関東地方整備局は2021年度を「DX元年」として、ICTの積極的な導入・利用をはじめさまざまな対応を進めてきた。21年7月に若林伸幸局長を本部長としたインフラDX推進本部を立ち上げ、分野別に九つのワーキンググループ(WG)を設置。生産性向上と働き方改革をテーマに工事や業務の精度と効率を追求してきた。「DX元年飛躍の年」とする22年度の取り組みを取材した。
生産性向上は実際の現場を抱える河川WG、道路WG、営繕WGが中心となる。このうち河川WGではレーザー測量、ナローマルチビーム測深、BIM/CIM活用など個々の分野でICTの利用を進めるとともに、それらの手段で取得したデータを一元化するプラットフォームとして3D河川管内図の構築、運用を始めた。
3D河川管内図をプラットフォームとして河川構造物の3Dモデルや地形統合モデルなどさまざまな情報を一元化し、計画から設計、施工、維持管理までを同じプラットフォーム上で一貫性を持って行うことが可能になる。先行して3D河川管内図の構築に取り組む出先機関の荒川下流河川事務所では、3D河川管内図を使って各種データを収集し、活用していくための方針を定めた「荒川デジタルツイン構築方針」などの適用を7月に始める予定だ。
河川WGでは、全ての管理河川で25年度からの3D河川管内図運用を目指し、各河川で定期の縦横断測量で航空レーザー計測を実施している。
道路WGもICTの活用を推進し、生産性向上に取り組んでいる。高崎河川国道事務所は「R1国道17号渋川西BP3号跨道橋下部工事」をモデルにICT施工の効果を定量的に検証。施工日数は20日から12日へ、出来形管理日数は4日が1日にそれぞれ短縮できたという。作業の延べ人数は60人から24人に大幅に削減でき、DXの確かな効果に手応えを得た。
23年度にはBIM/CIMが原則適用となる。道路WGは業界団体などとの意見交換を活発に実施し、受発注者双方で課題を共有しながら解決策を検討していく。また施工や維持管理の効率化を目的に、GIS(地理情報システム)をベースとした構造物の完成図や道路台帳などを一元的に統合したプラットフォームの構築も目指している。
営繕WGは国土交通本省と連携し、本年度から発注者情報要件(EIR)とBIM実行計画(BEP)を入札契約手続きの中で活用する取り組みを試行する。
EIRにはソフトウエアプラットフォームやデータの変換方法、データの詳細度、プロジェクト工程、運用方法、役割分担などの情報が含まれ、設計や工事の発注時に発注者側が公表する。このEIRを基に受注希望者が業務提案書の一部としてBEPを作成。BEPにはプロジェクトの概要やBIM活用の項目・目標、運用計画、システム要件などを盛り込んでもらう。
本年度は設計に着手する横浜法務合同庁舎(横浜市中区)の建て替えや、着工を予定している長野第一地方合同庁舎(長野市)の整備に適用する。
source https://www.decn.co.jp/?p=143514
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