2023年6月30日金曜日

JR四国、鉄道総研/メンテナンス技術の共同研究開始、デジタルで省力化目指す

JR四国と鉄道総合技術研究所(鉄道総研)は、デジタル技術を活用した設備などのメンテナンスの省力化・省人化に向けた共同研究に乗り出す。鉄道総研が開発している統合分析プラットフォームを用いる。最新のセンサーや画像処理技術により営業車両で取得した土木や軌道、車両、電力、信号など各分野の設備状態のデータを集約。分野横断的な分析により新たな知見を引き出し、従来の個別分野のデータ分析では検知できなかった異常の早期検知や徒歩巡視、個別設備の検査の省力化を目指す。
JR四国の各路線で取得したデータを統合分析プラットフォームに蓄積し、運用時の課題を抽出する。新たな異常検知手法と劣化診断法の有効性を実路線データで検証。実務に適用した場合の業務改善効果を検討する。実施期間は2025年3月まで。
鉄道の安全・安定運行には設備の適切なメンテナンスが欠かせない。鉄道事業者は法令などに基づき定期検査や必要な補修・修繕を行っているが、少子高齢化による労働人口の減少などから要員の確保が難しく、メンテナンスの省力化・省人化が喫緊の課題となっている。


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リバスタ/建設業界の脱炭素支援へウェブメディア開設

建設業界向けのICTソリューションを提供するリバスタ(東京都江東区、高橋巧代表取締役)は、建設業界の二酸化炭素(CO2)削減や環境負荷低減などを後押しする目的で、ウェブメディア「CO2メディア(シーオーツーメディア)」(https://co2media.rvsta.co.jp/)を開設した。建設業界向けに脱炭素ソリューション情報を発信し、環境問題に取り組む企業や個人を応援する狙いだ。
「『つくる』の現場から未来を創造する」がテーマ。「顧客をはじめとした建設業界関係者のよき相談役となり、環境対策の向上に寄与していく」(同社)としている。
同社は、電子マニフェストサービス「e-reverse.com」や施工管理サービス「Buildee」を提供している。建設現場から発生する産業廃棄物の運搬や、建設現場で稼働する重機に関わるCO2排出量が算定可能なオプションサービスも展開している。


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回転窓/自然と建設技術の名勝

富山・黒部渓谷の玄関口である宇奈月温泉が11月に開湯100周年を迎える。つるつるしてすべすべになる「つべつべ美肌湯」で有名だ▼1世紀というと温泉の歴史としては浅い。きっかけは黒部川の豊富な水を利用して進められた電源開発だった。その前線基地となった台地に温泉地を開こうと土木技師の山田胖が主導。断崖絶壁もある中、約3500本の引湯管を上流の源泉からつないだ▼電源開発も困難を極めた。黒部川第3発電所などの建設では作家・吉村昭氏の小説にもなった高熱の隧道を掘り進めた。黒部川第4発電所(くろよん)では、資材輸送用トンネルの掘削中に土砂と地下水が大量に噴き出る破砕帯に直面。関係者が団結して工事を進めた姿は映画『黒部の太陽』でも描かれている▼今月はくろよん竣工から60周年に当たる。8月には管理用通路などを公開する特別見学会を予定。来年には新観光周遊路「黒部宇奈月キャニオンルート」の一般開放が始まる▼山中を貫くエレベーターや機関車で通過する高熱隧道、剣岳の雄大な景色など見どころが満載。建設技術と先人の熱意を感じる機会にもなると期待したい。


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京急電鉄/ライオン旧本社ビル(東京都墨田区)解体に7月着手、施工は長谷工コーポ

京浜急行電鉄は東京都墨田区にあるライオン旧本社ビル=写真=の解体に7月1日着手する。既存建物は3棟総延べ2・4万平方メートルの規模。解体工事は長谷工コーポレーションが担当し、2027年1月までに終える。京急電鉄は跡地の開発計画を明らかにしていないが、区は関係者との調整の上で、跡地に共同住宅や緑地などを誘致する街づくり方針を策定済み。解体完了後は方針に沿った施設整備が展開される見通しだ。
ライオン旧本社ビルの所在地は本所1の3の7(敷地面積約6400平方メートル)。隅田川に架かる厩橋の東詰に近接する。敷地内には▽旧本社ビル(SRC造地下2階地上12階建て延べ1万5724平方メートル)▽2代前の本社ビル(RC造地下1階地上6階建て延べ4060平方メートル)▽研究棟(地下1階地上4階建て延べ4074平方メートル)-の3棟がある。全て解体する。
区は3月に「隅田川沿川地区(蔵前橋~駒形橋周辺)まちづくり方針」を策定した。方針はライオン本社の跡地で、大規模な民間開発が計画されていることに言及。民間と連携し、多様な世代が暮らせる共同住宅や緑地、広場などの整備を誘導するとした。施設整備を地域のにぎわい向上や、防災力の強化につなげる将来像も示した。
ライオンは20年、長谷工コーポレーションに本社用地を売却。今年4月に蔵前JPテラス(東京都台東区蔵前1の3の28)へ移転した。
ライオン旧本社ビル

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三菱電機ビルソリューションズ/IoTプラットフォームで他社製エレベーター連携

三菱電機ビルソリューションズは、スマートシティーやスマートビルを支える自社のIoTプラットフォームを、他社製エレベーターに連携させロボットを効率的に運用するサービスの提供を始めた。三菱地所の大手町パークビルディング(東京都千代田区)に提供。ビル内に混在する各社エレベーターとロボットのインターフェースをクラウド上で一本化し、一元的にエレベーターを制御する。ロボットと各エレベーターの接続作業などの労力を削減し、ロボットの効率運用につなげる。
同社のスマートシティー・ビルIoTプラットフォーム「Ville-feuille」と他社製エレベーターが連携し、ロボット移動支援サービスの機能を拡充した。ロボットからのリクエストに応じて、同プラットフォームがエレベーター呼び出しや行き先階登録を実施する。ロボットに対しては、配車号機の通知やエレベーターの乗降タイミングなどを指示。エレベーターを利用したロボットの縦移動を実現する。
他社製エレベーター制御盤と接点接続できるインターフェース装置を新たに開発。エレベーターとの接点信号を同プラットフォーム上で通信信号に変換する仕組みを実装した。複数メーカーのエレベーターが混在する大規模な建物などで、ロボットと各エレベーターの接続作業や試験調整を削減できる。
経済産業省の「令和4年度革新的ロボット研究開発等基盤構築事業に係るロボットフレンドリーな環境構築支援事業(施設管理分野)」(採択先・三菱地所)の一環で提供した。


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熊本市市電延伸で一部単線化案が浮上年度にも先行開業

 熊本市は市電の熊本市民病院方面(東区東町)への延伸計画について、全線複線で想定していた延伸区間(約1・5キロ)の約3割を単線化する考えを示した。用地取得の範囲を縮小して事業費を抑え、早期の延伸実現につなげる。今後、2020年度にまとめた延伸の基本設計の見直しに着手。年度内に市議会で延伸方針が承認されれば、市は24年度にも実施設計を行い、早ければ29年度に一部区間で先行開業できるとの見通しを立てている。
 延伸ルートは現在の終点・健軍町電停(東区若葉)から県道28号熊本高森線上を約490メートル東進。東野一丁目交差点で北側に進路を変え、熊本市民病院付近まで直進する。熊本市民病院付近を含めて新たに4カ所の電停を設ける。
 単線化の方針を示したのは複線の用地確保が難しく、延伸の障壁となっていた県道28号上の区間。健軍町電停付近と東野一丁目交差点付近を除いた約430メートルを単線で整備する。
 全線複線案では道路幅が広く用地取得がしやすい熊本市民病院側から先に整備する考えもあったが、路線が分断されることが課題となった。市の木村仁洋移動円滑推進課長は「単線であっても既設路線をそのまま延伸させるだけなので、一部区間での先行開業が可能といったメリットがある」と話している。
 20年度の基本設計で示した延伸全体の概算事業費は約135億円。20年度時点の資材価格などを基準にすると、一部単線化により22億円程度は削減できる見通しだ。基本設計業務を担当したトーニチコンサルタントと近く随意契約を結び、基本設計の修正業務を委託。9月の市議会定例会に最新の資材価格動向を踏まえた基本設計の修正案を提出する。
 市は基本設計の修正案が承認されれば、市民の意向を聞き取るアンケートも実施する予定だ。
 市電延伸は新型コロナウイルスの感染症対策への集中を理由に議論や実施設計を中断していた。本年度6月補正予算案で市電延伸調査の関連経費として総額4700万円を計上。内訳は基本設計修正3370万円、軌道運送高度化実施計画1000万円、都市計画図書作成330万円。

市電の延伸ルート(熊本市議会の資料を基に作成)

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2023年6月29日木曜日

建コン協四国/高松市でシンポジウム開く、若手技術者が四国の未来テーマに討論

建設コンサルタンツ協会(建コン協)四国支部(天羽誠二支部長)は27日、高松市のかがわ国際会議場で若手技術者と四国の未来を考えるシンポジウムを開いた=写真。2022年12月に建コン協西日本4支部連携の合同提言が発表され、作成に関わった同支部の若手メンバーが提言で描いた50年の四国のありたい姿を披露。道路・交通、観光・まちづくり、防災の観点から提言に込めた思いや実現への道筋を語った。
テーマは「可能性の宝庫四国のみらいを考える~若手技術者が思い描く四国のみらい~」。インフラ整備構想を策定し提案する同支部のキックオフシンポジウムと位置付けた。四国地方整備局や四国4県の職員、四国内外の建コン協会員などリモート参加を含む約510人が聴講した。冒頭、天羽支部長は「提言の中には現実味のある話や夢や希望、大胆な発想もある。かなえたい夢を堂々と掲げるのは次の時代を担う若者の特権でもある。夢を現実のものとする大いなるチャレンジと活躍に期待したい」とあいさつした。
続く基調講演で、荒瀬美和四国整備局長は新たな四国圏広域地方計画の策定状況などを説明。「社会インフラは空気のようなものというのが持論。ないと非常に困るが、あると当たり前になってしまう。なくてはならないものの整備や管理などに携わっているという気概を持ってほしい」とエールを送った。
この後、合同提言作成ワーキンググループ(WG)の大村史朗四国支部WG長(四国建設コンサルタント)が提言内容を紹介。各WGの西山毅道路交通グループリーダー(芙蓉コンサルタント)、石川ひとみ観光・まちづくりグループリーダー(四電技術コンサルタント)、長山学史防災グループリーダー(第一コンサルタンツ)と共にパネルディスカッションを行った。
コーディネーターを務めたWG学識委員の大津宏康京都大学名誉教授が提言の検討に当たりアドバイスした「エンジニアリングファースト、あったらいいなの考え」を出発点に議論が進行した。西山リーダーは整備中の四国8の字ネットワークや構想のある四国新幹線を挙げながら「今よりも人や物が運びやすくなる」と分析。四国が単なる経由地や産地となることに危機感を募らせ、南海経済軸の交通結節点に国内だけでなくアジアや世界と結び付く新拠点の整備を提案した。
石川リーダーは少子高齢化や人口減少による深刻な働き手不足から、ロボットにさまざまな行動を許可する「ロボット特区」を創設し地域活性化を図るアイデアを披露。長山リーダーは道の駅を事例に日常生活と防災を融合した防災拠点づくりの必要性を訴えた。
大村WG長はアマチュアの囲碁プレーヤーが最強レベルの囲碁AIに15戦14勝と大勝した事例を引き合いに「AIは過去の事例から勝ちやすい手を選択するだけ。前例のない未来に立ち向かうのにAIに頼ることはできない。あるべき姿、ありたい姿を思い浮かべ創意工夫しながら私たちが作っていく必要がある」と力を込めた。大津名誉教授は「前例にないものを否定しない環境があることで初めてイノベーションになる」と総括し、4支部のさらなる連携に期待を込めた。


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回転窓/世界遺産登録10年に考える

富士山の麓で生まれ育ち、あまりに身近な存在であるためかこの山が特別な存在という認識がどうも薄いかもしれない。とはいえ厚い雲に覆われて見えなくとも、どの位置にどのくらいの大きさでそびえているか、ふるさとの景色はよく分かる▼富士山が国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界文化遺産に登録されて10年を迎えた22日、都内や地元でイベントが開かれ、大勢の人でにぎわった。コロナが落ち着き、間もなく迎える夏の登山シーズンに期待も大きいようだ▼同日の記念式典で山梨、静岡両県の知事が信仰の対象などにもなった富士山の普遍的価値を守り、地域のさらなる発展を目指す共同宣言に署名した。この10年で文化財の整備などが進み、富士山を守ろうとする意識も高まっている▼一方で、観光客が増加し環境保全の面で問題が生じているのも事実。山梨県が麓と5合目を次世代型路面電車(LRT)で結ぶ「富士山登山鉄道構想」を打ち出すなど、解決に向けた検討も進んでいる▼国内外で存在感がひときわ大きくなっている富士山。恵まれた美しい自然を、次代にしっかり伝えていかなくてはいけない。

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大阪府箕面市/みのおサンプラザ新1号館、公共床基本計画作成費を補正予算に計上

阪急電鉄箕面駅前にある複合施設「みのおサンプラザ1号館」(大阪府箕面市箕面6の1)の建て替え事業で、箕面市議会は第2回定例会の会期最終日、23日に新1号館1~3階の公共床の基本計画作成業務委託費を盛り込んだ補正予算を承認した。同業務の委託先を決める手続きを夏に始める予定。公共床の指定管理者を選ぶのに先立ち、必要とされる機能や条件などを調査し、基本コンセプトやフロアの機能を検証、モデルプランを作成する。委託期間は8月から2024年3月まで。
敷地は市が取得した上で、70年間の定期借地権を設定して事業協力者の東京建物と阪急阪神不動産に貸し出す。同社らは11階建て延べ約1万7600平方メートルの建物を整備する。4~11階に109戸の分譲住戸を設ける。1~3階は市が再取得し、交流施設や地域の活性化に役立つ施設を配置する計画。
地元住民や観光客が立ち寄りやすい滞在型施設や、飲食店、特産品のアンテナショップなどを想定。全国の事例を参考にしながら一定の要件を整理する。民間企業からも提案を募り、基本計画の検討を進めていく。
24年4~6月に公共床の指定管理者を募り、同7~9月に決め、市は土地を再取得。25年1~3月に公共床内装実施設計を始め、事業協力者らと調整に入る。
新1号館全体の設計・監理はIAO竹田設計が担当。大末建設が施工する。同4~6月に建築本体工事に着手し、27年4月以降の完成を目指す。
現在の1号館はSRC造地下1階地上8階建て。市の公共施設や物販店舗が入居している。15年に耐震性の不足が判明し、市ら区分所有者が今後の方針を検討。事業期間や費用負担を減らすため、敷地を売却して分配金を取得できるマンション敷地売却制度を関西では初めて活用することになった。
みのおサンプラザ新1号館完成イメージ(報道発表資料から)

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LisB/現場写真共有アプリをリリース、タグ付けで整理や書類作成を効率化

ビジネスチャット「direct(ダイレクト)」を展開するLisB(エルイズビー、東京都千代田区、横井太輔社長兼最高経営責任者〈CEO〉)は28日、写真や動画の撮影時に分類上の情報(タグ)を付けることで、画像などの整理を容易にするアプリの提供を開始した。分類に必要な場所や品質などをあらかじめタグとして登録しておき、必要なタグを選択してシャッターを押すと、クラウド上に自動的に保存される。撮影後はタグや日時、撮影者などで容易に写真を絞り込むことができる。
提供を始めたのは、現場向けカメラアプリ「タグショット」と、撮影画像をクラウド上に保存するアプリ「タグアルバム」。撮影するだけで、自動的にクラウド上にアップロードされるため、特定の端末にデータが残ってしまうような事態を回避できる。電子小黒板と合わせて撮影する機能や、保存された写真を選択するだけで簡単に帳票を作成できる機能も搭載。改ざん検知機能への対応も進める。同社のビジネスチャットとも連携できる。
大規模な建設現場では、数千~数万枚以上の現場写真が撮影され、報告書作成や画像の整理・分類に膨大な時間が必要となっているという。画像の整理を容易にすることで関連書類作成などを効率化し、働き方改革の推進につなげてもらう。
詳細は特設サイト(https://tagshot-album.com/)へ。29日と7月12日には、新サービスを紹介する無料のオンラインセミナーを開く。
「タグショット」「タグアルバム」のイメージ(報道発表資料から)

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国交省/建機の自動化・遠隔化で10月から現場検証、23年度内に安全ルール策定

国土交通省は建設機械の自動運転や遠隔操縦の現場検証に乗り出す。関係業界団体や行政・研究機関で構成する「建設機械施工の自動化・自律化協議会」の第3回会合を27日に開き、実施方針と安全上の対策項目を列挙したガイドラインを承認した。今後、現場検証に参加する民間企業や研究機関を追加公募し、茨城県つくば市の「建設DX実験フィールド」を中心に10月ころから現場検証を実施。実現場への適用に向けた標準的な安全ルールを年度内に策定する方針だ。
現場検証は自動運転や遠隔操縦を前提とした安全ルールや建機の機能要件を固めることが目的。参加企業らは「自動施工編」と「遠隔施工編」のどちらかのガイドラインに基づき現場検証に当たり、各現場で共通して実施すべき事項や事例を安全ルールに落とし込む。
これまでは自動・遠隔建機を導入する現場ごとに、労働基準監督署など関係者に説明する必要がある安全対策項目が必ずしも明確になっていなかった。それを標準化することで技術開発の効率化や早期の現場導入を促進する。
既に同協議会の下部組織として設置した実務者レベルのワーキンググループ(WG)のサブメンバーのうち10者(複数企業のグループを含む)が参加を表明。これ以外の参加者を追加公募で選定する。検証場所は建設DX実験フィールドに限定せず、自社現場など参加者が自ら用意する場所でも実施可能。例えば直轄工事現場でも発注者側の同意を得ていれば検証場所に利用できる。
同日の会合では委員から、安全面の確保だけでなく施工の効率性も意識しながら両方を高いレベルで実現する重要性が指摘された。年度末に策定する安全ルールをまずは第1版と位置付け、さらなる最適化に向け現場検証などで積み上げた内容を順次拡充し見直していく方針を示す。
冒頭あいさつした吉岡幹夫技監は「今ある技術を生かしていく考えもあるが、従来の形にとらわれず考えることも大事」と指摘し、同協議会の成果を踏まえ建設現場の将来像が描かれることに期待した。

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大阪狭山市近畿大病院跡地で企業にヒアリング土地利用案に集約

 近畿大学医学部・付属病院(大阪府大阪狭山市大野東)を堺市南区三原台へ移転する計画で、大阪狭山市は2022年8~10月に現病院などの跡地約28ヘクタールの土地利用案について、民間企業への聞き取り結果を3案に集約し、取りまとめた。3案とも後継病院を置くとし、住宅系を中心に福祉・商業系を複合する案や、商業・産業・流通系を導入する非住居系案、商業・住居系に文化・交流系を加える案に収れんした。10月までに後継医療法人と土地取得者が決まり、手続きなどを経て25年度にも開発が始まる見通し。
 跡地は、現在の付属病院があるAブロック(約10ヘクタール)と、Aブロック南側隣接地で緑地が広がるBブロック(約5ヘクタール)、Bブロックの西隣のCブロック(約11ヘクタール)で構成する。
 民間企業への個別の聞き取りには、デベロッパー4社とゼネコン3社を含む9社が応じた。このうちデベロッパー3社とゼネコン2社を含む6社が土地利用に関する提案を提出した。
 3案のうち、住宅系を中心にする案は、Aブロックに後継病院とサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、福祉系を、Bブロックには一戸建て住宅などと商業系を、Cブロックには公園、レクリエーション系、一戸建て住宅などを想定。
 非住居系案では、Aブロックに後継病院と商業・産業系を、Bブロックには商業・流通系、Cブロックに公園とレクリエーション系を配置した。文化・交流系導入案は、Aブロックに後継病院と住宅・福祉系を、Bブロックに文化・交流系と商業系、Cブロックには公園とレクリエーション系、一戸建て住宅を計画する。
 3案とも事業化した場合の効果として、▽後継病院での医療サービス継続▽居住人口や交流人口の増加▽商業施設や福祉施設の立地による利便性向上▽地域公共交通の活性化-などが見込めると指摘。
 今後の課題として、土地利用規制の秩序ある緩和や、PPPによる都市計画道路の整備など交通環境改善には「行政の取り組みが不可欠」としている。



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2023年6月28日水曜日

半導体関連産業集積へ/熊本県内で企業誘致の動き拡大、TSMC新工場が12月末完成

熊本県菊陽町で半導体メーカー・台湾積体電路製造(TSMC)の新工場建設が12月末の完成を目指して進む中、周辺地域で半導体関連企業の誘致に向けた動きが広がる。菊陽町はTSMC進出に伴い、町を巡る情勢が大きく変化したのを受け、2023年度内に「都市計画マスタープラン」の改定に着手する。県も菊池市など周辺自治体での工場立地を後押しするため、工業団地整備などの準備を着々と加速させる。
菊陽町は都市計画マスタープランを21年度に改定したが、その後にTSMCの工場建設が決まり、都市計画を巡る状況が一変。関連産業の工場立地や住宅用地の需要が高まっているのを背景に、マスタープランの見直しを決めた。
同町で開発が可能な市街化区域に指定されている区域は町域全体の約15%とわずかな範囲に限られる。農地保護の観点を踏まえ、土地利用の在り方について関係者との協議を重ねる。必要に応じて23年度補正予算を編成し、改定の関連経費を計上する。
県はTSMC新工場の北側に位置する既存の県営工業団地「菊池テクノパーク」(菊池市)の西側隣接地で、新たな工業団地の整備を目指している。対象区域は約25ヘクタール。実施設計の委託先を決める指名競争入札の手続きに向けた最終準備を進めている。24年度末までに造成工事に着手し、26年度末までの分譲開始を見込む。県は合志市内にも工業団地を計画中で、用地取得に向けた協議を進めている。
TSMC新工場の誘致による余波は菊陽町に隣接する合志市などを含めた周辺自治体に広範囲に及ぶ。県は企業の事業活動に必要な工業用水を供給できる新たなインフラの整備も構想している。
県企業局は、1級河川菊池川水系の迫間川にある竜門ダム(菊池市)を水源とする有明工業用水道の未利用水の一部活用に向けた検討を本格化。既設の農業用パイプラインを経由し、同ダムから取水した水を合志市や菊陽町方面に送り込むことを想定する。
同局は必要な新浄水場に向けた概略設計や、農業用施設からの取水に関する調査検討などを日水コンに委託。23年度内に事業化の判断を下す。同局の担当者は概略設計業務を通して「農業用パイプラインからどれだけの工業用水を引けるか、水理計算をしながら検証する。工場立地を推進できるような良い結果につなげたい」と力を込める。


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日建連、東京書籍/8月5日に小中学生向けオンライン見学会/多種多様な建機紹介

夏休みは建設機械の世界にようこそ--。日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)と東京書籍(東京都北区、渡辺能理夫社長)は、8月5日午後2~3時に小中学生向けのオンライン現場見学会を開く=写真はポスター。
現場は埼玉県秩父市にある日本キャタピラー(東京都千代田区、本田博人代表職務執行者社長)の建機総合研修センター「D-Tech Center」。一般的によく知られたものから街であまり見かけない多種多様な建機を披露し、オペレーターのすご技も生中継する。
日建連と東京書籍が連携し小中学生の夏休み期間にオンライン現場見学会を開くのは、2021、22年に続き3回目。ウェブ会議システムのZoomを利用。パソコンやスマートフォン、タブレットを使いどこからでも参加できる。参加無料。定員は950人。
申し込みは特設サイト(https://ashitane.edutown.jp/ashitanelive03/)へ。


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回転窓/カワウとの知恵比べ

新技術の開発、実装が相次ぐドローン。その性能に着目し、群馬県はドローンサービスを提供する県内企業と組んで、増えすぎたカワウの食害から川魚を守る活動に取り組んでいる▼カワウの生息地を調査した上で、背の高い木などにある営巣にドローンからドライアイスをピンポイントで投入し、ふ化を防ぐ。個体数は着実に減り、ドローンのおかげで作業従事者の安全性が大きく向上したという▼千葉・幕張で行われている展示会「ジャパンドローン2023」(26~28日、主催・日本UAS産業振興協議会)を取材した。開催は8回目。ドローンの市場拡大に伴って、過去最大の出展239者、来場は最多の1・8万人を見込んでいる▼会場には国内外の最新鋭の機体とともにカメラ・センサーといった関連機器なども数多く並ぶ。狭小空間専用の新型機を発表したある企業の代表は「(人が入りにくい)空間のリスクを可視化し、人の代わりをしてもらいたい」とアピールしていた▼カワウの行動半径は60キロとされ、対策を講じても営巣が移る懸念があるそう。進化の著しい道具をどう生かすのか、使う側の知恵が試される。


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竹中工務店ら/IoTで建機の稼働・停止検知、CO2排出量自動モニタリング

竹中工務店と建設会社のアルモ(高松市檀紙町、河田宣人社長)は建設機械の稼働、停止を自動検知するIoTデバイスを共同開発した。建機の二酸化炭素(CO2)排出量を可視化する既存システムと連携し自動モニタリングと集計を行う。1現場で試行しており順次拡大する方針。効果を検証し、より効果的なCO2削減策などにつなげる。
IoTデバイス「どんだけ」は電流を検出するセンサーと防水ケースに内蔵した通信装置で構成。建機のバッテリーに取り付けるだけで機械の稼働、停止状態が検知できる。
すべてのエンジン式建機に設置が可能。汎用(はんよう)性が高く、施工中の現場ではクローラクレーンや杭打ち機、油圧ショベル、フォークリフト、高所作業車などに適用している。
デバイスと連携させる「CO2排出量モニタリングシステム」はユアサ商事と共同開発。脱炭素関連コンサルティングなどを手掛けるゼロボード(東京都港区、渡慶次道隆代表取締役)の温室効果ガス排出量算定・可視化ツールに自動データ収集機能を付加した。
「どんだけ」で検知した情報を通信装置からモニタリングシステムに送り、建機の稼働時間からCO2排出量を算出する。機械台数などの手入力が不要になり、より精度の高い排出量をタイムリーに把握できる。
竹中工務店では機械保有会社やレンタル会社と「どんだけ」の運用体制を構築し建設現場への導入を進める。導入効果を検証し効果的なCO2削減策の抽出と水平展開に努め、CO2排出量の目標管理をきめ細かく行っていく。
高所作業車への設置事例(写真中央、竹中工務店提供)

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国交省/直轄河川の情報基盤構築へデジタル地図に集約、施工・維持管理を効率化

国土交通省は「(仮称)流域治水データプラットフォーム(PF)」の一環として、直轄管理河川に関わる情報を官民で共有し防災・減災対策や維持管理などに役立てる仕組みを作る。新たに直轄河川を対象にした「河川情報基盤」を構築し=図参照、施設台帳や3Dデータなどの情報をデジタル地図に集約。工事や業務の受注者と共有し、現地の状況や工事の進行状況を一目で確認できるようにする。完成には数年かかる見通し。2023年度はデータ形式の統一基準を策定し、さまざまな個別データを集約するための体制を整える。
河川情報基盤は施設台帳や巡視・点検結果、工事、環境など、同省の直轄河川に関わるさまざまな情報をアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)で連携。1枚のデジタル地図上に集約し、工事や点検など進行状況を関係者間でリアルタイムに共有できるようにする。国交省の職員や工事・業務受注者を対象にしたシステムで、現時点で一般公開する予定はないという。
23年度は情報基盤の構築に向けデータの統一様式を決める。データ様式を定めた標準仕様書などを作成し、工事や業務の受注者から納品されるデータが自動的に蓄積されていくシステムの構築を目指す。
情報基盤に蓄積したデータは、さまざまな用途に活用できる見込み。例えば、直轄河川の地形や構造物の3Dモデルを建設業者と共有できれば、現地確認作業の効率化が期待できる。光ファイバーケーブルのような河川地下埋設物の情報も事前に把握できるようにしておければ、スムーズな施工に役立つとみる。
国交省はドローンの飛行禁止空域などに関するデータを活用し、ドローンが安全に自律飛行できるシステムの開発を想定。その成果として河川周辺の状況をドローンで把握できるようになれば調査効率も高められる。調査の実施頻度を増やし、不法投棄物の迅速な発見など細かな変化も見過ごさないようにする。
流域治水データPFでは河川情報基盤以外にも複数の情報を集約し、河川管理者や民間企業にとって使いやすい仕組みを作っていく。水位や予報・警報といった防災面のデータをリアルタイムで共有できる既存の「統一河川情報システム」との連携も視野に、さらなる充実を図る。


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JAC/特定技能の海外試験受付開始/「外国人共生講座」もスタート

建設技能人材機構(JAC、三野輪賢二理事長)は、海外での特定技能1号評価試験を本格的に開始する。先行的に試験実施を準備してきたインドネシアとフィリピンの2カ国で28日からエントリーを受け付ける。特定技能外国人を受け入れるための試験体制を国内外で整える一方、受け入れ企業向けのサービスも強化。外国人就労者の出身国ごとに文化・慣習や配慮事項などをレクチャーする「外国人共生講座」も7月に始める。

特定技能外国人を受け入れる際の業務区分が▽土木▽建築▽ライフライン・設備-の3区分に再編・統合されてから海外試験は初めて。現地での試験運営は世界180カ国以上で事業展開する米国のプロメトリック社に委託し、コンピューターを利用した「CBT方式」で実施する。同社のウェブサイトでエントリーを受け付ける。
先行するインドネシアでは7月4日からジャカルタなど6都市、フィリピンでは同11日からマニラなど3都市で順次開催。以降▽カンボジア▽モンゴル▽ミャンマー▽ネパール▽タイ▽スリランカ▽インド▽ウズベキスタン▽バングラデシュ-の各国でも検討する。
外国人共生講座はインドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国を当面の対象とする。出身国の習慣や文化、宗教への理解不足からトラブルに発展するケースがあることから、受け入れ企業の役員や管理職、従業員に参加してもらうことで外国人材の育成と活用、定着につなげる。
同講座はオンライン形式で年度末までに計6回予定。定員は各回1000人。JAC会員以外や技能実習生の受け入れ企業も参加できる。参加は無料。28日から専用ホームページ(http://tiny.cc/sj68vz)で申し込みを受け付ける。


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関西空港懇談会国が関空神戸に新たな飛行ルート案示す

 関西国際(関空)、大阪(伊丹)、神戸の3空港の在り方を官民が協議する「関西3空港懇談会」(座長・松本正義関西経済連合会会長)が25日、大阪市内で開かれ、関空と神戸空港の発着回数拡大に向け、国土交通省が淡路島上空を通過する経路を増やすなど新たな飛行ルート案を示した。大阪湾内の混雑を分散させるため、陸上飛行高度を現在の8000フィートから5000フィートなどに下げる案も提示された。大阪府と兵庫、和歌山の両県は8月にも新ルートの妥当性を検討するための環境検証委員会を設置し、懇談会は2024年中に地元としての見解の取りまとめを目指す。
 ◇8月にも3府県が環境検証委設置へ
 懇談会には大阪府の吉村洋文知事、兵庫県の齋藤元彦知事、和歌山県の岸本周平知事、神戸市の久元喜造市長、関西エアポートの山谷佳之社長、国土交通省航空局の久保田雅晴局長らが出席した。
 冒頭のあいさつで松本会長は「昨年9月の懇談会では関空の容量拡張や神戸空港の国際化を含む活用の方向性が合意できた。今後はインバウンドが回復し、ビジネス需要が戻ってくると期待される。国際的な都市間競争に勝ち抜くための大きな足掛かりにするためにも昨年の合意内容の実現に向け、関係者が一丸となって一段とギアを上げなければならない」と強調した。
 関空では現在、西日本や中国、韓国、東南アジア方面の出発便は明石海峡と淡路島の北部(北風時)を通る2ルートを設定しているが、見直し案では淡路島南部に二つのルートを追加する。友ケ島(和歌山市)の手前で同じルートを通っていた到着便(同)は、大阪府岬町沖から同じルートを通るようにする。
 神戸空港は明石海峡上空を通過している発着便のうち、出発便は淡路島北部を通ることで両方向の運用を解消する。
 大阪湾内を大きく迂回(うかい)していた出発時の飛行経路は、陸上通過時の高度を8000フィート以上から5000フィート以上に下げることで小回りが可能となる。
 懇談会後の会見で国交省航空局の吉岡誠一郎近畿圏・中部圏空港課長は「安全の確保を最優先にしながら公害のない空港という基本理念を尊重して必要最小限の範囲で見直した」と説明した。
 吉村知事は「騒音に関して客観的、科学的に検証する必要がある。地元の理解を深めながら関空と神戸空港の容量の拡大を実現したい」とし、齋藤知事は「淡路上空の通過ポイントが増えるが、住民の理解を得るために汗をかいて努力したい」と話した。
 環境検証委員会は新ルート案の妥当性や騒音の影響と範囲を予測し、必要に応じて改善案を検討する。委員会には騒音や航空、地域政策分野などを専門にする有識者が入り、関西経済連合会がオブザーバーとして参加する。
 昨年9月に開かれた前回懇談会では、3空港の年間発着回数の上限を現在の約40万回から30年前後をめどに、50万回に増やす方針を決定。関空は2025年大阪・関西万博までに1時間当たり最大46回を60回に引き上げ、30年代前半をめどに現在の年間発着回数23万回を3割増の30万回まで増やす。神戸空港は1日の発着回数80回を国際線40回を含めて160回に増やすことで合意した。万博時は国際チャーター便の運航を目指す。



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青森県汚水処理施設整備で第次構想決定処理人口普及率年度に

 青森県は26日、汚水処理施設整備の第5次構想を公表した。人口減少による使用料収入の低下、施設の老朽化に伴う改築更新費の増大などを踏まえ、処理施設の統廃合や事務・維持管理業務の共同化を推し進める。ストックマネジメント計画を策定して施設を効率的に改築更新する。2021年度に81・5%だった県内全域の汚水処理人口普及率は優先順位を付けた施設整備で26年度(短期)86・4%、31年度(中期)88・6%、41年度(長期)92・9%に引き上げる目標を設定した。
 汚水処理施設整備の早期完了に向け、県は▽下水道計画区域の見直し▽早期・低コスト型の手法を導入した整備促進▽浄化槽処理促進区の指定-といった施策を推進する。早期・低コスト型の整備手法は「クイックプロジェクト」と銘打ち、流動化処理土の管渠施工への利用、道路線形に合わせた施工、改良型伏せ越しの連続採用、工場製作型極小規模処理施設などを導入する。
 施設整備に当たっては、個別処理区域で交付金制度を活用した浄化槽整備を後押し。公共浄化槽の整備促進や適切な維持管理に向け、BOO(建設・運営・所有)方式やBOT(建設・運営・移管)方式のPFIなどを積極的に検討する。
 人口減や厳しい財政状況を考慮し、下水処理の広域化や共同化を推し進めライフ・サイクル・コスト(LCC)の最小化、コスト負担の平準化などに取り組む。広域化・共同化のメニューは▽処理施設の統廃合▽処理場・管路維持管理業務の共同発注▽遠隔監視システムの導入▽管路・設備台帳システムの導入・拡大▽企業会計移行業務の共同化-などを想定している。
 施設の統廃合は五所川原市と鶴田町、つがる市と鶴田町、藤崎町と青森市、弘前市と西目屋村、板柳町と藤崎町、板柳町、平川市と大鰐町、五所川原市、つがる市などの区分で検討着手時期や整備着手時期を示している。
 汚泥の有効利用では、県が運営管理する岩木川浄化センターで下水汚泥を濃縮・脱水・焼却し、焼却灰をセメント材料に使っている。ただ焼却設備が老朽化しているため、肥料化施設を整備し製造した肥料を地域で使う構想を検討中。脱炭素・資源循環型社会を目指す取り組みとして、県は下水処理場などを拠点にしたイノベーションモデルを具体化する方針だ。



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都道府県政令市の電子契約導入は割未満紙併用の煩雑さなどに懸念国交省調査

 国土交通省は都道府県と政令市の入札契約手続きに関する電子化の取り組み状況を調査した。競争参加資格審査で電子申請を導入している都道府県は半数超の25団体。発注工事で電子契約を導入している都道府県は2割未満の7団体だった。受発注者双方の事務負担の軽減などに効果が指摘されながら、システム構築に要する時間や経費、紙との併用となる場合の煩雑さなどの懸念から導入をためらうケースがある。
 競争参加資格審査の電子申請は、導入団体から▽受注者の窓口持参が不要▽発注者の郵送の手間が省ける▽書類から取り込み用データを作成する際の事務的ミスが軽減-といったメリットを確認。受発注者ともにシステム対応の機器やネットワークを整備しなければならず、印鑑証明書や納税証明書などを郵送で提出してもらう必要もあることがデメリットに挙がった。
 検討中の団体らは導入コストや紙申請との併用による事務負担、国が示す標準様式との整合を課題に挙げた。
 都道府県のうち13団体は、市町村などと審査申請システムを共同化(一部共同含む)していると回答。発注者側の申請様式の統一や市町村の負担経験で効果が発揮されているが、共通部分を審査する県に事務が集中している実態なども確認された。
 電子契約の導入団体からは契約締結までの時間やコストを削減可能で、発注者側だけでなく受注者側の印紙税や製本費用、郵送費用などの節減や契約書作成期間の短縮につながるとの声があった。
 一方、検討中の都道府県は34団体、政令市は14団体と最も多い。導入に向けた課題は▽支出の審査や監査部門で確認するため契約書の印刷が必要▽契約書以外の書類提出ができないため電子と紙との併用では事務処理が煩雑▽予定していた契約日中にすべての契約当事者の電子署名が完了しなかった場合の対応-などが聞かれた。導入団体も▽契約書の事前チェックなど短時間での事務処理が難しい▽契約担当職員の業務増-などをデメリットと指摘している。



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日建連都市部の浸水被害軽減へ地下河川施設の二重化提案併設トンネル整備

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は都市部の浸水被害を軽減する観点から、調節池や放水路といった地下河川施設の計画容量を大幅に増やす「併設トンネル」の整備を提案した。これから技術開発のさらなる進展が見込まれるトンネルのシールド工法を応用するイメージ。地上にまとまった土地が少ない都市部の地下空間を最大限有効に活用できるよう、既設地下河川の上下もしくは左右にシールドトンネルをもう一本併設する「二重化」を実現すれば、都市部の浸水対策を大幅に強化できると期待する。
 併設トンネルの整備案は、26日に東京都内で開かれた国土交通省の「浸水被害軽減に向けた地下空間活用勉強会」で披露した。シールド工法の採用を前提にしている。
 日建連によると、左右併設の地下トンネル案は川幅も含め事業用地の幅が広い場合に推奨。施工深度は比較的浅くできるため、これまで道路トンネルなどで施工実績が多く止水対策も大きな課題はないという。
 上下併設のトンネル案は事業用地の幅が狭く周辺地盤が硬質であるケースに推奨している。ただ既設地下河川のさらに直下に新設する場合には深度も深くなり、施工の難易度は高いことを想定。立坑の大深度化や完成時の止水対策に留意することも必要と見る。
 現在、シールド工法による左右併設の地下トンネルは新名神高速道路枚方トンネルで上下線1本ずつの整備を計画中。シールド外径は世界最大級の17・68メートルで、最小土被り4・6メートルで船橋川の地下を斜横断する。切羽の安定や裏込め注入材の流出防止、セグメント浮き上がり対策などが課題という。上下併設の地下トンネル整備は首都高速道路大橋トンネルで実績がある。いずれも道路分野で先行しており、実績のない河川分野で実現した場合は参考になりそうだ。
 日建連によると、これからシールド工法の技術開発はさらなる進展が見込まれている。施工中の安全・安心確保に向け、周辺環境のモニタリングやシールドマシンの掘進によって発生する騒音・振動を抑える技術の開発が進展中。施工のコスト縮減関連では、シールドの長距離・高速施工技術の高度化や、立坑の削減・規模縮小に関わる技術開発が進んでいる。さらに掘削土の効率的に改良・改質する技術の開発もさらに進む見通しだ。



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労研首脳安全教育推進で後進育成上限規制対応の安全衛生方策が課題

 建設労務安全研究会(労研)の細谷浩昭理事長と5月18日付で就任した佐藤恭二、稲直人両副理事長が日刊建設工業新聞など専門紙各社の取材に応じ、本年度の活動方針を語った。先月で就任2年目を迎えた細谷氏は、建設現場の労働災害撲滅に向け「安全は地道な取り組みの積み重ねであり、その在り方は時代とともに変わるものだ」と指摘。安全教育の推進による後進の育成に意欲を見せた。当面は2024年4月に迫る時間外労働の罰則付き上限規制に対応した労働安全衛生方策の推進も検討課題になるとの見方を示した。
 労研によると、依然として建設現場で発生する労働災害の大部分を墜落・転落や建設機械・クレーンとの接触、倒壊・崩壊といった「三大災害」が占めている。近年は建設現場に他産業からの転職や外国人労働者も増加傾向にある。細谷氏らは建設業の労働安全衛生を巡る現状について、労災発生リスクに関する現場で働く人たちの危険感受性が落ちていると指摘。コロナ禍の影響も重なり、直接的なコミュニケーションが不足していることが要因にあると見る。
 佐藤氏は「IT化の中で本当のコミュニケーションが大切になる」と問題提起した。稲氏は「現場で扱う機械や技術、工法も増えており、労働安全衛生の面でも昔になかった選択肢が増えている」と分析し、「労働時間の規制もありITを使わないと現場が成り立たない部分は理解できる。だからこそ安全教育に対しても元請と下請が力を合わせてやっていかないといけない」と訴えた。
 細谷氏ら3氏はこうした現状も踏まえ、そろって安全教育の重要性を強調。基礎的な知識の習得とともに、一人一人が理解し合うコミュニケーションの大切さを伝えていく必要があるとした。
 細谷氏は本年度にスタートした国の5カ年の第14次労働災害防止計画や6月に変更を閣議決定した建設職人基本計画を注視し、安全衛生経費の確保や健康確保策の強化などフォローアップしていく方針も表明。厚生労働省が議論している一人親方など個人事業者の安全衛生対策にも触れ、これまで以上に実効性を高める必要性を求めた。
 佐藤、稲両氏は就任の抱負も表明。佐藤氏は「労研の活動がみんなに分かりやすく見えるよう進めていく。全体で労働安全衛生のレベルアップを図っていきたい」と述べた。稲氏は「(労研の会員企業として)せっかく39社のゼネコンが集まっているのだから、多くの会員企業が問題と認識している労働安全衛生の課題を検討し解決できるようにしたい。少しでも業界全体と働く人たちが幸せになればよい」と話した。



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2023年6月27日火曜日

福岡市/ボートレース福岡にスケートボード施設整備/24年度以降に設計着手

福岡市は、競艇場「ボートレース福岡」(中央区那の津)の敷地内でスケートボード施設の整備を計画している。前売り投票所の再編で生まれる用地などを活用し、イベントスペースを併設する形で整備する。民間活力の導入を視野に入れており、整備、運営の手法を2023年度中に固める。基本・実施設計の着手は24年度以降を想定している。
整備検討エリアは、舟券を発売する前売り投票所、前売り専用駐車場、その他遊休スペースを含めた約9000平方メートル。
スケートボードは20年東京五輪での日本人選手の活躍を機に人気が高まっているが、市の都心部には大規模なスケートボードの大会を開催できる施設がない状況だ。スケートボード施設の誘致により集客力アップにつなげたボートレース鳴門(徳島県鳴門市)の事例を参考に、市は整備の検討を本格化する。
併設するイベントスペースはボートレースの魅力を発信するイベントなどを開催する場とし、にぎわい創出やボートレースファンの新規拡大に取り組む。
近年、ボートレース業界ではレース場の遊休スペースを活用し、複合アミューズメント施設とする「ボートレースパーク化」を推進。従来の公営ギャンブル場から、地域に開かれた施設として家族連れなど多様な層の集客を目指している。現在全国24場のうち、11場がボートレース振興会の助成(上限1億円)を活用し、子ども向け遊具施設やスケートボード場の整備を進めている。


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エフティーエス、ゼネコン4社/山岳トンネルの吹付厚さ計測・管理システムを開発

建設機械の開発や販売を手掛けるエフティーエス(東京都中央区、木村浩之社長)とゼネコン4社が、山岳トンネル工事で吹き付けコンクリートの厚さをリアルタイムで計測管理する「吹付ナビゲーションシステム」を共同開発した。同社は今後、開発したシステムを搭載したエレクター付き吹付機「ヘラクレスナビゲーター」の普及を図る。
エフティーエスのほか清水建設、戸田建設、西松建設、前田建設の5社で共同開発した。
新システムは▽生コンクリートを吹き付けている吹き付け面までの距離を正確にリアルタイムで測定できるミリ波レーダー技術▽ミリ波レーダーの座標位置を正確に測量するモーションキャプチャ技術▽生コンクリートを噴出吹き付けするノズルを稼働制御する技術▽山岳トンネル施工坑内での機械測位システム技術-の四つの技術で構成する。
トンネルの基線の座標系に合わせて、吹き付けコンクリートの出来形をタブレット端末などでリアルタイムに可視化。施工操作と出来形のリアルタイム・デジタル管理が可能となった。ミリ波レーダーを使って吹き付け面までの距離を測定。通常のレーダー波と違って吹き付け中の生コンクリートの霧や塵(ちり)を透過するため、測定波が錯乱しにくく作業中の厚さの変化を高精度に把握できる。モーションキャプチャカメラは、吹き付け中のノズル位置計測に応用する。
ミリ波レーダー技術の導入検証と確立は前田建設、吹き付けロボットの高剛性・電子制御化開発はエフティーエス、吹き付けノズルの座標位置技術の確立は戸田建設と西松建設、トンネル機械測位システムと座標系統合技術の開発は前田建設が担当した。清水建設はプロトタイプ統合による全体検証を担当し、実証フィールドを提供した。
エフティーエスら共同開発チームは、2018年から山岳トンネル工事のコンクリート吹き付け作業を遠隔で自動化するための技術開発を進めてきた。従来の吹き付け作業効率を損なわず、定量的にリアルタイムに遠隔で吹き付け出来形状況が確認できる技術を目指し、ヘラクレスナビゲーターを開発した。
吹き付け厚さを、タブレット端末からリアルタイムで確認できる(報道発表資料から)

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回転窓/強靱化への思いに国境なし

異国の地での医療活動、かんがい施設の整備に取り組んだ日本人医師の人生を紹介する展示会を観覧した。その勇敢な行動力と深い洞察力に加え、人としての温かみに改めて感銘を受けた▼東京都江東区のギャラリーエークワッドで先週まで行われていた企画展「百の診療所よりも一本の用水路を 中村哲の挑戦」。虫捕り少年だった中村さんが医学の道を志し、活動を海外に移していった経緯を年表形式で分かりやすく紹介していた▼パキスタンではハンセン病患者の治療に従事し、足裏への感染予防のためにサンダル工房も開設した。国境を越えてアフガニスタンへ入ると、干ばつで苦しむ人たちが生きるための井戸を掘り、砂漠化した農地を潤す用水路の整備に力を注いだ▼あふれる情熱は周囲に感化し、協力の輪が広がっていく。困難を乗り越え、大規模な土木事業を完遂させた原動力は、人が人を思いやる心なのだろう▼人の真心は信頼に足る--。4年前に凶弾に倒れた中村さんの遺志はこれからも引き継がれ、安全・安心で豊かな暮らしの実現を後押しする。災害の種類は違えど、国土強靱化への思いに国境はない。


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都道府県・政令市の電子契約導入は2割未満、紙併用の煩雑さなどに懸念/国交省調査

国土交通省は都道府県と政令市の入札契約手続きに関する電子化の取り組み状況を調査した。競争参加資格審査で電子申請を導入している都道府県は半数超の25団体。発注工事で電子契約を導入している都道府県は2割未満の7団体だった。受発注者双方の事務負担の軽減などに効果が指摘されながら、システム構築に要する時間や経費、紙との併用となる場合の煩雑さなどの懸念から導入をためらうケースがある。
競争参加資格審査の電子申請は、導入団体から▽受注者の窓口持参が不要▽発注者の郵送の手間が省ける▽書類から取り込み用データを作成する際の事務的ミスが軽減-といったメリットを確認。受発注者ともにシステム対応の機器やネットワークを整備しなければならず、印鑑証明書や納税証明書などを郵送で提出してもらう必要もあることがデメリットに挙がった。
検討中の団体らは導入コストや紙申請との併用による事務負担、国が示す標準様式との整合を課題に挙げた。
都道府県のうち13団体は、市町村などと審査申請システムを共同化(一部共同含む)していると回答。発注者側の申請様式の統一や市町村の負担経験で効果が発揮されているが、共通部分を審査する県に事務が集中している実態なども確認された。
電子契約の導入団体からは契約締結までの時間やコストを削減可能で、発注者側だけでなく受注者側の印紙税や製本費用、郵送費用などの節減や契約書作成期間の短縮につながるとの声があった。
一方、検討中の都道府県は34団体、政令市は14団体と最も多い。導入に向けた課題は▽支出の審査や監査部門で確認するため契約書の印刷が必要▽契約書以外の書類提出ができないため電子と紙との併用では事務処理が煩雑▽予定していた契約日中にすべての契約当事者の電子署名が完了しなかった場合の対応-などが聞かれた。導入団体も▽契約書の事前チェックなど短時間での事務処理が難しい▽契約担当職員の業務増-などをデメリットと指摘している


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日建連/都市部の浸水被害軽減へ地下河川施設の「二重化」提案、併設トンネル整備

日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は都市部の浸水被害を軽減する観点から、調節池や放水路といった地下河川施設の計画容量を大幅に増やす「併設トンネル」の整備を提案した。これから技術開発のさらなる進展が見込まれるトンネルのシールド工法を応用するイメージ。地上にまとまった土地が少ない都市部の地下空間を最大限有効に活用できるよう、既設地下河川の上下もしくは左右にシールドトンネルをもう一本併設する「二重化」を実現すれば、都市部の浸水対策を大幅に強化できると期待する。
併設トンネルの整備案は、26日に東京都内で開かれた国土交通省の「浸水被害軽減に向けた地下空間活用勉強会」で披露した。シールド工法の採用を前提にしている。
日建連によると、左右併設の地下トンネル案は川幅も含め事業用地の幅が広い場合に推奨。施工深度は比較的浅くできるため、これまで道路トンネルなどで施工実績が多く止水対策も大きな課題はないという。
上下併設のトンネル案は事業用地の幅が狭く周辺地盤が硬質であるケースに推奨している。ただ既設地下河川のさらに直下に新設する場合には深度も深くなり、施工の難易度は高いことを想定。立坑の大深度化や完成時の止水対策に留意することも必要と見る。
現在、シールド工法による左右併設の地下トンネルは新名神高速道路枚方トンネルで上下線1本ずつの整備を計画中。シールド外径は世界最大級の17・68メートルで、最小土被り4・6メートルで船橋川の地下を斜横断する。切羽の安定や裏込め注入材の流出防止、セグメント浮き上がり対策などが課題という。上下併設の地下トンネル整備は首都高速道路大橋トンネルで実績がある。いずれも道路分野で先行しており、実績のない河川分野で実現した場合は参考になりそうだ。
日建連によると、これからシールド工法の技術開発はさらなる進展が見込まれている。施工中の安全・安心確保に向け、周辺環境のモニタリングやシールドマシンの掘進によって発生する騒音・振動を抑える技術の開発が進展中。施工のコスト縮減関連では、シールドの長距離・高速施工技術の高度化や、立坑の削減・規模縮小に関わる技術開発が進んでいる。さらに掘削土の効率的に改良・改質する技術の開発もさらに進む見通しだ。
上下左右に併設する地下トンネルのイメージ(日建連資料から)

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東北のチカラ丸本組宮城県石巻市新技術武器に新しい地域建設業へ

 ◇自走式ロボでPC杭内部の品質チェック
 地域に根差した事業活動を展開し、独創的な取り組みや新分野にも挑戦している東北の建設関連企業にスポットを当てる「東北のチカラ」。3回目は宮城県石巻市を拠点に土木、建築、漁港・港湾、舗装など幅広い分野で地域の未来創造に携わっている「丸本組」(佐藤昌良社長)の新たな取り組みを紹介する。
 土木・建築業を手掛ける丸本組の創業は1946年。「地域の安全、安心を守る。」を経営理念に発展してきた。東日本大震災では社屋が全壊するなど大きな被害を受けたが、地元企業として石巻の復旧・復興に力を振り絞った。
 主力の建設事業では、高品質な施工につながる取り組みとして、新しい技術やシステムの開発、現場での活用に力を注いでいる。施工中のプロジェクトを例に挙げると、23年1月に着工した「(仮称)栗原警察署庁舎等新築工事」では、杭工事(基礎工事・杭基礎40本、内径600~800ミリ、延長20メートル)の施工管理に新技術を投入した。試作したのはPC杭内面撮影機「MITSUSUKE01(光祐初号機)」。ひびや欠けなどの目視確認が難しい杭内部を埋設前に撮影し、PC杭の状態に問題がないかをチェックしている。
 「光祐」は先頭部分にLEDリングライトとカメラ(GoPro)を装着し、バッテリーで駆動するロボットを使い、杭内部を撮影する仕組み。前後6本の車輪アームでバランスを取り、自走しながら各腕のサスペンションで円柱の中心点を保持する。リモコン操作でPC杭内部を走行し、360度カメラで始点から終点まで撮影。人の目が届きにくい部分まで記録でき、管理の幅と質の向上が期待できる。
 イオラボ(横浜市青葉区、吉井崇代表取締役)に製作を依頼し、構想から約半年で試作機を作り上げた。同社の酒井慎一ソリューションデザイナーは「現場で使いやすいようにシンプルな操作を心掛けた」のがロボットの特徴と説明する。5月から岩手、新潟両県の杭工場で検査に試作機を投入した。
 (仮称)栗原警察署庁舎等新築工事で陣頭指揮を執る丸本組の桑原武司工事所長は「今まで見えなかった部分が画面で確認できるので、品質向上につながる」と話す。「杭製造会社にも興味を持ってもらっている。バッテリーの持続性など試作で見えてきた課題もあるが、今後の改良につなげていきたい」と語るのは、同社の山岸邦亘技術支援部長だ。
 同社は今後の構想として、側溝や下水管内の走行撮影など杭内部以外の展開を検討している。スキャナー機能を付加した3D測量への投入も視野に入れる。同社の山本翔太郎常務は「海外情勢などに起因する物価高騰や度重なる自然災害など課題は山積している。時代の変化に合わせて地域建設業も新しい在り方を模索していかなければならない」と先を見通す。
 生産性向上や働き方改革を目指す動きは地域に根差した建設会社も決して無縁ではない。「合言葉は『リボーンワーク』」と話す山本常務は、新技術の開発や実用化によって「今までにない新しい地域建設業を目指したい」と前を向く。



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2023年6月26日月曜日

愛媛県/流域治水マニュアル策定し取り組み解説、住民や企業に参画促す

愛媛県は、気候変動による水災害の激甚化・頻発化に備え、あらゆる関係者が協働で取り組む流域治水のマニュアルを策定した。地域住民や企業に流域治水への理解を深めてもらい参画を促すのが狙いで、住民版と企業版の二つを用意した。流域治水に取り組む県内企業・団体などを登録する「愛媛県流域治水推進企業等登録制度」も創設した。登録者の名称や取り組み内容を県ホームページでPRする。登録ロゴマークの使用が可能となる。
企業版のタイトルは「えひめの流域治水~チームえひめで水災害対策~」。製造会社を舞台に若手社員と管理職らが対話を重ねながら、雨水タンクの設置や透水性舗装、森林保全活動、BCP(事業継続計画)計画策定の必要性などを学んでいく内容となっている。
地元企業やNPO、行政のメンバーで設立したプロジェクトチームがマニュアル策定に当たった。住民版のタイトルは「みきゃんと学ぼう流域治水~きみのバケツがえひめを救う~」。県のイメージアップキャラクターみきゃんを主人公に、Q&A方式で分かりやすく流域治水が学べる。
企業版の表紙(報道発表資料から)

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建設環境研究所/DX関連の取り組み強化、ゲームエンジン活用し3Dモデル

建設環境研究所(東京都豊島区、浦川雅太社長)がICTなどを活用した建設コンサルタント業務のDXに力を注いでいる。ゲームエンジンを使って河川の将来景観を3D化し計画検討に役立てる技術、データ入力やカメラ、GNSS測位などの機能を集約した野外調査用電子野帳システムなどを実用化。業務負担の軽減や円滑な意思決定などに役立てている。
同社は環境関連を基軸に公共、民間の両分野でコンサルティングサービスを提供している。技術者の知識や経験に頼る部分も多かった領域で業務効率を高め、より質の高いサービスを提供するため、異分野の技術も活用したDXに取り組んでいる。
河川環境CIMは、米エピックゲームズが開発したソフトウエア「Unreal Engine」を活用し、水環境の将来を3Dで可視化できる。航空写真や植生図、測量成果といった2Dデータをゲームエンジンの機能で統合し、3Dで表現する。
環境データと地形を高度に処理した表現は、計画立案から設計、施工までさまざまな段階で活用可能。「プログラミングのノウハウがなくてもゲームが作れる」「他のソフトウエアで制作したデータをシームレスに変換・統合できる」というUnreal Engineの特徴を生かし、きめ細かいサービスでプロジェクトの合意形成に役立てる。
野外調査用電子野帳システムは、「Wild-K」の名称で独自開発した。データを書き込む野帳、自動測位、カメラ、地図などの機能を携帯端末に集約。現地調査の結果を音声や電子ペンで入力すれば、クラウドサーバーにデータが格納される。
書類の清書や転記が不要になるだけでなく、データのアクセス権限がある関係者で情報が素早く共有できたり、現場担当者の作業負担が軽減できたりする。人力に頼らず、データ形式も統一することで、従来は難しかった経年比較や広域分析も容易になる。
開発段階の技術には、ブラックライトを使ったコンクリート壁面のひび割れ検知システムがある。探傷剤をコンクリート構造物に塗布し紫外線を当てると、目視では発見できない微細なひび割れが検知可能になる。撮影した画像データはタブレットを使えばその場で確認でき、ひび割れ幅も算出できる。
プロトタイプの小型装置を開発済み。インフラ施設の維持管理・点検業務を効率化するDXツールとして公共機関などに提案活動を展開するとともに、実務で使用できる装置を開発して現場に投入する計画だ。
ゲームエンジンで作成したノウルシの群生3D景観(建設環境研究所提供)

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日建連、全建/7~9月を4週8閉所推進期間に/現場従事者の健康配慮

日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)と全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)は7~9月の3カ月間、会員企業が施工する現場で4週8閉所の推進期間と位置付ける。会員企業への呼び掛けやポスターの掲示などを通じ集中展開。猛暑が続くと懸念される夏季に現場で働く技能者や技術者の休養の時間を十分に確保できるようにして、熱中症の予防や心身の健康確保に万全を期す。2024年4月に迫る時間外労働の罰則付き上限規制適用も意識し、年間を通じた週休2日の確保に弾みをつける狙いもある。
発端は斉藤鉄夫国土交通相と建設業主要4団体が3月29日に東京都内で開いた意見交換会。席上、建設産業専門団体連合会(建専連)の岩田正吾会長が「猛暑が増しており7、8月は土日完全閉所にできないか」と提案したことを受け、日建連や全建は残暑が懸念される9月も含めた夏季の3カ月間を4週8閉所の推進期間としてさまざまな活動を展開する。
日建連は推進期間の周知と取り組みを徹底するため、「しっかり休んで良い仕事を」をキャッチコピーとするPR用のポスターを作成。ホームページ(https://www.nikkenren.com/2days/logomark.html)からダウンロードできるようにし、現場や事務所内への掲載を呼び掛けている。
実際の閉所日は会員企業主導で現場の事情などを考慮し、必ずしも土日に限らずに決めてもらう。日建連は来夏も4週8閉所の推進期間活動を継続する予定。同期間も含め年間を通じ契約時に適正工期を確保するよう発注者に求めていく。
全建は働き方改革促進策として通年で実施している「目指せ週休2日+360時間(ツープラスサンロクマル)運動」の一環として、新たに7~9月の週休2日を集中展開。熱中症へのかかりやすさを数値化する暑さ指標「WBGT」値が31度を超える場合、積極的な閉所による熱中症対策を促している。
気象庁が20日に発表した「向こう3カ月の天候の見通し」によると、7~9月の気温は東日本が平年並みか高く、西日本や沖縄・奄美が高いとなっている
日建連が作成した4週8閉所推進期間のポスター


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回転窓/知人からの粋な贈り物

知人から粋な柄の手ぬぐいが入った額を以前頂いた。もう30年ほど前になるだろうか。それまではしゃれたデザインの手ぬぐいを鑑賞して楽しむことなど知らず、今も家の部屋に飾っている▼日本で古くから利用されてきた手ぬぐい。拭くだけでなく、包む、巻く、敷くなど、その便利さと万能ぶりから愛用者は多い。外国の方へのプレゼントや外国人観光客らのお土産としても人気のよう▼ある生活協同組合の機関誌にそんな手ぬぐいの良さが書かれていた。生地は薄く洗ってもすぐに乾き、洗うごとに柔らかくなり肌になじんでいく。色や柄が豊富なのも魅力だ▼そして大いに活躍してくれるのはまさに梅雨の時期だとか。機関誌に紹介されている老舗の方の話によると、汗を拭ったり雨にぬれた衣類などを拭いたりするのに、バッグにタオル1枚より手ぬぐい数枚を入れておいた方がかさばらないでいいのだという▼衛生機器関連会社の経営者だった知人は、昨年他界した。贈ってくれた手ぬぐいには、神社の境内でみこしを威勢良く担ぐ人たちが描かれている。もうすぐ夏祭りのシーズン。お世話になった故人がしのばれる。


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マイ・ユニホーム/TTK/20年以上愛用されるデザイン

ミライト・ワングループのTTK(仙台市若林区、五十嵐克彦社長)のユニホームはデザイン変更なく20年以上着用されている伝統的な一着だ。これまでリニューアルを検討したこともあったが、どの世代でも着こなせるシンプルで飽きのこないデザインが好評を得ている。2020年にはファン付き作業服もラインアップに加え、作業環境の改善に一役買っている。
夏用と冬用を展開する。夏服は通気性や軽さが特徴の「トロピカル素材」を使用した盛夏向け仕様。上着のデザインは明るいシルバーを基調に青を配色し、ズボンは薄めの青で清涼感を感じさせる。ファン付き作業服はグレーを基調に社章ワッペンを縫い付け、シルバーの反射テープを前後に施した。
東北の冬を乗り切る寒冷地仕様の冬服は特殊セラミックを内蔵。二重織構造、蓄熱保温素材、汚れにくく油汚れが落ちやすい「デュアルプラス加工」など機能面に優れる。上着は会社のコーポレートカラーである青をベースにシルバーを配色。ズボンは濃い青色でボリュームのある風合いを演出している。
コミュニティ事業本部NWエンジニアリング部の千葉美咲さんは「このユニホームで仕事をすると気が引き締まり自信にもつながる」と話す。
左から冬服、夏服、ファン付き作業服。青色とシルバーの配色が目を引く(TTK提供)

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北海道強靱化アクションプラン案市町村の巨大地震対策支援

 北海道は、「北海道強靱化アクションプラン2023」案をまとめ、21日の北海道議会総合政策委員会に報告した。国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の着実な実施や、日本海溝・千島海溝沿い巨大地震などの自然災害への対応を重点取り組み事項に設定。巨大地震への対応では、特別措置法に基づく地域指定が行われたことを踏まえ、指定市町村の各種計画作成や津波防災まちづくりに対する支援を盛り込んだ。
 同プランは、道が2014年度に策定した「北海道強靱化計画」の推進に向け、各施策の状況を踏まえて1年間の具体的な施策の推進方策を示すもの。
 23年度は▽防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の着実な実施▽激甚化する自然災害や日本海溝・千島海溝沿い巨大地震などへの対応▽ゼロカーボン北海道の実現に向けた施策の展開▽食料安全保障の強化に寄与する力強い農林水産業の確立-を重点事項に挙げた。
 重点事項を見ると、5か年加速化対策の着実な実施では、流域治水対策や道路施設の老朽化対策など緊急性や必要性の高い事業を推進する。河川では河道掘削や堤防、遊水地の整備、砂防ではえん堤整備や地滑り防止施設を重点に整備し、道路はのり面対策とともに交通・物流機能の強化に寄与する整備を進める。海岸は堤防整備、農業は農業水利施設の老朽化対策、漁港は防波堤強化、森林は間伐などの森林整備や林道整備を強化する。
 巨大地震への対応では、特別措置法に基づき地域指定された市町村の各種計画作成を支援するとともに、オホーツク海沿岸の津波浸水想定を踏まえ、津波災害警戒区域の指定推進や市町村の津波防災まちづくりを支援する。
 ゼロカーボン北海道の実現では、市町村などへの新エネルギー設備や実用化目前の新エネ技術の導入を支援するほか、送電網などの電力基盤の増強を国などに働き掛ける。
 食料安全保障の強化では、農地や農業水利施設、漁港施設などの生産基盤の整備や長寿命化対策を着実に推進するとともに、スマート農業の加速化に取り組む。



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2023年6月23日金曜日

NTT都市開発ら/シタディーンハーバーフロント横浜を開業/設計・施工は大成建設

NTT都市開発らが、横浜市中区で整備を進めていた滞在型ホテル「シタディーンハーバーフロント横浜」が14日開業した。240を超える客室に加え、駅に直結する高い利便性が特徴。観光からビジネスまで宿泊者のさまざまなニーズに対応する。設計・施工は大成建設が担当し、ホテル内装・デザイン監修は日建スペースデザインが手掛けた。
ホテルはNTT都市開発とグループ会社のUDホスピタリティマネジメント(東京都千代田区、佐山義幸社長)が整備した。所在地は日本大通5の2(敷地面積1593平方メートル)。みなとみらい線日本大通り駅4番出口に直結する。建物はRC一部S造地下2階地上17階建て延べ約1万3800平方メートルの規模。高さは約60メートル。計242の客室や52台の駐車場、会議室、ジム、ラウンジなどを備える。
ホテル経営はUDホスピタリティマネジメント、運営はThe Ascott Limited(アスコット)が担う。
「都市と自然が融合し、日本と海外の歴史的文化が交わる街での『活動と休息』」がコンセプト。神奈川県庁をはじめとする官公庁や、横浜スタジアム、山下公園、横浜中華街などの人気観光名所も徒歩圏内にある。
1階ロビーにはパティスリー「Strasbourg」(ストラスブール)と喫茶「珈琲館」が隣接する。開業した同ホテルはアスコットがグローバルに展開する滞在型ホテルブランド「シタディーン」シリーズの国内で5例目の施設。13日に施設をメディア初公開した。
ホテルの内観(13日撮影)
外観(13日撮影)
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大林組ら/山岳トンネルコンクリ吹き付けで最適なノズル位置を自動保持

大林組と古河ロックドリル(東京都千代田区、荻野正浩社長)は、山岳トンネル掘削時の支保部材である吹き付けコンクリートの施工で、トンネル形状に沿ってノズル位置を自動で保つシステムを共同開発した。操作性に優れるコンクリート吹き付け機を改良。山岳トンネル工事へ積極的に導入し、生産性や施工品質の向上とともに、現場の作業環境の改善も図る。
両社は2018年に共同開発したコンクリート吹き付け機を改良し、ノズル位置を自動で保持する「輪郭同調システム」を搭載。操作性をさらに高めた。古河ロックドリルの工場内で動作確認、試験施工を22年12月に実施し、4月から国内のトンネル工事現場で有効性を確認している。
山岳トンネル工事では、掘削して露出される岩盤面に支保部材のコンクリートを吹き付けて地山を補強しながら施工する。従来はコンクリートが吐き出される吹き付け機のノズルと岩盤面の距離が一定になるように、複数ある吹き付け機の機構を1人のオペレーターが同時にレバーで操作していた。
吹き付け作業は、吹き付けの仕上がりや作業速度が作業員の技能に左右される。このため、技能の熟練度によらない簡易な操作で運転できる吹き付け機が求められていた。
輪郭同調システム概要図(報道発表資料から)

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回転窓/協調領域と競争領域

ヤマト運輸と日本郵便が、メール便と小型薄物荷物を対象に協業する。ヤマト運輸が顧客から預かった荷物を日本郵便の配送網で届ける仕組みを導入。輸送効率を高める狙いだ▼背景にあるのは、トラック運転手に時間外労働の上限規制が適用される物流業界の「2024年問題」。日本郵政の増田寛也社長は19日の会見で「ネットワークやリソースを共同活用することで、24年問題やカーボンニュートラルなどの社会課題解決を目指す」と強調した▼インターネット通販の拡大などで宅配便の増加基調は続きそう。一方、長時間勤務など労働環境は厳しく、運転手不足が慢性化している。労働人口が減少する中、業務品質を維持しながら多様化するニーズに応えるのは容易ではない▼国土交通省の調査では、21年度のメール便実績は両社で97%を占めた。大手がタッグを組む決断から事態の深刻さが透けて見える▼多くの産業で競争領域と協調領域を捉え直す機運の高まりを感じる。協調して効率を高めつつ、競うべき領域では真剣勝負を繰り広げて世界に通用する競争力を備えていく--。そうした姿を追求する必要がある。


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フルデプス/自動航行ドローンで海底マップ作成、点検・管理サービスを積極提案

国産の産業用ドローンサービスを提供しているFullDepth(フルデプス、東京都中央区、吉賀智司社長)は、自動航行する水中ドローンの取得データから3D情報を含む高精度の海底マップを作成する技術を実用化した。ドローンの自己位置推定と自動制御、画像合成処理の技術・ノウハウを駆使。人力ベースでは困難だった情報の取得を可能にした。橋脚をはじめインフラの点検や予防保全を効率化する技術として積極的に提案する。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を得て開発・実証を行ってきた。潜水士の情報収集や、重りを落として水深を計測する調査などでは難しかった海底の面的な調査を迅速に行えるのが特徴。主力の産業用水中ドローン「ダイブユニット300」を海底から1・5メートルで自動航行させ、10分30秒の撮影で取得した画像情報を合成処理し、295平方メートルの隙間のない海底マップを作成した。
ドローンは基準地に基づき、位置を推定しながら航行する。動画から1秒間隔で635枚の画像を切り出せる。画像から位置、距離などを出すオルソ画像の利用や、コンピューターグラフィック処理を施す。マルチビームソナーも組み合わせ、現場の実際の画像とともにさまざまな情報を提供する。
鉄道や道路の橋脚、ダムなど幅広い分野のインフラ点検に生かしたい考え。JR東日本と点検サービスの外販を視野に入れた協議を行っている。吉賀社長は「マッピングと自動航行で水中のDXを進めたい」として、人の代わりになる性能と技術をアピールする。
水中を航行するダイブユニット300(22日午後、川崎市内で)

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建設RXコンソ/大手5社幹事体制で連携加速、新会長に竹中工務店・村上陸太氏

ロボット分野などでゼネコンらが技術連携する「建設RXコンソーシアム」に大成建設が加入し、鹿島、竹中工務店、清水建設、大林組の大手5社による強力な推進体制が整った。21日に東京都内で通常総会を開き、役員改選で新会長に竹中工務店の村上陸太常務執行役員の就任を決定。5社が幹事を務める新体制で協力会員や日本建設業連合会(日建連)などとも連携し、共通課題の生産性向上へ分科会活動を加速させる。
役員改選では会長のほか、新副会長に鹿島の池上隆三常務執行役員が就任。清水建設の山崎明専務執行役員は副会長を続投する。新幹事に大林組の勝俣英雄執行役員と大成建設の長島一郎常務執行役員、新会計監事に西松建設の濱田一豊常務執行役員が就いた。
建設RXコンソーシアムは就労人口の減少など建設業界を取り巻く共通の課題に対し、企業・業種の枠を超えてロボット分野やIoTなどを活用した生産性向上の研究開発を進めようと2021年9月に16社で発足した。21日時点で正会員29社、協力会員184社の計213社まで拡大した。
総会後の記者会見で、顧問に就いた前会長の伊藤仁鹿島常任顧問は「初代会長の使命としてコンソーシアムの基盤づくりに力を注いできた。大手5社が出そろい、会員数も200社を超え本当に心強い。今後は開発技術などを水平展開する発展のステージに進めてほしい」と期待を寄せた。
村上新会長は「若者がかっこいいと感じる業界にすることが大きな目的だ。デジタル技術やICTを使って業界の魅力向上に取り組む活動を広く発信したい」と意気込みを語った。
コストや労力を抑えるためベースになる研究や技術開発で連携。タワークレーンの遠隔操作や資材の自動運搬システムなど各分科会で研究開発が進む。本年度は「AIによる安全帯不使用検知システム分科会」を新設し計11分科会で活動を行う。多様な業種で構成する協力会員が参画しニーズの発掘から技術開発、展開までコンソーシアムで具体化できる点が強みだ。
村上新会長は「タワークレーン遠隔操作など各分科会の成果も現れてきた。協力会員の知恵も借りながら水平展開を目指していく」と意欲を見せた。
新体制で一致団結(右から3人目が村上新会長)

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凜安井建築設計事務所設計主任江口春花さん頼られる居場所づくり追求

 幼少期からデザインに興味があった。「社会の助け合いの一員として働くことを考えたときに、建築は心と体の両方を助けられるところに魅力を感じた」ことから意匠設計を志した。
 現在は学校や体育館などを手掛ける。「関係者にヒアリングしながら、建物を使う方に新しい価値観や居場所を提供できるようにしたい」という。入社6年目で、4月に主任になった。「後輩を引っ張っていきながら自分としてのオリジナリティーも発信していきたい」と意欲を見せる。
 課題に対しても前向きに取り組むよう心掛けている。資材価格の高騰への対応など難しさも渦巻いているが、「ポジティブな言葉に変換して伝えたい。それが人と人とがコミュニケーションしながら設計を進める意義」との思いで業務に当たる。
 意匠担当者はプロジェクト推進の「指揮者」と話す。幅広い知識が求められるため、「恥ずかしがらずに周りの人に聞き、協力してもらえる味方を増やす」と前を向く。
 今後も子どもに関わる建築を引き続き手掛けていきたいと考えている。「地域全体で子どもたちを健やかに育てるような社会になってほしい。居心地が良くて頼られる居場所づくりを追求していく」のが目標だ。そのためにはユーザー目線が欠かせない。
 「いろいろな立場の方とコミュニケーションを取りながら良い循環を生み出したい」と笑顔で語る。
 (えぐち・はるか)



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2023年6月22日木曜日

東北のチカラ/丸本組(宮城県石巻市)、新技術武器に新しい地域建設業へ

◇自走式ロボでPC杭内部の品質チェック
地域に根差した事業活動を展開し、独創的な取り組みや新分野にも挑戦している東北の建設関連企業にスポットを当てる「東北のチカラ」。3回目は宮城県石巻市を拠点に土木、建築、漁港・港湾、舗装など幅広い分野で地域の未来創造に携わっている「丸本組」(佐藤昌良社長)の新たな取り組みを紹介する。
土木・建築業を手掛ける丸本組の創業は1946年。「地域の安全、安心を守る。」を経営理念に発展してきた。東日本大震災では社屋が全壊するなど大きな被害を受けたが、地元企業として石巻の復旧・復興に力を振り絞った。
主力の建設事業では、高品質な施工につながる取り組みとして、新しい技術やシステムの開発、現場での活用に力を注いでいる。施工中のプロジェクトを例に挙げると、23年1月に着工した「(仮称)栗原警察署庁舎等新築工事」では、杭工事(基礎工事・杭基礎40本、内径600~800ミリ、延長20メートル)の施工管理に新技術を投入した。試作したのはPC杭内面撮影機「MITSUSUKE01(光祐初号機)」。ひびや欠けなどの目視確認が難しい杭内部を埋設前に撮影し、PC杭の状態に問題がないかをチェックしている。
「光祐」は先頭部分にLEDリングライトとカメラ(GoPro)を装着し、バッテリーで駆動するロボットを使い、杭内部を撮影する仕組み。前後6本の車輪アームでバランスを取り、自走しながら各腕のサスペンションで円柱の中心点を保持する。リモコン操作でPC杭内部を走行し、360度カメラで始点から終点まで撮影。人の目が届きにくい部分まで記録でき、管理の幅と質の向上が期待できる。
イオラボ(横浜市青葉区、吉井崇代表取締役)に製作を依頼し、構想から約半年で試作機を作り上げた。同社の酒井慎一ソリューションデザイナーは「現場で使いやすいようにシンプルな操作を心掛けた」のがロボットの特徴と説明する。5月から岩手、新潟両県の杭工場で検査に試作機を投入した。
(仮称)栗原警察署庁舎等新築工事で陣頭指揮を執る丸本組の桑原武司工事所長は「今まで見えなかった部分が画面で確認できるので、品質向上につながる」と話す。「杭製造会社にも興味を持ってもらっている。バッテリーの持続性など試作で見えてきた課題もあるが、今後の改良につなげていきたい」と語るのは、同社の山岸邦亘技術支援部長だ。
同社は今後の構想として、側溝や下水管内の走行撮影など杭内部以外の展開を検討している。スキャナー機能を付加した3D測量への投入も視野に入れる。同社の山本翔太郎常務は「海外情勢などに起因する物価高騰や度重なる自然災害など課題は山積している。時代の変化に合わせて地域建設業も新しい在り方を模索していかなければならない」と先を見通す。
生産性向上や働き方改革を目指す動きは地域に根差した建設会社も決して無縁ではない。「合言葉は『リボーンワーク』」と話す山本常務は、新技術の開発や実用化によって「今までにない新しい地域建設業を目指したい」と前を向く。
「光祐初号機」と山本翔太郎常務(後段左から2人目)ら
実際の杭内面撮影(丸本組提供)
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神奈川県小田原市/小田原駅西口地区整備で4案、27年度以降の都市計画決定めざす

神奈川県小田原市は、JR・小田急などが乗り入れる小田原駅西口地区整備で整備イメージ4案を示した。市とJR東海が所有する駅前広場と、東京方面に隣接する民有地(B街区)を一体的に再開発する構想。概算事業費は110億~165億円と見積もっている。事業スキームは組合施行の第1種市街地再開発事業を想定。市は2023年度に基本構想をまとめる方針。地権者らは調査・研究を進め、26年度末の再開発準備組合設立を目指す考えだ。
9日の市議会建設経済常任委員会で報告した。西口地区は西口広場を挟んで静岡方面側のA街区と東京方面側のB街区がある。A街区は先行して建て替え工事に着手しており、24年度の完了予定。西口広場の面積は約5600平方メートルで、内訳は市所有が約3000平方メートル、JR東海所有が約2600平方メートル。
四つの案は再開発施設の1~3階に商業・業務施設、4~15階を住宅を配置する想定条件で作成した。1案はB街区の一部に広場を拡張し、その上空に再開発ビルを配置する。広場面積は約6800平方メートル、施設の延べ床面積は約1万5000平方メートル、概算事業費は約110億円。2案はB街区の一部に広場を拡張し、その上空と広場市有地の一部の上空に施設を配置する。広場面積は約6800平方メートル、施設は延べ約1万7900平方メートル。概算事業費は約135億円。
3案はB街区の一部に広場を拡張しその上空と市有地・JR東海所有地の一部の上空を利用し施設を配置する。広場面積は約6800平方メートル、施設は延べ約2万0300平方メートル。概算事業費は約165億円。4案は広場市有地の一部とB街区の一部土地を交換し、交換後の広場上空を利用して施設を配置する。広場面積約5600平方メートル、施設は延べ約1万7700平方メートル。概算事業費は約125億円。
西口地区では17年に「小田原駅西口地区まちづくり協議会」が発足。まちづくりの調査・研究などを進めるなかでB街区の再開発に向けた機運が高まってきた。市は22年度、B街区の民間地権者が検討する再開発事業と合わせ、事業手法や採算性などを検討。西口広場の利便性や安全性向上を図るため、B街区との一体的な土地利用でモデルケース4案を作成した。
市は4案をたたき台に協議会や権利関係者らと検討を深める。市は23年度に基本構想、25~26年度に基本計画をまとめ、27年度の都市計画決定を目指す。協議会らは調査・研究などを進め、26年度の準備組合設立、27年度以降の本組合設立を目指す考えだ。
小田原駅西口地区の位置図(小田原市建設経済常任委員会資料から)

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大成建設ら/アプリでウェルビーイング探索、未来の都市づくりに貢献

大成建設と横浜市立大学先端医科学研究センターコミュニケーション・デザイン・センター(YCU-CDC)、山手総合計画研究所の3者はデジタルを活用し、地域住民らとウェルビーイングな街づくりに貢献する共創活動を加速する。
3者は2022年度に住民参加型ウェルビーイング探索活動「Enabling City Walk!」を横浜市と大阪市、札幌市(2地区)の計4地区で延べ9回実施している。
地域住民や学生、自治体職員らと街を歩き、専用アプリを使ってウェルビーイング向上につながる要素「イネーブリング・ファクター」(幸福と健康の双方を高める製品やサービス、空間)を探索。幸福と健康を両立する街の魅力や課題の再発見に取り組んだ。
イネーブリング・ファクターを評価指標とする専用アプリは3者が開発した。参加者が発見した幸福と健康の良しあしに関わる要素を写真やコメントなどを添付し、各自のスマートフォンから投稿。幸福と健康の良しあしなどの情報を四つのカテゴリーに分類し地図上に表示する。
多くの人が共通して幸福を感じた風景要素や意見を直に登録し、リアルタイムに評価結果を可視化することで街の魅力や課題が発見できたという。探索活動ではアプリの有効性を確認。「新しい街づくり手法の一つとして行政支援や都市開発への貢献が期待できる」(大成建設)としている。
23年度にYCU-CDCを中心とするコンソーシアムを設立。各地で探索活動を加速し得られた成果を未来の都市づくりに活用していく考えだ。
アプリでデータ収集し分析(報道発表資料から)

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回転窓/食品ロスどう減らす

家の棚の奥にしまっていた乾めんの賞味期限が1週間ほど過ぎていることに気が付き、慌てて食した。賞味期限は大切な目安だが、期限切れの食品を安易に廃棄せず、匂いや見た目などを頼りに食べられるものは食べるようにしている▼農林水産省と環境省が先日発表した2021年度の食品ロス発生量(推計値)によると、食品関連事業者と家庭から出た合計は前年度比0・2%増の523万トンとなり、6年ぶりに増加した。東京ドーム換算で約4・2個分もの食品が廃棄されたことになる▼政府は30年度までに、食品ロスを00年度の半分となる489万トンに削減する目標を掲げる。食べ残しの持ち帰り促進やフードバンクの活用などで食品ロス削減を加速させる方針だ▼廃棄食材の活用も肥料化や飼料化だけでなく、垣根を越えた分野・領域へと広がりを見せる。東京大学が植物由来の廃棄食材から、最大でコンクリートの4倍近い曲げ強度という建材がつくれる技術を開発するなど、驚きの活用法も生まれている▼食品ロス問題の解消に建設関連産業も貢献できる可能性がありそうだ。おそらくヒントは身近なところにある。


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国交省/労務費と法定福利費、下下間でも適正額確保を・元請指導の必要性訴え

国土交通省は元請各社の支店や現場所長に取引実態を直接ヒアリングする「モニタリング調査」の一環で、個別工事の労務費と法定福利費の確保状況を元下間だけでなく下下間でもチェックした。法定福利費が元下間で適正に計上されていても、1次下請と2次下請の間で少なく計上され、結果として2次以下の下請や技能者へのしわ寄せにつながっているケースなどが散見された。国交省は建設業法の規定を踏まえ、元請には自らの行為だけでなく下請への指導義務も果たす必要があると訴える。
2021年10月から継続的に実施しているモニタリング調査では、元下間で契約額に占める法定福利費の割合が著しく低いケースや、端数処理とは思えない大幅な一括値引きがあるケースなどが確認されている=表参照。国交省によると労務費と法定福利費が適正に見積もられていなかったり、実質的に賄えない請負金額となったりしている恐れがある。
労務費と法定福利費は建設業者が義務的に負担しなければならない必要経費として適正額の確保が求められる。下請の見積もりを基に元下間で契約が行われれば確保されるとの見方もできるが、重層下請構造の中で適正額が確実に行き渡っているとは言い切れない。
そこで4月以降は初めての試みとして、元請に調査したのと同じ工事を対象に1次下請にも2次下請との契約実態を聴取した。法定福利費が元下間で少なく計上され、そのまま下下間でも少なく計上されているケースがあったほか、元下間で適正に計上されていても下下間で少なく計上されているケースもあった。
一方、元下間で少なく計上されているにもかかわらず、下下間では適正に計上されているケースもあった。1次下請が法定福利費分をかぶっているとみられる。現状の法規制で対処できないケースだが、国交省は中央建設業審議会(中建審)などの議論を踏まえ「今後は制限対象となる可能性がある」と指摘する。受注者や下請の自らの意思による「安売り競争」を廉売行為として取り締まる制度改正の議論が進んでいることを頭に入れておく必要がありそうだ。


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通常国会が閉会改正国土強靱化基本法が成立高速有料期間延長の改正道路特措法も

 第211通常国会が21日、閉会した。高速道路の有料期間を最長2115年まで延長する改正道路整備特別措置法(特措法)など国土交通省が提出した5本の法律はすべて成立。議員立法の改正国土強靱化基本法も成立し、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」後も施策を継続実施するための道筋が付いた。公共事業関係費に6兆0600億円を計上した2023年度予算も成立した。  =2面に関連記事
 改正道路整備特措法では、高速道路の料金徴収期間を延長。老朽化する設備の更新や維持管理、高速道路の4車線化事業などの費用を確保する。改正地域公共交通活性化再生法(地活化法)も成立した。国の協議調整や財政支援を通じ、地域の実情に合った交通基盤を整備する。
 国交省以外の政府提案分をみると、内閣官房がGX(グリーントランスフォーメーション)を前進させるための法案を2本提出し、いずれも成立した。GX推進法に基づき、GX投資拡大に向けた政府の先行投資の財源確保を目指し、「GX経済移行債」を発行する。GX脱炭素電源法では原子力の活用にかじを切り、原発を事実上「60年超」運用できるようにするルールを規定する。
 厚生労働省が所管する水道行政を国交、環境両省に移管するための「生活衛生等関係行政の機能強化法」も成立。24年度に両省で業務を開始する。
 議員立法の改正国土強靱化基本法は、5か年加速化対策後も中長期的に明確な見通しの下で対策を推進するため、同対策の後継計画を含む「国土強靱化実施中期計画」を法制化することが柱。重点的に展開する対策の事業規模も示す。
 成立した23年度予算の一般会計の総額は114兆3812億円。11年連続で過去最大を更新した。公共事業関係費に前年度を26億円上回る6兆0600億円を確保。インフラ老朽化対策に重点配分するなど国土強靱化関係予算を拡充した。



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2023年6月21日水曜日

東京圏国家戦略特区会議/都市再生プロジェクト2件提案予定/有楽町一丁目地区など

内閣府の東京圏国家戦略特別区域会議が19日に東京都内で開かれ、「有楽町一丁目10・12地区」(千代田区)と「丸の内三丁目1地区」(同)の都市再生プロジェクト2件が今後の特区申請予定案件として報告された。両地区ともJR有楽町駅周辺で計画されている再開発事業案件。新たに複合ビルを建設し、ビジネス拠点の創出や文化・芸術機能の拡充を図る。有楽町エリアの魅力を向上し、国内外から多くの人を呼び込む。
有楽町一丁目10・12地区は、三菱地所が事業主体。有楽町ビル(有楽町1の10の1)と新有楽町ビル(有楽町1の12の1)を2023年中に閉館し、建て替える。新たなビルではビジネス人材などの育成拠点を目指す。
丸の内三丁目1地区は、三菱地所と東宝、出光美術館が事業主体となり、国際ビル(丸の内3の1の1)と帝劇ビル(同)を一体的に建て替える。25年をめどに閉館。帝国劇場と美術館は建て替え後の施設内で再開する。
東京都は東京圏国家戦略特別区域会議に、特区税制を活用した外国人向けインターナショナルスクール「ブリティッシュ・スクール・イン・東京」の整備促進も認定申請した。外国人ビジネスパーソンを東京に呼び込み、国際的なビジネス拠点の形成につなげる。
学校の設置場所は再開発事業が進む港区虎ノ門5と麻布台1。事業主体は森ビルと日本郵便で、6月に竣工(開校は8月下旬)する。校舎は地下1階地上7階建て延べ約1万4000平方メートル。2カ所あるグラウンドは計約1800平方メートルの広さとなる。
特区税制を使ったMICE(国際的なイベント)施設整備も認定申請した。整備場所は港区虎ノ門1、2。国際会議の開催後の懇親会のほか、宿泊にも対応できる大型複合MICE施設を建設する。国際的なビジネス拠点創出を後押しする。
MICE施設と宿泊施設は、建設中のビル(地下4階地上49階建て)内に配置する。8階と45~49階をメインホールに、11~14階を宿泊施設にする。宿泊施設とメインホールの総延べ床面積は約2万4000平方メートルとなる。
インターナショナルスクールとMICE施設整備は今後開かれる内閣府の国家戦略特別区域諮問会議(議長・岸田文雄首相)での議論を経て正式に認定される。
港区に整備するインターナショナルスクールの外観(東京都の報道発表資料から)

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三菱地所設計/イタリアの庭園に茶室「ベネチ庵」

三菱地所設計は、イタリア・ベネチアのジャルディーニ・マリナレッサ庭園に地域特性からデザインした茶室「ベネチ庵」を展示している。イタリアの食品性廃棄物(パスタ、コーヒーかす、ワインのコルク栓)と循環性のある資源(再生紙)を建築材料として利用。展示会場となるベネチアの緯度(45度)に着目し、日射をパビリオン内に適切に導入・遮へいする角度でフレームを構成した。
軽量化を図り輸送時の二酸化炭素(CO2)も削減する。軽量化のため半永久的にリサイクル可能な紙とコルクも併用。120Lスーツケース7台で部材を運搬できる。構成フレームは、ミウラ折りを線材化して積層した。構造の要となるジョイントパーツは、力をスムースに流すため曲線的なデザインを採用している。
会期は2023年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展「TIME SPACE EXPERIENCE」開催期間の11月20日まで。終了後はさらなるアップサイクルとして、パーツごとに解体され、さまざまに造形可能な家具として再構成・再流通させる予定だ。
ベネチ庵(報道発表資料から)

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不動テトラら/地盤改良工事を効率化/施工からCIM作成まで一貫

不動テトラとグループ会社のソイルテクニカは、地盤改良工事のICT施工からCIMモデル作成までを一貫して行えるシステムを開発した。ICT地盤改良機械を使った施工で既存の位置誘導、施工管理、施工の見える化の三つのシステムを連携。出力した施工データを統合し瞬時にCIMモデルを作成する。属性情報の付与に必要な時間が従来比で90%短縮できる。
開発した「FUTEOS-CIM(フテオス-シム)」はワンストップのBIM/CIMソリューション。▽GNSS(全球測位衛星システム)位置誘導システム「Tarpos(ターポス)3D」▽施工管理システム「CONOS(コノス)」▽リアルタイム施工管理システム「Visios(ビジオス)-3D」-の既存システムを連携する。
各システムから出力される施工データを自動で統合。新たに開発した3Dモデルへの変換システム「ToolPileX(ツールパイルエックス)」で属性情報が付与されたCIMモデルを作成する。
個別のシステムから出力されたデータを手作業で整理し統合する必要がなくなり作業効率が大幅に向上。瞬時にCIMモデルを作成できるため、地盤改良杭の3Dモデル作成や改良杭1本ごとに必要だった属性情報の手入力作業も省ける。
CIMモデルは日々の進捗(しんちょく)管理に活用できる。地中工事を3Dモデルで見える化することで、周辺住民などとのコミュニケーションツールとしても使える。
現在は深層混合処理工法(CI-CMC工法シリーズ)、締め固め砂杭工法(SAVEコンポーザー)、高圧噴射攪拌工法(FTJ-NA工法)の3工法がフテオス-シムのフル機能に対応。今後は適用工法を拡大していく考えだ。
瞬時に作成できるCIMモデル(不動テトラ提供)

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土地改良建設協会/22年度施工実態調査結果、96%で計画通り休日確保

土地改良建設協会(押味至一会長)は、2022年度施工実態調査の結果をまとめた。当初計画通りに休日を確保できた工事は、対象46現場のうち96%(前年度90%)の44件。着工段階で4週8休を目標としていた割合も95%(93%)と前年度から上昇した。2024年4月に迫る時間外労働の罰則付き上限規制適用を意識し、会員企業による4週8休確保の計画的な取り組みが進展している。ただ時間外労働の削減で最も重要になる適切な工期設定では、改善の余地をうかがわせる結果となった。
調査は昨年12月1日~今年2月15日に実施し、会員企業のうち22社が答えた。対象は農林水産省地方農政局(国土交通省北海道開発局除く)または内閣府沖縄総合事務局が21年12月1日~22年11月30日に契約した工事46現場(うち国債契約工事15現場)と、20年12月1日~21年11月30日に契約した過年度国債契約工事17現場を合わせた計63現場となる。
休日確保に向け発注者の適切な工期設定状況を調べた結果、発注者から工程表が示された工事59現場のうち「非現実的」が前年度を7ポイント上回る25%、「一部厳しい」が前年度と同じ18%だった。これらの回答を寄せた45現場に理由も確認したところ、複数回答で「作業班編成に無理がある」「施工手順が現実的でない」がともに16件と最多。次いで「関連工事と未調整」14件、「歩掛かりが不適切」11件、「設計と現場条件に差異がある」10件、「機械の選定に無理がある」9件と続いた。
余裕期間について「設定がある」と回答した割合は調査総数63現場の38%。17年度調査から前年度まで53%(17年度)、40%(18年度)、33%(19年度)、26%(20、21年度)と減少傾向だったが、6年ぶりに増加へ転じた。22年度に余裕期間を設定した工事24現場のうち、設定期間が「不十分だった」割合は58%。この中の大部分が1カ月未満という設定期間だった。
協会は22年度調査結果を踏まえ、農水省などに改善を働き掛けていく。


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回転窓/マコガレイの生育環境改善

白身魚の代表格とされるマコガレイ。この時期は別府湾の奥、海中の湧水で育つ大分県日出町の「城下カレイ」が有名だ。淡泊で上品な一品はかつて徳川将軍家に献上されていた▼日本海、太平洋、瀬戸内海と生息地は幅広い。食材としての旬は地域によって差があり、九州なら夏、東日本以北には冬のところも。関東では11月ころに東北で水揚げされた「霜月ガレイ」が重宝されると聞いた▼マコガレイの産卵場は、暖流の影響を受けにくい東京湾にもある。千葉県習志野市近くがその一つ。浚渫工事の砂を投じて覆砂した海域では、2019年冬の調査で1平方メートルに500個以上の卵が確認できた▼この取り組みは関東地方整備局千葉港湾事務所や千葉県などが、マコガレイの産卵場の底質を改善しようと官民の連携事業で実施。覆砂で山なりになった一画が産卵に好まれたという▼生息調査を兼ねて、この春に関係者が船釣りに出掛けたところ、思いがけない大物を含む釣果に恵まれたのだとか。事業の効果なのかまだ確証が得られていないものの、生息環境は豊かになっているのだろう。マコガレイもきっと喜んでいる


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国交省年度の法令順守活動方針適正工期確保に重点労基署と連携

 国土交通省は各地方整備局などに設置している「建設業法令順守推進本部」の2023年度活動方針を公表した。24年4月に適用する時間外労働の罰則付き上限規制を念頭に置き、関係事業者に自主的な改善を促す取り組みに注力。厚生労働省の都道府県労働局や労働基準監督署と連携し、各地域の建設会社や民間発注者の団体・企業向けの説明会などを開く。元請各社の支店や現場所長を直接訪問してヒアリングする「モニタリング調査」の一環で、労基署が同行する訪問支援にも順次取りかかる。
 各都道府県労働局が主催する「建設業関係労働時間削減推進協議会」、労基署単位で開かれる「建設業に対する労働時間等説明会」に各整備局が積極的に参加。協議会の構成員として建設業団体や地元の経済団体、設計関係団体に参加を促す。説明会は個社単位で時間外労働規制の内容や適正な工期を確保する必要性を周知する場と位置付け、建設会社や民間発注者、設計事務所など建設関係事業者に参加してもらう。
 モニタリング調査は▽元請・1次下請向け▽民間発注者向け▽工期特化-の三つの視点で実施。いずれも適正な工期の確保に重点を置きつつも、本年度新たに実施する工期特化の調査には労基署が同行し、下請へのしわ寄せ状況などをより注視する。同署による訪問支援という形で時間外労働規制の周知に取り組み、訪問先の企業に長時間労働の是正に向けた自主的な改善を促す。
 技能者の賃金水準の上昇に向け、モニタリング調査では標準見積書の活用や見積もりの協議、代金支払い、資機材の価格高騰を受けた対応状況なども確認し、適正な請負代金での契約締結を促していく方針だ。
 22年度の法令順守推進本部の活動は、法令違反疑義情報の受付件数が3492件(うち駆け込みホットライン1189件)。立ち入り検査は884件(前年度858件)、講習会の開催が45回(37回)だった。建設業法に基づく監督処分として「許可取消」を0件、「営業停止」を16件、「指示」を9件、「勧告」を36件行った。



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2023年6月20日火曜日

横河ブリッジ/鋼橋製作前の構造検討にアバター会議システムを導入

横河ブリッジは19日、鋼橋製作着手前の構造検討にアバター会議システムを導入したと発表した。会議参加者がアバターとなり、仮想空間で鋼橋の3Dモデルを確認する。実物を前に打ち合わせをしているような臨場感を得られ、より詳細な照査が可能となる。仮想空間内では寸法計測やホワイトボードといった便利機能も使える。現実の会議と仮想空間の双方の利点を生かして構造検討し、手戻りの防止などに役立てる。
同社は鋼橋の設計・製作段階に3D生産情報システムを運用している。設計図面を基にパソコン上に実寸大の3Dモデル(BIM/CIMモデル)を構築。モデルには製作段階で必要なさまざまな属性情報を付加している。製作着手前には設計、製作の各担当者による3D構造検討会を実施し、鋼橋の3Dモデルをさまざまな視点から確認する。これにより設計上の問題点や製作時の留意点などを抽出し、後工程での手戻りの発生を防止している。
その3D構造検討会に、2022年からアバター会議システムを連携させた。会議参加者はVRゴーグルを着用することで、実寸大の3D空間に入り込んだような視覚体験が可能。同システムに鋼橋の3Dモデルをインポートすることで、会議参加者は3D空間内を自由に移動し、それぞれが好きな位置や角度から対象物を確認できる。
部材同士の取り合いや、溶接・塗装時の施工性、安全性など、より直観的な判断ができるようになる。施工現場の点群データを取り込むこともでき、保全工事では既設橋の現況把握や新設する部材との整合確認にも有効。寸法計測やホワイトボードなど各種便利機能の活用で、会議を円滑に進行できる。
複数の専門的な視点からより現実に近い環境で確認・検討することで、照査レベルの向上に加え、品質や生産性、安全性の向上にもつなげる。
アバター会議のイメージ。実物を前にしているかのように議論できる(報道発表資料から)

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回転窓/披露宴のにぎわい

学問の神様で知られる菅原道真は、平安時代の貴族で文人や政治家としても優れた才を発揮した人物。あらぬ疑いで左遷させられて死後に怨霊となり、自身を追い払った政敵などの不審死が続いたと伝わる▼当時の人たちは道真の呪いだと信じ、天神としてまつり、怒りを鎮めようとした。こうした社は天満宮などと呼ばれ、全国各地に点在する。受験合格の祈願で参拝に訪れた方も多かろう▼先日、その一つに行くと、何組かの結婚式が行われたようで、境内の横にある日本料理店が式後の披露宴でにぎわっていた。ここのおかみさんいわく、「コロナ禍のここ数年は披露宴がほとんどなかった」▼神社のホームページに道真は奥方との仲がむつまじく、14人の子どもに恵まれたと書かれている。夫婦のかがみとされ、後世に奥方は夫婦円満・子宝・安産の守護神として慕われたという▼最近は結婚式を挙げないことなども多いと聞くが、おめでたい披露宴に出席した人たちを見て、ようやく日常が戻りつつあると実感できる。「まだまだですが…」とおかみさん。新たに夫婦となった人たちには、幸せな家庭を築いてほしい。


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国交省/流域治水、各主体の当事者意識向上へ施策/ロゴマークや表彰制度など新設へ

国土交通省は民間企業や住民らによる流域治水の取り組みを後押しするため、各主体の当事者意識を高める施策パッケージをまとめた。流域治水に関するロゴマークや記念日を制定し啓発活動を強化。民間企業の関連活動を認定したり、活動を顕彰する新たな表彰制度を設けたりすることで、自発的な行動を促す。
19日に東京都内で外部有識者らで構成する「水害リスクを自分事化し、流域治水に取り組む主体を増やす流域治水の自分事化検討会」(委員長・小池俊雄土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター長)の最終会合を開き、「流域治水推進に向けた普及施策の行動計画」の案を報告した。
行動計画案では流域治水を▽知ってもらう▽自分事化▽行動の誘発▽質の向上-という4段階で進める方針を明示。段階ごとに具体的な施策を盛り込んだ。
流域治水を知ってもらう施策では、流域治水のシンボルとなるロゴマークの策定やポスターの作成に着手する。普及啓発イベントなどを集中的に開催する「流域治水の日、週間」を設けるほか、SNS(インターネット交流サイト)による情報発信やインフラツーリズムとの連携にも取り組む。
過去の水害を伝える施設やウェブサイトも開設。「自分事化」という位置付けで流域治水に関心を持った企業や住民に情報を発信して、主体的な取り組みを後押しする。さらに行動を誘発する仕組みとして、全国の流域での取り組み事例を共有するマップも作成。事例を発信する民間企業を「オフィシャルサポーター」として認定する制度も創設する。雨量や水位などの情報を民間企業が活用できるオープンデータ化も進める。
取り組みの質を高めるための施策も充実させる。新たに流域治水の優秀事例を表彰する「流域治水大賞」を創設。官民問わず幅広い主体の取り組みを募集し、先駆的な事例を広く共有する。防災士や気象予報士などファシリテーターとなる人材を育て、各地域に講師として派遣する。


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JR東日本東京建設PMO/完成検査に点群データを本格活用/計測業務を省力化

JR東日本東京建設プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)が、鉄道施設の新設や改良時に行う完成検査の省力化に向けた取り組みを加速している。地上型レーザースキャナーを駆使して駅のホームや柱の位置などを点群データとして取得。事務所にいながら、設計通りに完成しているかをチェックできる環境を整えた。東京建設PMOは完成検査などに点群データを本格活用し、確認作業の効率化を目指す。
鉄道施設の新設や改良を行うには、鉄道事業法に基づき国土交通相の認可を受けなければならない。その後は完成した段階で完成検査を受ける。東京建設PMOの場合は関東運輸局による完成検査を受け、報告書を提出している。
完成検査は主に施行範囲が1キロ以上の軌道移設などが対象となる。完成した施設が設計通りに仕上がっているかを確認するには、作業員が現場に出向いて構造物の配置などを計測する作業を実施する。計測結果は検査帳票にまとめる。各種データを基に数回の社内検査を経て、完成検査に臨んでいる。一連の作業は何度も現場へ出向く必要があり、計測作業の効率化が求められていた。
東京建設PMOが展開しているのは、まず地上型レーザースキャナーで構造物の点群データを取得する。点群データを基に検査帳票を作成するため、手書き入力の手間が不要だ。計測時に現場へ出向く回数が一度で済むなど移動に必要な時間と作業人員を大幅に削減できる。
新潟駅の連続立体交差(連立)事業を皮切りに、2022年度には武蔵小杉駅や幕張豊砂駅などで試行導入した。点群データの活用は関東運輸局から許可を得ている。東京建設PMOは同局管内で、完成検査が必要な施設に本格導入する考え。完成検査が不要な小規模な鉄道施設でも積極的に活用する。将来的には維持管理業務に点群データを有効利用する方針だ。
完成検査で使用した武蔵小杉駅の点群データ(JR東日本東京建設PMO提供)

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京大ら、免震研究推進機構/兵庫に実大免震試験施設が完成/部材の性能を高精度測定

建築物や橋梁などに設置する免震・制振部材の性能を高精度に測定できる実大免震試験施設「E-アイソレーション」が兵庫県三木市内に完成し、18日に国や研究機関、自治体などの関係者に披露された。内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)として京都大学、東京工業大学、免震研究推進機構の共同チームが製作した。実験と数値解析を融合し、世界で初めて補正せず瞬時に計測結果を出せるのが特徴だ。設計・施工は大成建設が担当し、機械部分は三菱重工機械システムが担った。
同施設は、日本に初めて建設された公的な実大免震試験機。実大三次元震動破壊実験施設「E-ディフェンス」に隣接し、昨年3月に着工した。規模はS造2階建て延べ1658平方メートル。高さは16・2メートル。今年3月に完成し、6月に運用を始めた。
海外にも同様の試験機はあるが、可動部分に摩擦力が入ることで実験の成果を得るのに数カ月かかっていた。同施設は、水平方向に設置した鋼管に与える力を測ることで、摩擦力と慢性力を含まずに試験体へ作用する力を直接的に測定する。これによって瞬時に精度よく測定できる。
実大の積層ゴムや球面滑り支承などを対象に、大地震時に生じる水平変位のほか、免震構造や制振構造に組み込まれる実大ダンパーに大地震時に相当する実変位と実速度を動的に与えることができる。
当日の披露見学会では関係者によるテープカットが行われ、完成を祝った。和田章免震研究推進機構代表理事、山内隆司大成建設取締役名誉顧問、益一哉東京工業大学学長のあいさつに続き、元国土交通相の太田昭宏氏や奈須野太内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官、橋本公博日本建築センター理事長らが祝辞を述べた。
見学会後の会見で和田代表理事は「世界でトップレベルの精度を持つ試験機は海外からのニーズにも対応できる。E-ディフェンスとともに、この地が世界の耐震工学のメッカになると期待される」と話し、プロジェクトリーダーの高橋良和京都大学教授は「時々刻々と正しい加重を測定できる。質の高い実データを計測してシミュレーションできるのは非常に有利だ」と強調した。
大成建設設計本部の篠崎洋三副本部長は「研究開発と設計、施工が同時に進んだが、いろんな知恵と経験が生かされた。免震の利用はまだまだ少なく、一般の住宅まで広がるようにしたい」と期待した。
三木市内に完成したE-アイソレーション

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国交省CCUSレベル別年収公表業界全体で共有促す適正価格で受発注を

 国土交通省は建設キャリアアップシステム(CCUS)レベル別年収の試算結果を公表した。2022年10月の公共事業労務費調査で把握した技能者の賃金実態を踏まえ、能力評価(レベル判定)を行っていない技能者も相当するレベルに振り分けた上で算定。職種に関係なく試算結果を見た場合、例えばレベル3の中間程度に当たる年収は628万円となる。若い世代にとって処遇面のキャリアパスを明確に示し、これを念頭に適切な賃金を行き渡らせる対応を業界関係者に働き掛けていく。=2面に各職種のレベル別年収の一覧
 レベル別年収は公共工事設計労務単価と同じく必要な費用を反映し、週休2日を確保した労働日数(234日)で算定。能力評価を行っていない技能者は、経験年数と保有資格を基に▽レベル1相当=5年未満▽レベル2相当=5年以上10年未満▽レベル3相当=10年以上または1級技能士▽レベル4相当=登録基幹技能者-と推定し試算に組み込んだ。
 設計労務単価と能力評価の職種が合致する32職種ごとの年収も公表。レベルが同じでも年収分布にばらつきがあるため、各レベルの上から15%程度を「上位」、50%程度を「中位」、85%程度を「下位」として年収額を示した。
 産学官で構成する「CCUS処遇改善推進協議会」の15日の会合で国交省が説明した。長橋和久不動産・建設経済局長は登録が伸びる一方で能力評価が道半ばという中、レベルに応じた処遇改善の絵姿を示す重要性を強調。客観的指標に基づくレベル別年収を公表することで「業界全体で技能や経験に応じた賃金支払いの具体的なイメージを共有し、賃上げや適正価格での受発注につながることを期待する」と述べた。
 会合では担い手確保の観点から多くの建設業団体がレベル別年収を踏まえた処遇改善に期待を示した。一方、元請が下請に支払った労務費が技能者に行き渡る担保策や、賃金の原資確保に向けた民間発注者の理解の必要性を指摘する声も上がった。
 国交省は中央建設業審議会(中建審)の議論を踏まえ適切な労務費の確保に向けた制度的な対応を検討していく方針だ。



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2023年6月19日月曜日

セーフィー/カメラとAI解析で交通量調査サービス/テスト販売を開始

クラウド録画サービスを展開するセーフィー(東京都品川区、佐渡島隆平社長兼最高経営責任者〈CEO〉)は、カメラとデータ解析用のAIエンジンを組み合わせた交通量調査サービスのテスト販売を開始した。カメラなどのレンタルや、適切なカメラ選定、データ解析のための映像加工、集計などを一体的に支援する。
「Safie Traffic Survey(セーフィー トラフィック サーベイ)」は、機器一式のレンタルや、LTE通信、クラウド録画などが対象となる。カメラの画角調整やAIによる解析の設定、データ解析に向けた映像の切り出し・加工などとともに、解析結果の出力や必要な形式での集計、調査報告書の納品という一連のプロセスをワンパッケージとして提供する予定だ。都市開発や観光事業、公共交通などに関連する調査業務での活用を想定する。
交通量調査は必要性が高い一方で、人による目視観測が多く、観測員の確保が困難といった課題がある。国土交通省の「ICTを活用した新道路交通調査体系検討会」では、原則として目視による人手観測は廃止し、AI解析やビデオ観測などの機械観測を推進する案も示されていた。システム構築に当たっては、映像をAI解析する交通量調査の実証実験を、奧村組と行った。その結果をソリューション提供につなげた。


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日本国土開発ら/旧本社ビル解体に7月着手、共同住宅などへ再開発

日本国土開発と積水ハウスは、日本国土開発の本社が入居していた赤坂MKビル(東京都港区)=写真=など2棟の解体に7月着手する。解体床面積は9000平方メートルの規模。跡地は共同住宅を含む新たな施設として一体的に再開発する見込みだ。具体的な計画は明らかにしていない。解体工事は三貴(大阪市都島区、水野貴彦代表取締役)が担当し、2024年4月の完了を目指す。
計画地は赤坂4の9の9ほか(敷地面積約1500平方メートル)。解体するのは赤坂MKビル(SRC造地下1階地上8階建て)とタク・アカサカビル(SRC造地下1階地上6階建て)の2棟で、総延べ8723平方メートルの規模。解体工事は日本国土開発と、積水ハウスのマンション事業部が共同で発注した。
日本国土開発は港区内で計画している再開発事業の一環で5月、計画地にある土地・建物を第三者に売却したと発表していた。売却先は、相手先の了承が得られていないとして非公表。同社の本社は1日、同区内のヒューリック神谷町ビル(虎ノ門4の3の13)に移転した。
赤坂MKビル

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国交省/CCUS能力評価、経歴証明の活用期間明確化

国土交通省は建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価(レベル判定)制度で、就業年数やマネジメント経験を「経歴証明書」で評価できる期間を2024年3月31日までと明確に定めた。それまでに証明できる年数・経験であれば、29年3月31日まで能力評価申請書の提出を認める。24年4月以降の年数・経験は原則としてCCUSに蓄積された就業履歴でなければ能力評価に反映されなくなる。
所属事業者などが作成する経歴証明書の活用は、現場でのカードリーダーの設置など就業履歴を蓄積できる環境が一定程度整うまでの経過的な措置として認められている。経歴証明書を活用した能力評価申請書の提出を24年3月31日まで認める従来規定を見直し、この期限を5年先延ばしにした上で、経歴証明書で証明可能な期間を明確化した。14日に改定した「建設技能者の能力評価制度に関するガイドライン」に明記した。
国交省は建設業振興基金(振興基金、谷脇暁理事長)と連携し、あらゆる現場で就業履歴を蓄積できる環境整備を急ぐ。カードリーダーの設置負担を軽減するため、年内にも安価な機器の利用環境を整える。就業履歴登録アプリケーション「建レコ」を改修し、最も安くて3000円程度の機器にも対応可能とする。
振興基金はCCUSに新規登録した元請企業にカードリーダーを無償貸与する取り組みを継続する。就業履歴を蓄積できないという技能者や下請の相談をメールで受け付ける専用窓口を開設し、無償貸与の情報提供など相談内容に応じたサポートに取り組む。

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回転窓/牛乳がつなぐ縁

近所の公園で今年もミルクフェスティバルが開かれた。酪農への理解を深めてもらい、乳製品の消費増を目的に、酪農団体らが地元自治体の後援を得て「牛乳月間」の6月に行うようになった▼複数銘柄の牛乳の試飲や搾乳の模擬体験ができるほか、牧場が経営する人気店のジェラートも販売され、老若男女を問わず楽しめるイベントが盛りだくさん。当日は大勢の人でにぎわった▼牛が1日に食べる干し草は15キログラムほどになるそう。1頭から1日に搾られる生乳は20~30リットル程度。会場の一画で酪農家の女性が「牛の世話と同じくらい餌づくりが牧場の大事な仕事です」と子どもたちに教えていた▼牛乳や乳製品のおいしさはきめ細かな乳牛の飼育と餌の管理があってこそ。酪農家への一番の応援は「たくさん飲んで使ってくれること」と話す女性の言葉が耳に残った▼試飲コーナーには顔見知りの小学生たちが集まり、中には転校後に偶然再会した女の子と男の子が恥ずかしそうに近況を話す姿も。子どもたちの成長に欠かせない牛乳を通じて酪農家と消費者、人と人とのつながりを大きくするイベントをこれからも応援したい。


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積水樹脂、三井住友海上/IoTで浸水深を遠隔把握、迅速に保険金支払い

積水樹脂(大阪市北区、馬場浩志社長兼最高経営責任者〈CEO〉)と三井住友海上火災保険は、水害の被災地での住民避難や災害対応の迅速化に貢献するIoT浸水深センサーを共同開発する。センサーを建物に設置し、保険会社が浸水深データを活用することで、浸水建物の現地調査の簡略化や迅速な保険金支払いを実現。被災地の早期復旧につなげる。
両社は今後、実用化に向け実際の建物などにIoT浸水深センサーを設置して検証を開始する。28~30日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「地域防災EXPO」(主催=自治体・公共Week実行委員会)に技術を共同出展する。
積水樹脂はIoTネットワークを活用して、災害時に地上の浸水深を遠隔で把握できるIoT浸水深センサーを新たに開発する。保険金支払いに使用できる浸水深データの取得とクラウドを通じたデータ提供を検討する。三井住友海上は、クラウドに送信された浸水深データのデータベース化とアラートシステムの構築、浸水深データを活用した保険金支払いシステムの構築を検討する。
データを官民連携することで浸水状況の早期把握が可能になる。迅速な災害対応や地域への情報発信の実現を目指す。
積水樹脂は、既に河川を水位監視できる小型・軽量なIoT水位センサーを開発済み。現場の水位変化・異常をリモートで把握することで河川管理の省力化に貢献している。
水害時の保険金の一時金支払いには原則、被災した全建物について浸水深の現地調査が必要となる。そのため保険会社は災害発生時多くの人員と時間を割いて対応している。
IoTセンサーのイメージ(報道発表資料から)

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回転窓大切な目のケア

 人が得る情報は80%以上が視覚からとされる。そうした目の健康を保つのは大切と分かっていても、日頃からしっかりケアしているかと言えば何とも心もとない▼近年は高齢化の進展に伴い目の病気が増えている。治療せず放置すると重症化して失明に至る病気もある。視力の低下で認知症の発症リスクも高まるようで、定期的な目の検診を心掛けたい▼ある地方大学医学部の眼科医が眼科医療を巡る環境について書いた文章を読んだ。全体の医師数でも大きい診療科の一つだが、この地域などでは何でも診られる医師を志望する医学生が多く、専門性の高い眼科医が少ないのだとか▼これに対して専門指向の医師が多い米国で、人気が高く最も難関なのが眼科だという。民間健康保険での眼科の位置付けなども例に挙げ、米国でいかに眼科医が特別かを説明している▼広範な知識を持ちオールラウンドに活躍するゼネラリストと、専門分野に精通したスペシャリスト。いずれも企業に必要な人材で、総合的な判断や調整に優れた能力も専門力を培ってこそ発揮できるものであろう。個々の持ち味をよく見た人材育成が求められる。



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2023年6月16日金曜日

近畿整備局/足羽川ダム建設/完成は3年遅れの29年度、事業費2500億円に倍増

近畿地方整備局は、福井県池田町で建設を進めている足羽川ダムについて、完成時期が3年遅れ、2029年度になる見通しを示した。事業費は1200億円程度増えて約2500億円になる。軟弱地盤による導水トンネルの工法変更や建設発生土の増加などで工事費が膨らみ、建設現場の働き方改革で工期の確保が必要になった。近畿整備局の渡辺学局長が14日、福井県庁を訪れ、杉本達治知事に説明した。
増額した約1200億円のうち約642億円は、導水トンネルや仮排水トンネルの地質の変更に加え、建設発生土の増加、落石対策、工事用進入路と仮設道路の追加工事などに充てる。工期の遅れに伴う維持経費などは約167億円。物価上昇の影響で約218億円の増額も見込んだ。
工期は大雨によるのり面崩壊の発生や働き方改革による労働条件を考慮した。
足羽川ダムは、九頭竜川水系足羽川の支川、部子川に整備する重力式コンクリートダム。規模は堤高が96メートル、堤頂長351メートル、総貯水容量は約2870万立方メートルで、流水型ダムとしては国内最大規模になる。洪水調節容量は2820万立方メートル。
20年度に本体建設工事に着手し、22年10月に基礎掘削が完了、コンクリート打設を始めた。本体建設工事は清水建設・大林組JVが担当する。導水トンネル2期は安藤ハザマが施工している。
進捗(しんちょく)率は付け替え県道が45・7%、付け替え町道が38・9%、コンクリート打設が4・6%、導水トンネルが72・5%、分水施設が30・7%。
完成イメージ(近畿地方整備局提供)

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九州整備局、九州建専連/福岡第一高校で出前授業、生徒が路面標示作業を体験

九州地方整備局と建設産業専門団体九州地区連合会(九州建専連、杉山秀彦会長)は13日、建設業の社会的な役割やものづくりの素晴らしさを伝える出前授業を福岡市南区の福岡第一高校で開いた。同校工業科の2年生約30人が参加した。生徒は全国道路標識・標示業九州協会の指導の下、路面標示の施工作業を体験し=写真、交通安全を陰から支える仕事の重要性について理解を深めた。
冒頭のオリエンテーションで、同協会の星子洋満副会長兼福岡県支部長は「交通事故を減らすために道路標識・標示を設置するのがわれわれの仕事だ。体験を通して、少しでも興味を持ってもらえるとうれしい」と語った。
九州整備局の西渉建設産業調整官は「モノをつくる楽しさを体感し、皆さんの進路選択の参考にしてもらいたい」と呼び掛けた。
その後、グラウンドに出て同協会の会員が路面標示の作図、施工作業のデモンストレーションを実施。生徒が施工機を使い白線を引く作業体験も行われ、生徒からは「きれいに直線を引くのが難しい」といった感想が出ていた。
同校教員で進路指導主事の乾弘満建築土木科長は「生徒には進路を見つめる上で、すごく貴重な経験になったと思う」と話した。
同日の授業は、九州整備局と九州建専連が若手人材の確保・育成を目的に2017年度からさまざまな高校を訪問して行っている「学校キャラバン(出前授業)」の本年度第1回として開催した。


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JR北海道/登別駅(北海道登別市)に新駅舎整備、駅構内のバリアフリー化も

JR北海道は14日、夏ごろに登別駅構内のバリアフリー化と新駅舎整備、現駅舎リフレッシュ工事に着手すると発表した。新駅舎は北海道登別市の観光交流センターと現駅舎の間に建設し、2025年度の完成・供用開始を目指す。
整備内容を見ると、バリアフリー化では新駅舎前に乗り換え用のこ線橋を設置するとともに、エレベーターを2基新設する。新駅舎は「歴史にたたずみ、現在を刻み、未来へと流れる駅」「道内有数の温泉地の玄関口として温泉街の風情を感じる駅」をコンセプトに、木造平屋で整備。現駅舎は内外装をリフレッシュし、待合室として利用する。また新駅舎と現駅舎の屋根に太陽光パネルを設置し、駅で使用する電力の一部を賄う。
事業費にはバリアフリー化に約10億円、新駅舎整備と現駅舎リフレッシュに約9億円を試算。新駅舎は25年度、現駅舎は26年度の供用開始を目指す。
新駅舎の完成イメージ(公表資料から)

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回転窓/現状維持ではなく

全国各地で団体などの総会に合わせ懇親会が開かれている。新型コロナウイルスが感染症法の5類に移行したこともあり、マスクを外して互いの元気な姿を見て、談笑する日常が戻りつつある▼「10年ぶりに参加して驚いた」。ある団体で理事に就任した40代の企業幹部が改めて気になったのは、10年前とほぼ同水準にとどまる業界全体の事業量だという。変化が求められる時代に業界の変化のなさが目に留まる▼自社で事業領域を拡大しながら業績を伸ばしてきた経営者の目線からすれば、同じ業界内で同様の動きが乏しいことに違和感を覚えるのだろう。若者らは成長が望める産業に魅力を感じるのであり、担い手不足を憂う前に確固たる成長路線を築く努力が必要だと訴える▼成熟社会への移行やコロナ禍を経た衛生意識の高まりなどを踏まえ、BtoC市場への商機拡大も狙えるとみる。従来のBtoB市場に閉じこもり、新市場に踏み込む努力を怠れば成長の可能性は狭まる▼価値観が揺らいでいる今だからこそ、従来の枠を超えて市場を創出する挑戦が不可欠。次なる展開への布石を打つ意識と行動力が求められる。


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追浜駅前第2街区再開発(神奈川県横須賀市)/組合が発足、25年5月着工へ

三菱地所レジデンスは15日、事業協力者として参画する「追浜駅前第2街区市街地再開発組合」(神奈川県横須賀市、織田俊美理事長)が発足したと発表した。5月19日に神奈川県から本組合の設立認可を受け、14日に組合設立総会を開いた。京浜急行追浜駅前に2棟総延べ4・8万平方メートル規模の店舗・住宅複合施設を建設する計画。公共機能として図書館を併設する。2025年5月初頭に着工し、28年3月末の完成を目指す。事業推進コンサルタントはINA新建築研究所。
施行地区は追浜町3。区域面積は8337平方メートル。事業計画によると敷地をA、Bの2地区に分けて施設を建設する。A地区は敷地面積1914平方メートル、建築面積1330平方メートル。建物はRC造地下1階地上24階建て塔屋2階延べ1万9969平方メートル。高さは約98メートル。地下1階は駐輪場、地上1~3階は店舗、4階は店舗と住宅の共用部、5~24階は住宅(146戸)。
B地区は敷地面積4042平方メートル、建築面積1969平方メートル。建物はRC造地下1階地上27階建て塔屋2階延べ2万7734平方メートル。高さは約100メートル。地下1階は駐輪場や受水槽など、地上1~2階は店舗と公共駐輪場、3階は図書館、4階は店舗・住宅共用部、5~27階は住宅(191戸)。
公共施設として建物2階部分と駅前道路(国道16号)を挟んだ追浜駅の2階部分を、立体歩行者通路(ペデストリアンデッキ)で連絡する。老朽化した既存建築物を建て替えて不燃化や耐震化を進める。併せて土地の高度利用で多様な都市機能を集積し、安全な住環境の整備を図る計画だ。
完成イメージ(報道発表資料から)

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九州整備局九州建専連福岡第一高校で出前授業生徒が路面標示作業を体験

 九州地方整備局と建設産業専門団体九州地区連合会(九州建専連、杉山秀彦会長)は13日、建設業の社会的な役割やものづくりの素晴らしさを伝える出前授業を福岡市南区の福岡第一高校で開いた。同校工業科の2年生約30人が参加した。生徒は全国道路標識・標示業九州協会の指導の下、路面標示の施工作業を体験し=写真、交通安全を陰から支える仕事の重要性について理解を深めた。
 冒頭のオリエンテーションで、同協会の星子洋満副会長兼福岡県支部長は「交通事故を減らすために道路標識・標示を設置するのがわれわれの仕事だ。体験を通して、少しでも興味を持ってもらえるとうれしい」と語った。
 九州整備局の西渉建設産業調整官は「モノをつくる楽しさを体感し、皆さんの進路選択の参考にしてもらいたい」と呼び掛けた。
 その後、グラウンドに出て同協会の会員が路面標示の作図、施工作業のデモンストレーションを実施。生徒が施工機を使い白線を引く作業体験も行われ、生徒からは「きれいに直線を引くのが難しい」といった感想が出ていた。
 同校教員で進路指導主事の乾弘満建築土木科長は「生徒には進路を見つめる上で、すごく貴重な経験になったと思う」と話した。
 同日の授業は、九州整備局と九州建専連が若手人材の確保・育成を目的に2017年度からさまざまな高校を訪問して行っている「学校キャラバン(出前授業)」の本年度第1回として開催した。



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2023年6月15日木曜日

りんかい日産建設/バージアンローダ船八洲丸が完成、大阪港南港でお披露目

りんかい日産建設が建造を進めてきたバージアンローダ船「八洲丸」が完成し、14日に大阪港南港地区(大阪市住之江区)で関係者を集めた見学会が開かれた。国際海事機関(IMO)が定める窒素酸化物(NOX)の2次規制対応エンジンを搭載するなど、環環に優しい工事用船舶として期待される。見学会には近畿地方整備局や大阪港湾局、神戸市ら発注者のほか、施工者などが多数参加した。
同社が豊富に実績を持つバージアンローダ船で新船を建造するのは27年ぶり。新来島サノヤス造船水島製造所(岡山県倉敷市)で、2022年8月25日~23年5月30日に建造された。建造費は約20億円。
船体の規模は全長54メートル、幅16メートル、深さ3・8メートル。揚土ポンプ駆動機(1839キロワット)と主機(1620キロワット)、補助機(355キロワット)の計3基のNOX2次規制対応型原動機を搭載する。監視カメラを通じて操船ウインチと土運船接舷ウインチの遠隔操作が可能。
揚土能力は1時間当たり750立方メートル。排砂管径は630ミリで、排水量は2151トン(計画吃水2・5メートル)。
バイオ燃料や陸上電力供給設備に対応する。将来的に発電設備を船体に導入することで災害発生時の発電船としての役割を担うという。
長期の工事に対応できるよう、Wi-Fiを完備した居住室やシャワー付き女性専用居室、船員の働きやすさを追求した事務室も配備した。
同社の薄井通安土木本部土木部長は「環境対策や省人化など時代のニーズに沿った船舶として、これから全国的に運用を展開していきたい」と話した。見学会に参加した近畿整備局大阪港湾・空港整備事務所の佃千加所長は「最新鋭のバージアンローダ船が誕生したことで、将来を担う若者たちが港湾工事に興味を抱くきっかけになってほしい」と語った。
八洲丸は近く、試運転を兼ねて姫路港網干地区で稼働開始する予定。
完成した八洲丸
近畿整備局大阪港湾・空港整備事務所の一行が内部を見学
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東北整備局宮城南部復興/五福谷川遊砂地工事で安全祈願祭開く、施工はアイサワ工業

東北地方整備局宮城南部復興事務所が、1級河川・阿武隈川水系内川流域で計画する三つの遊砂地のうち、宮城県丸森町の「内川流域五福谷川遊砂地工事」が始まる。直轄特定緊急砂防事業として、県が管理する五福谷川に県内最大規模の遊砂地(延長約680メートル、貯砂量約8万立方メートル)を権限代行で建設する。施工するアイサワ工業東北支店(三浦武彦支店長)が安全祈願祭を14日に現地で開いた。工期は2025年1月31日まで。五福谷川遊砂地の設計業務は日本工営が担当した。
「内川流域直轄特定緊急砂防事業」の一環になる。19年東日本台風(19号)に伴う土砂・洪水氾濫で大きな被害を受けた丸森町で、内川流域内川、五福谷川、新川の河川計画と整合した砂防計画に基づき短期間で遊砂地3カ所や砂防堰堤10基(改築6、新設4)を整備する。事業費は約133億円。事業期間は20~24年度。内川は熱海建設、新川は佐藤工務店が施工を担当する。
同日は工事関係者ら約50人が参加した。堀井一保宮城南部復興事務所長やアイサワ工業の宮内豊副社長らが玉串奉てんなどで安全を祈念した。神事後、堀井所長は発注者を代表し「沿線の皆さんが安全・安心に暮らせるよう、一日でも早い完成へ工事関係者一体となって、安全にも留意しながら施工していく」とあいさつ。来賓の保科郷雄丸森町長は「洪水氾濫による人家やインフラへの被害を未然に防止し、住民の生命や財産を守る重要な施設だ」と述べ、着工に感謝を表明した。
宮内副社長は「地域住民の皆さんの思いが詰まった工事で、光栄であると同時に責任の重さを感じている。施工者として、長年培った経験と最新技術を結集し、高品質な施設になるよう努める」と意気込んだ。
遊砂地は、大規模出水時に大量の土砂を一時受け止める施設として五福谷川の丸森町向原~牛子に計画した。工事概要は、掘削工14万立方メートル、盛り土工3万2000立方メートル、地盤改良工2400立方メートルの砂防土工、9000立方メートルのコンクリート工(主堰堤工・床固め工)の砂防堰堤、7800平方メートルの大型ブロック積み護岸工(砂防護岸工)。
発注者指定型のBIM/CIM活用工事で、土工などはICTを活用し自動化施工する。
□遠藤祐司現場代理人(アイサワ工業丸森作業所)の話
「広範囲な工事で住民の皆さんの生活圏に隣接しているため、期間中は細心の注意を払い、無事故・無災害で完成を目指す」。
完成イメージ(報道発表資料から)

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前田建設/鉄骨建て方の3D管理システム開発、柱のずれを自動計算

前田建設は鉄骨建て方の精度管理システム「建方ナビ」を開発した。組み上げた鉄骨の精度を立体的に表示し、柱や建物全体のずれ・倒れを直観的に把握できる。作業員の不足や高齢化が進む中、熟練度に依存しない精度管理により、鉄骨建て方の品質確保と不具合の防止を図る。システムは特許を出願中。これまでに2件の工事で採用しており、今後は全国の作業所で活用する予定だ。
「建方ナビ」では、鉄骨の建て方や溶接を終えた時点の柱の計測結果をクラウドに上げると、「柱の倒れ」を自動計算して管理値との整合を自動判定する。画面上では立体架構として3Dで可視化し、許容差を超えた箇所を太線で示して警告する。2Dの図面やシステムでは表しにくかった柱のずれ・倒れが一目で分かるため、不具合の見落としを防げる。
計測結果を表す伏図や立体図はそのまま記録書類として出力可能。品質管理記録の写し間違いといった人為的なミスを防ぎ、書類作成の労力を低減できる。クラウドを利用し関係者間の情報共有も容易という。
従来の精度管理では、下層階の柱の位置にずれが生じた場合、作業者がずれの方向を覚えておいて、上層階の柱の位置を調整する必要があった。この方法は作業者がずれた方向の勘違いしたり、下層階から累積したずれを把握しづからかったりして、建物全体の品質不具合につながる危険性があった。
「建方ナビ」画面例(報道発表資料から)

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回転窓/ウクライナのダム決壊

日本最大の貯水量を誇るダムが武装グループに占拠される--。2000年公開の映画「ホワイトアウト」は、主人公のダム運転員が人質救出のためテロリストに立ち向かうという手に汗握るストーリーでヒットした▼原作は作家・真保裕一氏の同名小説。ダムがテロの標的となり、要求が通らない場合は爆破すると通告される。そんな恐ろしいことが、現実に起きたらどうなるのかと不安になりながら読んだ覚えがある▼ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナで6日、ヘルソン州のカホフカ水力発電所のダムが決壊し、甚大な洪水被害が発生した。現在も事態は深刻で、ダムから冷却水を供給しているザポロジエ原発への影響も懸念される▼被災地域では多くの住民が避難を余儀なくされ、ウクライナ当局や国連などが支援を本格化させている。日本政府は500万ドル規模(約7億円)の緊急人道支援を実施する予定だ▼決壊の原因についてウクライナ政府は「ロシアのテロ行為」(ゼレンスキー大統領)との主張を強めている(12日時事)。小欄で書くまでもないが、インフラは人々の生活や産業、経済などを支えるためにある。


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国土強靱化基本法改正/参院議員・佐藤信秋氏に聞く、強靱な国土づくりの第一歩に

国土強靱化基本法の改正により、現行の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(2021~25年度)の後継となる「国土強靱化実施中期計画」の策定が法制化され、国土強靱化の歩みをしっかりと前に進めるための仕組みが整う。同法の制定から今回の改正まで立法化を主導してきた自民党の佐藤信秋参院議員は「強靱な国土づくりを営々と進めていくための本当の第一歩だ」と成果を強調。一方、実施中期計画の規模や期間は未定のため、どの程度確保できるかは「これからの戦いになる」と気を引き締める。=1面参照
大規模な自然災害が頻発する中、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」と5か年加速化対策によって、防災・減災効果が発揮された事例が出てきた。5か年加速化対策では老朽化対策も追加し、本来、国の補助事業などの対象とならない事業も支援できるようになった。佐藤氏は「こうした対策には法的根拠がなく、首長からは継続性を不安視する声が上がっていた」と法改正の背景を説明した。
公共投資に目を向けると、ここ数年は国の一般公共事業費(国費ベース)の2割程度を国土強靱化予算が占めている。データを基に、公共投資が民間投資を刺激し、「公共事業の国費の6・5倍が建設投資全体になる」と分析。建設投資と国内総生産(GDP)の相関性なども指摘し「建設産業だけではなく、ふるさとや日本全体を守るためにも、建設投資、それを支える強靱化対策は必要だ」と意義を強調した。
5か年加速化対策の予算が順調に措置されているため、最終年度を1年前倒しし、25年度に実施中期計画を開始する必要性も訴える。建設会社が人材雇用や設備投資を計画的に行うためには、事業予見性の確保が求められる。そのため、建設業界からは5か年加速化対策とその後継計画について、当初予算での措置を求める声が根強い。佐藤氏は強靱な国土づくりを計画的に推し進めるため「実施中期計画の初年度予算を25年度当初予算で確保する」ことを目指し、引き続き尽力する構えだ。
大規模災害がいつどこで起こっても不思議ではない厳しい現実を踏まえ、強靱な国土づくりを迅速に進めるためにも「(災害発生時に)『地域の守り手』として活躍するのは建設業だ。平時も地域で仕事をして支えてほしい」と建設業界が果たす役割に期待する。11年連続で公共工事設計労務単価が上昇していることにも触れ、事業を担う建設業界の人材確保・育成にも継続的に取り組んでいく方針を改めて示した。
佐藤信秋氏

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