りかかる。
確認表には元下間の安全衛生対策の認識のずれを解消し、費用負担の考え方も整理する目的がある。工種ごとに必要な安全衛生関係の資機材や教育活動をリストアップする。提言では施工場所や施工時期など工事特性に応じ、できる限り幅広い対策を記載できるよう工夫する必要性が指摘されている。
建設業団体関係者など各委員からは、安全衛生経費を標準見積書に落とし込むことによる「見える化」に期待する声が多く挙がった。公共工事だけでなく民間工事でも経費確保の必要性が意識されるよう、発注者を意識した戦略的な広報を訴える意見があった。
いわゆる「野丁場」の現場以上に、安全衛生上の課題が多いとされる「町場」や木造建築の現場も視野に入れて具体的な検討が必要との指摘もあった。
一方、これまでの検討会で意見があった安全衛生経費の「別枠化」は「予定価格の積算体系を根本から見直すことは現実的でない」などの理由で提言内容から外した。
source https://www.decn.co.jp/?p=143885
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