2022年6月7日火曜日

土木学会/分散・共生型国土へビッグピクチャー、インフラ長期計画必要

 土木学会(谷口博昭会長)は6日、日本のインフラと国土の未来像を示す提言「土木のビッグピクチャー(長期的全体俯瞰〈ふかん〉図)」を発表した。30年先を見据えた未来像を描き、そこからバックキャストして土木分野が果たす役割や必要な取り組みを打ち出した。誰もがどこでも安心して快適に暮らせる、共生社会の構築を目指す。国土強靱化などを通じ分散・共生型の国土づくりを推進。実現に向け、インフラ長期計画の法制度化や事業決定手法の見直し、事前復興のための財源確保など公的負担の制度化が必要とした。
 同日に東京都新宿区の同学会で記者会見し、提言を発表した。谷口会長は土木分野を巡り予算中心の議論に陥っていると指摘。提言の策定経緯について「世のため人のためという土木、インフラの原点に立ち戻った議論をまとめたい思いが強かった」と説明した。
 提言では未来像を実現するために、分散・共生型の国土形成を支える政策を▽国土強靱化▽地方創生▽経済安全保障▽インフラメンテナンス▽脱炭素化▽グリーンインフラと生物多様性▽DX社会への対応-の7本柱で整理。国土強靱化の政策例として、道路や鉄道など広域幹線交通ネットワークの全国配置や、複合・巨大災害に備えた事前復興対策の推進などを列挙。インフラメンテナンスでは、生活・交通インフラの大規模更新や次世代点検技術の開発・普及を挙げた。
 ビッグピクチャーを「絵に描いた餅」で終わらせないため、求められる制度面での対応も提示。投資規模を明記した国家的なインフラ長期計画の策定を訴えた。予見性を示すことで民間投資を促進。災害時に地域の守り手となる建設業の技術力と継続性を支えるとした。相次ぐ大規模災害への対応や老朽インフラの増加を踏まえ、安全確保に向けた現行の投資水準を維持しながら、成長基盤への投資確保を重視している。
 B/C(費用便益比)一辺倒になっている事業決定手法の見直しも提案。インフラの役割や意義に対する国民の理解促進や、担い手となる土木技術者の確保・育成も提言した。提言内容を分かりやすく発信するため、イメージ図も作成した。今後、斉藤鉄夫国土交通相などに提言活動を行い、政策への反映を目指す。



source https://www.decn.co.jp/?p=143267

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