2022年6月7日火曜日

スコープ/足立敏之参院議員に聞く、災害列島に必要な備えは

 ◇中長期的な視野でインフラ立て直しを
 毎年のように台風や集中豪雨で大規模災害に見舞われる日本列島。今年も出水期を迎え、いつ襲ってくるか分からない災害への備えと警戒感が必要になっている。防災・減災、国土強靱化の取り組みがここ数年で進展したものの、多くの被災地で被害状況を目の当たりにしてきた足立敏之参院議員(自民党)は「災害はエスカレートしている。もっと万全な備えを」と訴える。2期目を目指して7月に予定される参院選へ出馬する足立氏に国土・インフラ、そして建設産業の再生に向けた展望を聞いた。
 足立氏は初当選後、相次ぎ発生した水害や土砂災害の甚大な被災現場を目にし、「災害に対する予防的な措置をさらにやっていかなければと痛感した」と振り返る。防災・減災、国土強靱化のための「3か年緊急対策」や「5か年加速化対策」で公共事業予算が確保されてきた意義を強調。一方で地球温暖化の影響による気候変動の急速な進行も考慮しながら「(5か年加速化対策の)次のつなぎ方を考えていかなければならない」と主張する。
 国際競争力の観点でもインフラ整備の遅れは深刻と言える。特に韓国と比べると高速道路や港湾・空港施設の整備水準で劣っていると分析し、「この二十数年で予算措置をおろそかにしてきたツケが回ってきた」と指摘。これからも中長期的な視野で「脆弱(ぜいじゃく)な国土と貧弱なインフラを立て直すことに全力投球したい」と意気込む。
 他方で足立氏が重要視するのが、公共事業の担い手となる建設産業の処遇改善や魅力向上だ。「災害対応など建設産業が果たしている大切な役割を考えると、他産業と比較して賃金レベルが低くなっている状況は見過ごすことができない」と問題提起する。建設会社が適正な利潤を得て、働き手の賃金も上昇していくよう現状を是正する必要性を強調する。
 公共工事設計労務単価が10年連続で引き上げられるなど潮目は変わりつつある。その流れを確かなものにするためにも、足立氏は設計労務単価引き上げと賃金上昇の裏付けとなる公共事業予算の拡充を訴える。民間の力に頼る新自由主義的な考え方を引き継ぐのではなく、公共がけん引役となって経済成長を成し遂げる在り方へのシフトチェンジを提案する。
 建設省・国土交通省時代から「現場主義」を貫く。被災地やインフラ整備が必要とされる現場に足を運び、地域の声を吸い上げてきた。足立氏は「現場で同じものを見て同じ課題について議論する。そのことが自分にとっては何よりも大事だ」と実感を込めて話す。
 これまでも地域の代弁者、建設産業の代弁者として、国会の場で政府の姿勢をただしてきた。3月28日の参院決算委員会で公共事業予算の拡充を訴えた際には、岸田文雄首相から「中長期的な見通しの下で必要な予算を確保し、戦略的、計画的に社会資本整備を進めていきたい」と前向きな答弁を引き出した。
 コロナ禍に見舞われ、この2年ほどは多くの人と面と向かって言葉を交わす機会が限られている。そうした状況に歯がゆさを感じつつも、災害が起きれば被災地に真っ先に駆け付け現場を目の当たりにし、復旧作業に尽力する建設業者をはじめとする現地の人々の声に耳を傾けてきた。
 あらゆる場で訴えてきた「建設産業の再生なくして日本の再生なし」という思いは今も変わらない。全国各地の関係者と意見交換を重ね、建設分野のより良い制度づくりや予算獲得につなげていく考えだ。



source https://www.decn.co.jp/?p=143254

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