住友不動産と東京大学、武蔵野大学の3者は、木造一戸建て住宅を全面改修した場合の二酸化炭素(CO2)排出量が、建て替え時と比較し47%削減できるとする研究結果をまとめた。16日に研究成果の記者発表会を開催した。東大大学院新領域創生科学研究科の清家剛教授は「一戸建て住宅のような小規模建物の研究事例は少なく、貴重なデータになる」と話した。
研究は、住友不のリフォーム事業「新築そっくりさん」を導入する都内の木造一戸建て住宅3物件で実施した。建物内部の360度カメラでの撮影と実測調査を通じて、建物の空間データや資材情報を取得。集めたデータを基にBIMを作成し、改修時の既存部材の再活用量を認識できるようにした。
武蔵野大工学部環境システム学科の磯部孝行講師によると「発注書ベースの積算では部材の場所や種類が詳細に分からない部分がある。3Dモデリングによって丁寧に部材を把握できるようにした」という。
新たに投入する資材の量や、廃棄物の排出量なども発注書などで確認。収集した各データを基に検証した結果、建て替え時と比較し47%のCO2排出を削減できることが明らかになった。
清家教授は「既存住宅の改修は新築と比べ法律の網掛けが難しく、国も補助金を出す方法が少ない状況だ。研究成果を公表することで、少しでも既存住宅の改修を進める後押しになれば」と話した。住友不の加藤宏史取締役新築そっくりさん事業本部長は「CO2の削減量を見える化し、環境への貢献効果を定量的に説明できるようになった。環境にやさしい事業であることを顧客に訴求し、一層の事業展開に取り組んでいきたい」と述べた。
今後は長寿命化効果や、省エネ・創エネ設備の導入効果など2フェーズに分けて検証を進めていく。2年後をめどに研究結果をまとめたい考えだ。
source https://www.decn.co.jp/?p=143609
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