2022年6月14日火曜日

長野県/ダム流入量予測にAI導入、22年度はモデル試行・検証

 長野県はダムの流入量予測にAIを導入する。既存の流出解析モデルとAIを組み合わせて予測精度を高め、発電事業者など利水者の負担軽減や、下流域の安全性向上につなげる。2022年度は建設技術研究所が開発したモデルを試行運用し、23年度以降の本格運用を目指す。県建設部河川課の担当者は「蓄積したデータを生かして既存の治水施設を使いこなし、流域治水施策の完成度を高めたい」としている。
 対象となるのは県が管理する17カ所のダムのうち、ゲートで取水量を管理している▽裾花▽奥裾花▽松川-の3カ所。これまでは降雨量から水の流出量を測る貯留関数法によって流量を解析していた。出水がピークを迎える時期の予測精度は高いが、出水初期の流入が増加する時間帯の予測精度が低く、水力発電量の減少などの課題が生じていた。「物理モデル的な解析手法を補完して精度を高める」(建設部河川課)ため、事例を学習できるAIを採用することにした。
 建設技術研究所が21年度にAIを取り入れたモデルを構築した。既往の出水例から30例程度を抽出。降雨量と出水実績をAIが学習し、データを蓄積した。本年度は同社による保守、管理の下、データ習得や効果計測などの試行運用を実施する。運用状況を見ながらモデルの検証や改良を重ね、23年度以降に本格的な運用に入る。
 県はAIを導入し予測精度を高めることで、より少ない水量で多く発電できるようにするなど、利水者の負担軽減を目指す。ダム放流時には下流域の基礎自治体や住民に対し、迅速で適切に情報提供できるようにし、安全性も向上させる。
 建設技術研究所の担当者によると「(流入量予測モデルに)AIを取り入れている県は他にもあるが、ここまでモデルを作り込んでいるのは長野県だけだ」という。今後は全国の自治体に、同様のモデルを展開していきたい考えだ。



source https://www.decn.co.jp/?p=143473

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