2022年6月14日火曜日

日建連・意見交換会を振り返る・上/週休2日、民間定着の第一歩に

 ◇全整備局が土日閉所試行へ
 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)と国土交通省地方整備局など公共発注機関による2022年度「公共工事の諸課題に関する意見交換会」が13日の九州地区で全日程を終えた。残り2年を切った時間外労働の罰則付き上限規制に対応するための働き方改革や生産性向上を議論。将来にわたる担い手確保を意識し、若者から見て他産業に見劣りしない魅力あふれる業界に発展させていくため率直に意見を交わした。=2面に日建連幹部総括会見
 3年ぶりの対面開催となった。会合後は新型コロナウイルスの感染予防に細心の注意を払い懇親会も行われた。押味至一副会長土木本部長は全9地区の会合で対面開催に尽力した関係者に感謝の意を表明。「マスク越しだが皆さんと直接会って地域の特徴などを聞きながら議論できた。非常に充実した意見交換会だった」と振り返った。
 日建連は最重要課題に掲げる次世代の担い手確保に向け、業界の魅力を高める新4K(給与・休暇・希望・かっこいい)実現の取り組みや社会資本整備の着実な推進を訴えてきた。喫緊の課題は24年4月に適用される時間外労働の罰則付き上限規制への対応と認識。日建連が提案した▽適切な公共工事の実施▽担い手確保▽改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の適格な運用▽生産性向上-の四つをテーマに白熱した議論を交わした。
 日建連は昨年9月の労働時間調査報告を踏まえ、会員共通の上限規制達成目標を1年前倒しし、23年4月の達成を目指している。時間外上限規制の対策は「『適切な工期設定』『提出書類の削減』『条件変更に伴う適切な工期延期』が有効」(池田謙太郎インフラ再生委員長)との考えを主張。工期設定では「土曜日に現場が稼働するだけで月32時間の時間外労働が発生している」(田中茂義公共契約委員長)現状を踏まえ、発注者に対し土日閉所が基本の完全週休2日制モデル工事の試行を求めた。
 発注者側も相次ぎ前向きな回答を伝えた。土日閉所の完全週休2日制モデル工事は中部、四国両整備局が試行済み。残る整備局も北海道開発局や内閣府沖縄総合事務局とともに本年度に試行もしくは前向きに検討するとした。地方自治体でも富山や福井、滋賀の3県が対応済みで、熊本県が週休2日工事を段階的に拡大する中で土日閉所にも取り組む方針を表明。新潟、奈良両県は国や他自治体の動向を注視しながら試行を探るとした。
 北海道や東北、北陸など、地域ブロック単位で公共工事の統一現場閉所を毎月2~3日設定し、土日や土曜の現場閉所を推進している地域も見られた。土日閉所には限らないものの、4週8閉所を基本とする発注者指定型や、技能者・技術者の交代制による週休2日工事も全体的に拡大している状況が明らかになった。
 押味氏は週休2日を拡大している公共発注機関の取り組みを「昨年よりさらに一歩進んだ内容」と評価した上で「公共工事の先進的な取り組みは民間工事にも広く展開されるべきだ」と指摘した。日建連には建築主体の民間工事が主力の会員が多い。公共工事に比べ工期などの制約が厳しく、時間外上限規制の順守には「4週8休の週休2日が民間工事に定着してこそ真の意味がある」と訴える。



source https://www.decn.co.jp/?p=143464

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