国土交通省は民間工事に特化した工期の実態調査結果を公表した。約1500社の建設企業へのアンケートで、注文者から提案された工期が「(著しく)短い工期の工事が多かった」との回答は30・8%。平均的な休日取得が「4週8休以上」は8・6%にとどまり、工期の厳しさが指摘されながら明るみに出てこなかった民間工事の実情を数字で裏付ける結果となった。工期不足を生産性向上の努力でしのぐ現場も一部あるが、単純な人員増や長時間労働で対応するケースが圧倒的に多かった。
建設業111団体にアンケートの協力を依頼し、元請と下請を問わず幅広い建設企業にウェブで聞いた。2020年9月以降に請け負った民間工事の実態について1471社が回答を寄せた。
工期設定の際に多いケースとして「注文者の意向を優先し協議を依頼しない」は19・6%、「依頼しても応じてもらえない」は11・2%、「協議しても要望は受け入れられない」は15・0%だった。協議した場合にも「(著しく)短い工期の工事が多かった」は22・9%で、注文者の提案時より改善しているものの要望が通りにくい実態がうかがえる。
平均的な休日の取得状況は「4週6休程度」が44・1%と最も多い。「4週5休程度」が22・9%、「4週4休程度以下」が13・2%、「4週7休程度」が10・0%と続く。
発注者属性で工期設定や休日確保に差があることも分かった。工期変更が無かった個別工事への設問で「(著しく)短い工期の工事だった」の割合が全体平均(26・0%)を上回ったのは、商業施設工事などを発注する「小売」の44・3%、ビルやマンションを手掛ける「不動産業」の38・4%など。実際に取得できた休日が「4週8休以上」と回答した割合も、小売は4・3%、不動産業は4・6%と全体平均(11・0%)を下回った。
請負階数が下がるほど短工期を要求される傾向は強まる。「(著しく)短い工期の工事が多かった」の割合は1次下請が中心の企業で36・8%、2次下請以下が中心の企業で44・9%だった。
国交省は調査結果を盛り込む形で適正工期の在り方を受発注者に解説するリーフレットを作成。配布方法を今後検討する。追加で個別ヒアリングを実施しながら発注者属性別などで工期不足の原因や課題を洗い出し、国交省から個別発注者に工期適正化を働き掛けることも検討する。
source https://www.decn.co.jp/?p=143573
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