2022年8月31日水曜日

特定技能/業務区分再編決定でJACが試験実施主体に、作業範囲拡大に対応

 建設分野で特定技能外国人を受け入れる際の業務区分の再編・統合に合わせ、特定技能の在留資格を得るために必要となる試験が刷新される。これまで試験の作成・実施主体だった各専門工事業団体に代わり、新たな業務区分の▽土木▽建築▽ライフライン・設備-の3区分ごとに建設技能人材機構(JAC、三野輪賢二理事長)が試験を行う方法に変更。試験合格後に職種別の専門技能などを身に付けるため、JACと各団体が連携し訓練・研修を充実させる方向で調整する。
 政府が30日、特定技能の在留資格制度に関する建設分野の運用方針改正を閣議決定した。建設業に関連する全作業をカバーできる緩やかな枠組みとして新区分を設定。従来の19区分以外の職種でも特定技能の受け入れが可能になった。
 JACが主体となる新試験は年内にも開始する。これまでの試験では「学科」と「実技」の両面で技能を評価していたが、再編・統合後の試験内容は3区分ごとの一般的な知識を確認する程度にとどまる見通し。これを補完する形で訓練・研修を充実させる。既に決定している各団体による旧試験は予定通り実施し、2023年度から新試験に完全移行する。
 在留資格申請には技能実習から切り替える方法もある。従来の19区分と技能実習職種がかぶらない場合は特定技能への移行が難しかった。新たな3区分ではさまざまな職種を柔軟に当てはめることが可能。技能実習からの円滑な移行も進展するとみられる。
 業務区分が細分化されていた以前は技能者個人の業務範囲が認定職種に限られるという問題点も指摘されていた。
 今後は3区分の枠内で多能工のような働き方が可能。例えば躯体工事に携わる際は建築区分の鉄筋、型枠、とびの各工事などに作業範囲が広がる。
 受け入れる際に決められた特定職種であれば、複数の業務区分にまたがった作業も従来通り可能だ。鉄筋や塗装などの職種で受け入れられた場合、工事対象物が土木施設、建築物のいずれにも従事できる。



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東光電気工事/リモートサポート課新設、業務効率化と社員スキル向上支援

 業務で困っていることはありませんか--。東光電気工事が社員の困り事を解決し、業務をサポートしている。4月に技術相談や遠隔指導、若手社員の教育支援を担う技術的サポートの窓口「リモートサポート課」を技術統括部技術開発部に新設した。現場チェックが不慣れな若手社員に対し、ウエアラブルカメラの映像を通じ、適切な指示を出す。細かい指示を通じて業務の効率化を実現し、若手社員のスキルアップにも一役買っている。
 DX戦略の一端を担う同課は、見える化や情報共有を積極的に推進。品質向上や業務効率化をはじめ社員同士の連携、現場と本社・支社の連携を強化し、残業時間の削減やモチベーションアップを図る。
 内線担当、再エネ担当、送電担当のベテラン社員が所属している。現場のチェック作業で自身の判断に不安な時や施工方法に悩んだ時に活用してもらい、現場巡回のポイントやチェックツールへの入力方法、注意点などを指導する。
 課内には55インチの大型モニター4台を設置し、ウエアラブルカメラで捉えた現場の映像を確認しながらサポートする。大画面に映し出すことで細かい配線や盤の様子を正確に捉え、指示を出す。施工ミスや遅れを防ぎ、効率的な業務を実現する。大型モニターを通じて現場着工会議や、図面や工程表を見ながら、本社と地方現場との情報共有をスムーズに行っている。
 クラウド経由で過去のチェック記録も共有可能。インターネットがつながる場所ならどこの現場でもオンタイムで相談したり、指示を受けたりできる。先輩社員や上長が同行して指導する必要がなくなる。
 神戸将司技術統括部技術開発部長は「業務を円滑に進めるための『何でも相談窓口』」と胸を張る。「現場で判断できない場面や施工方法で悩んだ時など、若手社員が日々の業務で直面するちょっとした相談ができる場所として認知してもらえるようになってきた。もっと気軽に身近に活用してもらえるよう、現場社員の意見も取り入れながら、さらにアピールに努めていきたい」と展望を話す。



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會澤高圧コンクリら3社/洋上でグリーンアンモニア製造へ、実証機開発に着手

 會澤高圧コンクリート(北海道苫小牧市、會澤祥弘社長)ら3社は、洋上でグリーンアンモニアを製造、貯蔵する「グリーンアンモニア製造艦」(GAPS)の実証機の開発に着手した。洋上風力由来の再生可能エネルギーでグリーン燃料のアンモニアを製造して輸送。使用直前にグリーン水素を生成し、燃料電池自動車(FCV)に供給する。地域分散型のグリーン水素サプライチェーン(供給網)モデルの構築を狙う。
 グリーン燃料のノウハウを持つ米国スターファイアー・エナジーら2社と提携。GAPS1号艦「MIKASA」は、一辺が68メートルの正三角形のコンクリート製「セミサブ型浮体」。連結部材の超大径パイルの梁の上に、国際コンテナ型のアンモニア製造モジュールを分散して搭載する。浮体内部には軽量コンクリートを充填し、浮体性能を向上させる。
 會澤高圧コンクリートが開発した、コンクリートのひび割れを修復するバクテリアを利用した「自己治癒コンクリート」も活用し、浮体の安全性を確保する。
 実証機と燃料製造モジュール試作機の開発は、特別目的会社(SPC)を設立して進める。



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横浜市/山下ふ頭再開発で事業者提案・市民意見概要公表、観光・文化・防災など多様

 横浜市は29日、中区の山下ふ頭再開発の新たな事業計画策定に向けて募った市民の意見と民間事業者の提案概要を公表した。カジノを含むIR(統合型リゾート)施設誘致撤回後の市民らの声が明らかになった。市民からはスポーツ・エンターテインメント機能や親水機能、文化・芸術機能などを求める声が多かった。民間事業者からは鹿島、竹中工務店など10件の提案があり、大規模集客施設や国際展示場、企業・大学などと連携したイノベーション施設などの開発案が示された。結果の詳細は9月中旬ごろに公表する。
 山中竹春市長が誘致を撤回。IR施設の建設予定地だった山下ふ頭の開発事業を再検討するため、昨年12月~今年6月にかけて市民の意見と民間企業の事業提案を募集した。市は再開発案を再検討するための庁内プロジェクトを1月に立ち上げた。今後は地元団体の代表や有識者で構成する委員会を設置し、検討を進める。市民意見や提案を踏まえ2023年度以降に新たな事業計画を策定する。事業者公募・決定などを経て、26年度ごろの事業化、30年ごろの供用開始を目指す考えだ。
 市民アンケートには3721件の回答があり、このうち1942件の自由意見があった。市民からはエンターテインメント、水辺・親水機能、文化・芸術、スタジアム、ホテルなどの複合的導入を求める声が多かった。再開発に当たっては持続可能なまちづくりや多様性社会、実験都市、市民への還元、防災、環境配慮、企業誘致、産学連携、税収確保などの視点を取り入れる意見があった。
 提案事業者は▽鹿島▽竹中工務店▽TERRAデザイングループ(構成員・空間設計パートナーズ、万葉倶楽部)▽横浜魚類グループ(同・金港青果、横浜魚市場卸協同組合、横浜市場冷蔵、横浜市中央卸売市場関連事業者協同組合、横浜中央市場青果卸協同組合、横浜丸魚、横浜丸中青果)▽横浜港ハーバーリゾート協会▽リストグループ(同・ホテルニューグランド)。ほか事業者名非公表4者。
 主な提案内容は企業・大学などのイノベーション施設を中心に、グローバル企業の研究機関、キャンパス型オフィス、研究者用中長期滞在型施設、ホール・シアターなどの複合集客施設整備。国際展示場やコンサート・イベント会場、マルチアリーナ、ホテル、商業施設など大規模集客施設を中心とした提案。緑や水素発電・浄化システム、運動・健康施設、海上一体型シアターなど緑や環境を中心とした提案など。
 市は秋ごろから民間事業者提案の修正や事業提案の追加募集、新たな市民意見募集・意見交換会などを行う予定だ。山下ふ頭は面積約47ヘクタール。内訳は民間所有地約0・5ヘクタール、国有地約1・5ヘクタール。それ以外の大部分は市有地になる。



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三菱地所/天神1-7計画20階建て延べ7・4万平米、CLT外装で国内最大規模

 三菱地所は30日、福岡市中央区天神の商業施設「イムズ」の跡地で計画する複合ビル開発プロジェクト「(仮称)天神1-7計画」の概要を発表した。商業施設やホテル、オフィスで構成し、建物規模はS・SRC(地下)造地下4階地上20階建て塔屋1階延べ約7万4020平方メートル。低層階の一部や7階以上の外装には九州産材のCLT(直交集成板)を使用する。同社によると外装にCLTを使用した高層建築物としては国内最大規模となる見込み。2023年7月の着工、26年3月の完成を目指す。設計は三菱地所設計が担当。
 福岡市が進める都心部のビル建て替え誘導プロジェクト「天神ビッグバン」の容積率緩和措置(天神ビッグバンボーナス)の認定を受けた。
 建設地は中央区天神1の326の1ほか(敷地面積約4640平方メートル)。建物の地下4~3階は駐車場と機械室、地下2階~地上5階は店舗やホテル、オフィス、6階は機械室、7~15階はオフィスとし、16階以上にもホテルを配置する。建物高さは91メートルを予定。
 魅力あるデザイン性に優れたビルとして都市と自然が調和した都市空間を目指し、建物外装は三菱地所も出資する総合木材会社のMEC Industry(鹿児島県湧水町)製の九州産材のCLTのパネルと植栽を有機的に配置したデザインとする。CLTの使用量は450立方メートル以上を想定している。渡辺通りに面する敷地南西側の建物低層部にはV字の柱と吹き抜け空間を設ける。
 環境への配慮ではCLTの使用により地球温暖化の防止に貢献し、建物の使用電力はすべて再生可能エネルギー由来とする。
 敷地南側の地上と敷地西側の地下にそれぞれ広場を設け、敷地北東側にはシンボリックな緑化柱を配した地上広場を整備し、歩行者ネットワークの強化と憩いある空間の創出を図る。オフィスへの自然換気の採用など感染症対策も講じる。
 23年5月末までに既存施設の解体工事を完了する予定。解体工事は大成建設が担当。新築工事の施工者は未定としている。



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2022年8月30日火曜日

福島県双葉町/新庁舎開庁式開く9月5日業務開始、復興再生へ大きな一歩

 福島県双葉町は27日、JR双葉駅前に完成した町役場新庁舎の開庁式を行った。東京電力福島第1原発事故で全町避難が続く行政機能が11年5カ月ぶりに町内に帰還。30日の特定復興再生拠点区域の避難指示解除を前に、復興再生への決意を新たにした。
 新庁舎は設計・施工一括方式で橋本店(仙台市青葉区)と関・空間設計(同)によるJVが担当。業務開始は9月5日を予定する。
 式には関係者ら80人が出席した。伊澤史郎町長がこれまでの支援に感謝を述べた上で「未来に向かって、まちの復興に尽力する。新庁舎が町民に親しまれ多くの交流が生まれるまちづくりの拠点になるよう努めていく」と決意を語った。秋葉賢也復興相や西村康稔経済産業相、小林茂樹環境副大臣、政府原子力災害現地対策本部長の太田房江経産副大臣ら政府関係者と内堀雅雄知事らが祝辞を述べた。
 このあと2011年の仕事始めで片目が入ったまま旧庁舎に残されていた「双葉だるま」に伊沢町長が左目を描き入れ、関係者がテープカットし、町の復興再生に向け、拠点となる開庁の完成を祝った。
 新庁舎は軽量S造2階建て延べ3146平方メートル。JR双葉駅前に立地する。建物内外には木ルーパーなどの木材を配置したほか、庁舎全体の温室効果ガス排出量が削減できるよう太陽光パネルを設置し、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の最高ランクとZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)Ready認証を取得。災害時の防災拠点として継続的に対応できるよう自家発電設備も備えた。



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TICAD8が閉幕/気候変動対策などで融資表明、国交省ら質の高いインフラPR

 日本政府が主導しアフリカ向けの開発支援策を話し合う第8回「アフリカ開発会議」(TICAD8)が28日、チュニジアの首都チュニスで閉幕した。オンラインで出席した岸田文雄首相は気候変動対策や再生可能エネルギーなどインフラ事業への融資を表明。国土交通省らは関連イベントとして26日に第3回「日・アフリカ官民インフラ会議」を開き、参加した建設関連企業とともに日本の「質の高いインフラ」をPRした。
 岸田首相は今後3年で官民合わせて総額300億ドル規模の資金をアフリカ地域に投じると表明。インフラ分野では「アフリカ・グリーン成長イニシアティブ」と銘打ち、40億ドル規模の融資を実施する。具体的にはダム再生の案件形成や水素供給網の構築支援、再生可能エネルギー事業への民間投資促進に向けた信託基金への拠出などを展開。会議は日本とアフリカ各国の間で技術移転や人材育成も強化するとした「チュニス宣言」を採択して閉幕した。
 日・アフリカ官民インフラ会議は、森昌文首相補佐官や国交省の天野雄介官房海外プロジェクト審議官、民間団体「アフリカ・インフラ協議会」(JAIDA)の宮本洋一会長(清水建設代表取締役会長)らが出席。チュニジア側は設備・住宅省のサラ・ザファラニ大臣が参加した。
 宮本会長は開会のあいさつで「内陸国が多いアフリカのインフラ整備は特にクロスボーダー(国境を越えた)な考え方が重要だ」との認識を提示。その上で「(インフラ分野で)日本とアフリカ双方の官民の信頼関係を通じて、潜在能力が一層発揮されるよう貢献したい」と呼び掛けた。
 席上、国交省は2019年6月のG20大阪サミットで承認された「質の高いインフラ投資に関するG20原則」の内容を説明。ライフサイクル全体で経済性を高めるといった主要な理念の実現に向け、発注者と企業との継続的な協力関係が必要になると強調した。
 JAIDAに加盟する▽清水建設▽フジタ▽東洋建設▽鴻池組▽酒井重工業▽オリエンタルコンサルタンツグローバル▽日本工営▽豊田通商-の8社が登壇し、アフリカ地域で参画しているプロジェクトを説明。前田建設とインデックスストラテジーの2社も会議に出席した。



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日本工営、山口大学/DNAトレーサー技術開発へ、漏水の原因把握などに活用

 日本工営と山口大学は、人工的に作ったDNAを使って水の流れを把握する「DNAトレーサー技術」の共同開発を進めている。水が流れる場所の上流から人工DNAを流し、同じDNAが到達した地点やそこまでかかった時間などを調べることで環境流体を可視化する技術。これを応用すれば、漏水がどこから発生しているのかのチェックにも活用できる。
 DNAトレーサー技術は、中に人工DNAを入れた人工細胞「リポソーム」を使う。人工DNA単体では下流で回収用のフィルターをすり抜けてしまうため、リポソームの中に入れることで体積を大きくし、フィルターに引っかかりやすくした。
 人工DNAは環境流体の確実な可視化に使う。自然界に存在しないDNAを使うことで、流し込んだDNAと回収したDNAが同じものであれば、上流と下流をつなぐ経路の証明が可能になる。人工DNAは多様な種類を大量につくれるため、さまざまな場所から異なる人工DNAを流し込むことで、複雑な水の流れも調査できる。
 両者は本年度中にも野外での実験を目指す。実用化に向けては「リポソームよりも安価なカプセル状のものがないか検討する」(日本工営)考えだ。
 技術の活用方法としては、施設管理者や建設会社を対象に、道路陥没と地下工事の因果関係把握や、構造物の漏水箇所のチェックなどを想定している。例えば地下鉄工事などで水が発生した場合、水の発生源として想定される箇所から人工DNAを流し込む。漏水箇所から人工DNAが回収されれば原因箇所が判明するため、DNAを流し込んだ箇所で漏水対策を行う。
 日本工営によると、構造物などから水が発生したり、ゲリラ豪雨でマンホールが冠水したりする際、どこから水が発生しているのかがはっきり判明していないケースは多いという。同社は「技術を使えば水の流れをさかのぼることが可能になる。早期に実用化段階に持っていきたい」と話している。



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トヨタら/東京・台場の1万人収容アリーナ実施設計は鹿島、25年秋開業へ

 トヨタ自動車やトヨタ不動産(名古屋市中村区、山村知秀社長)ら3社は29日、東京・台場で計画するアリーナの概要を発表した。「TOKYO A-ARENA PROJECT」として、最大約1万人を収容する大規模アリーナを整備。アリーナへ自動で移動するモビリティの運用なども視野に、トヨタの先端技術を生かす施設を目指す。基本設計は日建設計、実施設計は鹿島が担当。施工者は決まっていない。来春に工事着手し、2025年秋の開業を目指す。
 施設の整備はトヨタ不、運営はトヨタアルバルク東京(東京都文京区、林邦彦社長)が担う。計画地は江東区青海1(敷地面積約2万7000平方メートル)。昨年12月に閉館したトヨタの展示施設「メガウェブ」の跡地を活用する。現地では大成建設が既存施設の解体工事を進めている。
 建物は▽メインアリーナ▽サブアリーナ▽アルバルク棟-の3棟で構成する。延べ床面積は未定。メインアリーナは、プロバスケットボールBリーグに所属する「アルバルク東京」がホームアリーナとして使用する。バスケットボール以外にも、バレーボールや卓球などの室内競技やeスポーツの開催にも対応するという。
 建物の屋上を活用し、公園やバスケットコートなど二つの屋外空間も整備する。同日に記者会見した山村社長は「アリーナの内側だけではなく、外側にも365日にぎわいを創出できるようにしたい」と話した。国内のアリーナとしては初となる、米グリーンビルディング協議会の環境認証制度「LEED」の取得を目指す。
 「未来型モビリティサービス」をテーマに、最寄り駅とアリーナを往復するモビリティの運用なども検討している。今後はアリーナの共同開発事業者や協賛企業も募集。トヨタの早川茂取締役副会長は「多くのパートナーと一緒に、まだ見ぬアリーナづくりに挑戦していきたい」と話した。



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東急不動産の我孫子ビレジ/竣工から45年、建て替えず入居率95%維持

 千葉県我孫子市にある東急不動産が開発した複合用途型団地「我孫子ビレジ」。長期の維持管理を前提に設計・施工した20棟の集合住宅(944戸)がある。1977年の竣工以来、建物の計画的な修繕に努め、建て替えを行っていないながらも95%という高い入居率を維持している。我孫子ビレジ団地管理組合法人の田中裕実専任理事は「しっかり造り込んでくれたことで長期の管理が行えている」と強調する。
 所在地はJR常磐線我孫子駅から1・2キロのつくしの3丁目。東京への通勤圏にある大規模分譲団地として、42ヘクタールの敷地に公共施設などの生活関連施設を組み込み、一戸建てエリアとともに開発された。集合住宅は11階建て1棟と14階建て2棟の高層棟3棟(柱SRC一部PC〈プレストレストコンクリート〉造)、5階建ての低層棟17棟(壁式PC造)、2階建ての店舗棟(SRC・RC造)がある。敷地は約4割が緑地。設計は東急不動産、東急設計コンサルタント、施工は東急プレハブなどが担当。東急コミュニティーが一貫して維持管理を行っている。
 欧州の住宅の仕様を踏まえ、設計は長期の維持管理にこだわった。高層棟はSRC造の柱と工場製作のPC部材を組み合わせた当時は国内初の高層建築として建設され、建築確認の際に構造評定を受けた。振動応答解析によって現在も震度6クラスの大地震に十分な余裕があることを確認済み。梁端部と柱の溶接が適正に行われたことも非破壊検査で分かっている。不等沈下が懸念される地域のため杭基礎を採用し、地盤改良を施した。当時は珍しい地上受水槽・圧送給水方式を採用した。
 住戸は給水、給湯、暖房、ガス、生活排水の各管をスラブと床の間に収納し、トイレ汚水管を床上に収めた改修しやすい構造。専有部の給水、給湯、排水の各管は管理組合が所有者に代わって2010年に全戸の改修を終えた。給湯暖房、非常時も想定した受水槽・加圧給水設備などの省エネ改修も計画的に行ってきた。
 各棟は19~20年に3回目の大規模修繕工事を行った。前回から15年がたつ。都市再生機構を参考に、大規模修繕は18年周期を導入しており、36年ベースの長期修繕計画を策定し、管理組合の総会で賛同を得た。計画中の物価上昇や消費増税は織り込み済み。5年後に見直しながら各棟の長期の維持保全に努めるという。住戸内の工事を伴う改修に備え、工法の検証と改修費の算定を行い、長期修繕計画を見直すことにしている。専有部は修繕の細則を定めてある。
 管理組合には理事会傘下の営繕部会があり、維持保全を主導している。同部会は将来「計画修繕委員会」への移行が視野にある。我孫子ビレジは先端性のある設計・施工や、長期の維持・保全などが高く評価され、ロングライフビル推進協会の第31回BELCA賞を受賞した。田中理事は維持管理について「住む人の誇りと認識が支えている」と話す。マンション管理適正化法に基づく物件情報の一般公開を目指しており、安心な住まいを求める若年世代への情報発信に力を入れるという。



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2022年8月29日月曜日

土研/自律施工技術の共同研究開始、地域建設会社や異業種含む10グループと

 土木研究所(土研、藤田光一理事長)は建設機械の自律施工技術の開発・普及促進に向け、建機メーカーごとに異なる制御信号ルールを統一化した自律施工技術基盤「OPERA」を活用した民間事業者との共同研究を始める。建設会社や建機メーカー、ICT・ロボット関連会社などによる10グループが参画予定。今月以降、各グループと協定を順次締結しユースケース(利活用場面)の検討や現場実装に向けた技術開発に乗り出す。
 土研は統一化した制御信号ルールを自律施工に関する研究開発の「協調領域」として提案。ルールが統一されていれば同一現場で複数メーカーの建機を組み合わせた作業が可能。各社の競争領域を明確化し効率的な技術開発にもつながる。異業種などの参入障壁を低くするのも狙い。共通信号をベースにパッケージ化した実験環境をOPERAと称して一般公開し、オープンイノベーションを促進する。
 6、7月に募集した共同研究者10グループは単独応募者が含まれ、業種別に▽建設会社=5者▽建機メーカー=2者▽異業種企業(ICT・ロボット関連など)=6者▽大学=1者-の14者で構成。建設会社や建機メーカーが異業種と組んだグループもある。
 実験環境として茨城県つくば市の土研内にある「建設DX実験フィールド」を活用。建機やシミュレーター、一部のアプリケーションも提供する。参画する建設会社のうち2者は地場企業、異業種のうち2者はスタートアップ企業となる。
 共同研究の実施期間は2024年度末まで。各グループで技術開発の進展状況に濃淡があるため協定締結後、個別に工程を固める。最終的にOPERAを活用し自動・自律施工や高度な遠隔操縦支援のためのシステムを開発。検証結果を整理し、現場試行に向けた課題や実装事例を公開する。



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長谷工、不動テトラ/既存杭引抜き跡埋め戻し、固化砂杭で地盤安定化

 長谷工コーポレーションと不動テトラは、杭の引き抜き跡に砂を充てんし、地盤を安定化させる既存杭引き抜き跡埋め戻し工法を共同開発した。液状化対策に使われる静的締め固め砂杭工法を応用。既存杭の撤去箇所に均質で強度制御された固化砂杭を造成することで、新設杭施工時の品質が向上する。今後は既存建物解体や残存杭の引き抜き時などに積極的に活用していく考えだ。
 共同開発した「HiFill-CP(ハイフィル・シーピー)工法」(特許出願中)は既存杭撤去跡の土砂や泥水などを排出し、固化砂杭に置換する新技術。固化材が均質に添加され埋め戻し部の強度を制御できる。固化材が添加された中詰め材を使うため、固化砂杭は崩壊せず自立し、新設杭掘削などの施工も容易だ。
 固化材の添加量が少なく、流動化処理土などの充てん材に比べて二酸化炭素(CO2)排出量を抑制。静的締め固め砂杭工法を用いて固化砂杭を造成するため、周辺地盤のゆるみ領域の回復も期待できる。
 共同研究では原地盤に模擬撤去孔を掘削し、静的締め固め砂杭工法を使った埋め戻しの試験施工を実施した。施工後に埋め戻し部のボーリング調査などを行った結果、固化砂杭強度のばらつきは小さく均質で、模擬撤去孔の泥水や泥土が固化砂杭に置換されることを確認。固化砂杭と原地盤をまたいだ状況でもアースドリル工法で掘削可能なことも確認できたという。



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国交省/121号大峠道路権限代行で応急復旧、被災箇所に仮橋架設へ

 斉藤鉄夫国土交通相は26日の閣議後会見で、豪雨災害で不通になっている「国道121号大峠道路」の応急復旧を、国の権限代行で実施すると表明した。山形、福島両県の知事が通行の早期再開に向け、斉藤国交相に権限代行を緊急要望していた。現場は道路下部ののり面が80メートル余りにわたって崩落している。仮橋を架け1車線の片側相互通行が可能な状態にする。今後実施する地質調査などの結果を踏まえ計画を立案する。
 同日の会見で斉藤国交相は、吉村美栄子山形県知事と内堀雅雄福島県知事の緊急要望を受け「1車線分の走行を確保する応急復旧を権限代行で実施する」と表明した。「山形県米沢市と福島県喜多方市を結ぶ唯一の幹線道路である国道121号が被災し、現在も通行止めを余儀なくされている」状況を重く受け止め、地域の協力を得ながら「国交省の現場力を最大限発揮し総力を挙げて取り組む」方針だ。
 大峠道路は山形県米沢市と福島県喜多方市を結ぶ全長25・2キロ(幅員6・5メートル、2車線)の路線。3日からの大雨で最上川支流の鬼面川が増水し、米沢市入田沢の八谷トンネル北側で道路下部ののり面(高さ約25メートル)が崩れ落ち、通行できなくなった。
 崩落箇所は6月下旬の大雨で崩れており、3日からの豪雨で被害範囲が幅約80メートルに広がった。現場は山間部の谷あいで県境という地理的な条件に加え、施工に高度な技術力が必要なため、国による権限代行で応急復旧する。
 東北地方整備局は設計に当たり、地質の詳細調査などを実施し、仮橋をどのような構造にするかなどを早期に検討する。国の権限代行が決定したことを受け、吉村知事は「国道121号は両県にとって欠くことのできない大変重要な道路であり、権限代行による応急復旧の実施により、早期の交通確保につながるものと期待している」との談話を発表。内堀知事は「緊急要望した内容を踏まえ、速やかに対応いただいたことに感謝している。国交省が持つ高い技術力と豊富な経験で、早期の交通解放が図られるよう期待している」とコメントした。



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大阪府枚方市/市駅周辺再整備へ現庁舎跡に複合施設、9月議会に新庁舎位置条例提案

 大阪府枚方市は、市役所や公園などがある京阪枚方市駅前のまちづくりの考え方案をまとめた。市有地を有効活用し、街の魅力を高める複合施設を誘致するほか、公園にステージや大階段を設け、にぎわいと安らぎの場にする。市役所庁舎は北河内府民センターがあるエリアに移る。市は25日に開かれた市議会全員協議会に同案を報告した。9月定例議会に新庁舎の位置に関する条例を提案する。まちづくりは土地区画整理事業を想定し、2023年度末の都市計画決定を目指す。
 同駅周辺は五つの街区に分けてまちづくりが計画され、北口駅前広場を含めた3街区では市街地再開発事業が始まっている。今回は駅南側の市役所や市民会館、公園がある4街区と道路を挟んでさらに南側の5街区が対象。同街区には税務署や簡易裁判所も立地する。
 同案によると、市有財産を有効活用し、緑の空間や幅広い世代が集まる空間を整備するほか、さまざまな都市機能を集積させることで「多くの人がワクワクし、幸福度が高まるまち」を目指す。
 4街区は民間活力を導入する。市民会館と市庁舎跡地に子育て支援や教育、医療、健康増進、シェアオフィス、都市型居住施設などを備えた複合施設の整備を想定。その西側の公園エリアは屋根付きのステージや大階段が一体となったにぎわい空間、芝生広場などを設ける。複合施設と公園の間にはエリアマネジメントの拠点や市民交流の場を設置する。
 5街区の新庁舎は税務署との合同庁舎化を検討。駐車場と一体化した防災拠点を目指す。庁舎の規模は合同庁舎化による駐車場の共用などで縮減し、2万5000平方メートル以下に抑える。今後策定する新庁舎整備基本計画に反映する方針だ。
 駅と公園、新庁舎のエリアをつなぐ歩行者デッキもつくり、駅周辺の回遊性を向上させる。
 10月以降、地権者による勉強会や都市計画決定に向けた準備、環境影響評価(アセス)手続きに入り、24年度末に土地区画整理事業の認可を受けたい考えだ。市民会館大ホールや職員会館、市庁舎を解体するほか、新たな道路を整備する。総事業費は318億円。
 新庁舎については、25年度以降に基本計画をまとめた後、事業者の公募手続きを行う。
 9月補正予算案には枚方市駅周辺再整備調査設計等事業費として債務負担で1億2000万円を計上している。



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西新宿三丁目西地区再開発(東京都新宿区)、総事業費は2387億円に/準備組合

 東京都新宿区の西新宿三丁目西地区市街地再開発準備組合が計画するプロジェクトの総事業費が2386億70百万円に達することが分かった。総延べ約38・3万平方メートルの再開発ビルを建てる予定で、準備組合は6月に区へ本組合設立の認可申請を行った。都での手続きが順調に進めば、今秋にも設立が認可される見込み。2024年度にも既存建物の解体を含む工事に着手し、34年度ごろの竣工を目指す。
 計画地は西新宿3ほか(区域面積約4・6ヘクタール)。エリアの南西側約300メートルに京王電鉄初台駅が位置し、甲州街道や山手通りなどの主要道路が街区を囲む。準備組合には事業協力者として野村不動産、東京建物、住友商事、首都圏不燃建築公社、前田建設の5者が参画。事業コンサルタントは佐藤不動産鑑定コンサルティング、上野計画事務所、梓設計、環境管理センターが務める。
 プロジェクトでは、A-1~3の三つの地区に分けて再開発ビルを建設する。A-1地区には南棟(RC一部S造地下4階地上62階建て塔屋2階延べ19万4987平方メートル)と、北棟(RC一部S造地下4階地上63階建て塔屋2階延べ18万3782平方メートル)の2棟を整備する。
 A-2地区のビルはRC一部S造地下1階地上9階建て延べ3403平方メートル、A-3地区はRC一部S造9階建て延べ1406平方メートルの規模となる。合計で約3200戸の住宅に加え、商業施設やオフィス、保育所などを設ける。A-3地区のビルには地域貢献施設として町会会館の機能を取り入れる。
 26日に新宿区役所で資金計画や最新の施設計画を示した事業計画書の縦覧が始まった。縦覧期間は9月8日まで。都への意見書の提出は同26日まで受け付けている。
 対象区域は1981年以前の旧耐震基準に基づく建物が多く立地。幅の狭い道路もあり、防災面で課題を抱えている。準備組合は01年に発足し、事業の区域や計画などを検討してきた。区は19年3月に再開発事業の都市計画を決定した。



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2022年8月26日金曜日

国交省/23年度予算概算要求公共事業6・2兆円、資材高騰対策を事項要求

 国土交通省は25日、2023年度予算の概算要求を発表した。一般会計の国費総額は前年度予算比18・4%増の6兆9280億円。うち公共事業関係費は19・0%増の6兆2443億円を要求する。GX(グリーントランスフォーメーション)とDXへの投資などに配分できる特別枠「重要政策推進枠」を最大限活用。前年度と同じく「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」は事項要求とし、建設資材の価格高騰を踏まえた公共事業の必要経費も予算編成過程で確保を目指す。=2面に部局別概要
 政府が閣議了解した概算要求基準では▽人への投資▽科学技術・イノベーションへの投資▽スタートアップへの投資▽GXとDXへの投資-の4分野を重要政策推進枠に設定。国交省は特別枠に1兆5929億円を充てた。住宅・建築物の省エネ対策などを強化し脱炭素社会に向けたGXを推進。各局横断のデータ連携でインフラ分野のDXも深化させる。
 事項要求となった資材高騰対策にも重点を置く。資材単価の上昇で事業量が目減りする懸念が背景にある。進行中の資材高騰の動向を注視しながら、事業量の確保に必要な経費の予算計上を検討していく方針だ。北陸新幹線敦賀駅~新大阪駅間の新規着工を見据え、整備新幹線の整備で追加的に要する経費も事項要求に盛り込んだ。
 公共事業関係費のうち一般公共事業費は6兆1874億円(前年度予算比19・2%増)、災害復旧費等は569億円(増減無し)。一般会計とは別枠の東日本大震災復興特別会計には401億円(5・7%増)を計上。財政投融資は2兆6153億円(56・8%増)となった。
 引き続き国民の安全・安心の確保に向けた施策に重点配分。「流域治水」やインフラ老朽化対策を推進する。防災・安全交付金は9677億円(18・7%増)を計上。その枠内で災害につながる盛り土の安全性把握調査や対策工事に当たる地方自治体を支援する。地域・拠点の連携を促す道路ネットワークの整備にも注力。社会資本整備総合交付金には6900億円(18・6%増)を充てる。



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北急南北線延伸/箕面船場阪大前駅の躯体工事ほぼ完了、23年度末に開業

 北大阪急行(北急)電鉄南北線を大阪府豊中市の千里中央駅から同箕面市萱野の新駅「箕面萱野駅」へ約2・5キロ延伸事業を進める箕面市と同社は25日、躯体工事の完成が近づく新駅「箕面船場阪大前駅」を報道関係者に公開し、2023年度末に延伸開業すると発表した。工事は16年度に着手し、5月末に阪大前駅~千里中央駅のシールドトンネルが貫通したことで高架橋やトンネルなどの土木工事が全区間でほぼ完成。阪大前駅は今後、内装工事や電気設備工事を進める。全体の工事は来秋以降の完成を目指す。
 公開された阪大前駅は地下構造。地下1階に改札機などを置く。地下2階はホームで、地上から約20メートルの深さにある。同駅と箕面萱野駅方向の開削トンネルも構築した市事業「北大阪急行線延伸に伴う特殊街路部整備工事(第1工区)」は、大林組・佐藤工業・ハンシン建設JVが施工。現在、内装工事などやエレベーター、エスカレーターなどの工事を進めている。
 シールドトンネル区間は北急事業の「北大阪急行線の延伸事業のうち土木工事」。阪大前駅から千里中央駅に向けて外径約7メートルのトンネル2本を約1・2キロ掘り進んだ。19年9月に南行き線(千里中央駅・梅田駅方面行き)のマシンを発進し、4月末に到達した。北行き線(箕面萱野駅行き)は19年10月に掘り始め、5月末に貫通した。熊谷組・フジタ・森組JVが施工。今後、千里中央駅に近い区間約200メートルで、軌道や電車に電力を供給する第三軌条の設置を本格化、本年度末の完了を目指す。
 延伸線は千里中央駅から国道423号(新御堂筋)を北伸。千里中央駅から、箕面船場駅と新箕面駅のほぼ中間地点までが地下構造で、それより北側区間は高架構造などで計画している。箕面萱野駅と付近の高架構造物は市事業「北大阪急行線延伸に伴う特殊街路部整備工事(第2工区)」で、大成建設・大日本土木・村本建設JVが施工している。
 25日現在で、全工事の進捗(しんちょく)率は7~8割。



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東北・北陸豪雨/JR東日本秋田支社が被害状況、奥羽本線は復旧工事に2カ月

 JR東日本秋田支社は、東北・北陸地方で発生した豪雨災害で甚大な被害を受けた在来各線の被害状況をまとめた。路盤流出などが発生し、運転を見合わせている奥羽本線(鷹ノ巣駅~大館駅間)は近く復旧工事に着手。運転再開までに約2カ月を要する見通しだ。五能線(岩館駅~鰺ケ沢駅間)など2路線は被害規模が大きく、復旧の見通しは立っていない。
 秋田支社が25日に被害状況を公表した。奥羽本線は土砂流入2カ所、盛り土・道床流出4カ所を含め計20カ所で被害が発生。路盤の流出規模は最大で幅約50メートル、高さ8メートル(土量約2500立方メートル)に上る。復旧工事の完了時期は10月末~11月を見込んでいるが、同支社は「早期の運転再開を目指す」とコメントしている。
 五能線の被害は土砂流入39カ所、盛り土・道床流出13カ所、橋梁変状4カ所などを合わせて約70カ所。花輪線(鹿角花輪駅~大館駅間)は54カ所。両線とも被害状況の把握に努め、早期復旧を目指している。



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大林組ら/データとアプリ横断連携で施工管理効率化、システムの有効性確認

 東京大学大学院工学系研究科と大林組は25日、新たな施工管理システムの有効性を確認したと発表した。施工管理業務に必要なデータとアプリケーションを横断的に連携できる「データ・システム連携基盤」を活用した施工管理システム。各業務に用いるさまざまなアプリのデータが連携できるよう、連携基盤がデータを検索・抽出・変換するようシステムを設計し実証を行った。新しいアプリの開発につながることを確認。施工管理で扱う各種データの相互利用が可能となり、施工管理業務を効率化する。
 新たな施工管理システムは▽データ取得層▽連携基盤層▽アプリケーション層-の三つで構成する。データ取得層で、BIM/CIMなどの「設計情報」や点群データなどの「環境情報」、人や建設機械の位置情報を示す「作業員・重機情報」を取得。クラウド上のデータ・システム連携基盤に集約し、各アプリで活用しやすいデータとして管理する。
 各アプリはデータ・システム連携基盤とAPI連携しているため、必要なデータを連携基盤層を通じて利用できる。従来のアプリ開発は利用するデータとアプリが結合しており、異なるデータを新たに活用するには、その都度アプリの改良が必要だった。連携基盤層を介することで、複数のアプリを一つのアプリとして利用できるようになる。
 実証では、設計情報や環境情報、作業員・重機の位置情報を取得し、データ・システム連携基盤でデータを連携。「BIM/CIMや点群の3D描写のデータ」と「人や建設機械の位置管理のデータ」を連携させ、「BIM/CIMを含む3D空間で人や建設機械の位置を描写・管理するアプリケーション」を作成できたという。
 両者は今後、実証で得た成果を基に、連携基盤層の機能の有効性を確認する。データ・システム連携基盤を広く公開し、実用化に向けた研究開発を行う。



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NTT都市開発/元新道小跡地活用計画(京都市東山区)新築工事着工、地鎮祭開く

 NTT都市開発が進めている「(仮称)元新道小学校跡地活用計画」(京都市東山区)の新築工事現場で24日、地鎮祭が行われた。事業や地元の関係者ら83人が出席し、街の記憶を継承し、新たなにぎわいを創出する建物の無事竣工を祈願した。設計・監理は大建設計、設計監修は隈研吾建築都市設計事務所、施工は熊谷組・古瀬組特定JVが担当。2025年春の竣工を目指す。
 工事では、元新道小跡地4014平方メートルに地下2階地上4階建て延べ1万5702平方メートルのホテル棟、隣接する旧宮川町歌舞練場敷地2257平方メートルに地下2階地上3階建て延べ5106平方メートルの新歌舞練場棟を新築。地域施設も整備する。工期は歌舞練場棟が25年1月、ホテル棟が同3月。
 施設は「街の記憶の継承」をコンセプトに、旧施設の面影を一部継承した外観を採用。新歌舞練場については高さ制限がある中、市の特例許可を取得し、旧歌舞練場の大屋根と同じ高さ・形状を継承するほか、部材の保存活用も行う。ホテルはカペラホテルズ・アンド・リゾーツが運営する。
 地鎮祭には、京都市の門川大作市長や新道自治連合会の福永敏三会長、宮川町お茶屋組合の大石美千代組合長ら地元関係者とNTT都市開発の辻上広志社長、大建設計の平岡省吉代表取締役会長、建築家の隈研吾氏、熊谷組の櫻野泰則社長、古瀬組の古瀬雅章社長ら関係者が出席した。
 神事では、平岡会長が鎌入れ、辻上社長と門川市長、福永会長が小学校跡地の鋤入れ、辻上社長と大石組合長が歌舞練場跡地の鋤入れ、櫻野社長と古瀬社長が鍬入れをそれぞれ行った。続いて、隈氏や関係者の代表らが玉串をささげて工事の安全を祈願した。
 式典後にあいさつした辻上社長は「関係者の思いが詰まった計画を担当する以上、必ず皆さんの期待に応え、喜ばれる施設を造り上げていく。これらの施設が共存・共鳴し、街に新しいにぎわいと回遊を生むことによって地域のさらなる発展に貢献していきたい」と抱負を述べた。
 門川市長は「日本で最初の地域制小学校の跡地をどう活用するかということで、地域の皆さんが英知を集め、安全・安心や花街文化の継承、にぎわい創出、地域の活動拠点という要望をいただいた。この施設があって本当によかったと感動してもらえるよう、共に努力していきたい」と語った。
 櫻野社長は「価値あるプロジェクトへの参画を大変誇りに思う。品質確保はもちろん、工期・安全に十分留意し、無事故無災害で完成させる。皆さんに満足してもらえる施設を提供すべく全力を挙げて取り組む。当社の歴史に残る仕事として成功させたい」と決意を述べた。
 古瀬社長は「人材育成のために地域の人々が資金を出し合って建てた番組小学校の跡地であり、われわれも地元企業として何とか地域の発展に貢献できないかという思いで取り組んでいる。安全第一で工事を進め、素晴らしいものができたと言ってもらえるよう頑張っていく」と話した。
 □延原克利工事所長(熊谷組)の話
 「あまり広くない二つの敷地でホテル、歌舞練場、地域施設の建設を同時に進めるだけでなく、工期の半分は地下に費やされる難しい工事。動線や工程をうまく調整し、スムーズに進めていきたい。若手の経験値を高めるなど将来につながる仕事にしたい」。



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2022年8月25日木曜日

国交省直轄工事/単品スライド急増見通し、21年度は近年最多23件適用

 国土交通省直轄工事で「単品スライド」条項の適用が増えている。港湾空港関係を除く地方整備局締結契約で2021年度は23件の工事に適用。▽全体▽単品▽インフレ-の3種類のスライド条項による現行の枠組みができた14年度以降、最多となった。単品スライドは物価変動分を工期末に精算変更する仕組み。22年度は適用工事が大幅に増加すると予測できる。これを見越し国交省は急激な資材高騰に対応できるよう運用ルールを6月に見直している。
 3種類で最も新しいインフレスライドの全国適用が14年に始まった。以降、単品スライドは年平均5件程度に適用していた=表参照。1年ほど前から顕在化してきた資材高騰の影響で、21年度末までに工期末を迎える工事で単品スライドの適用請求が増えたとみられる。
 全体スライドとインフレスライドは基本として請求日以降の残工事の資材・労務単価を見直す仕組み。一方、単品スライドは出来高払い部分を除いた工期内すべてを対象に、物価変動を考慮し工期末に請負代金額の変更契約を行う。物価変動の影響を既に受けた工事であっても工期末を迎えた時点で適用となる。ただしインフレスライドなどとの併用も可能だ。
 物価高騰に拍車をかける要因となったロシアのウクライナ侵攻が始まったのは年度末間近の2月下旬。単品スライドを適用できた工事は21年度の段階では限定的だったと予測でき、22年度には急増するとの見方ができそうだ。
 こうした事態を見越した対応として国交省は単品スライドの運用ルールを改定。実際の購入価格を用いてスライド額を算定できる新たな規定を加えた。スライド額の算定で物価資料を参照する場合もあるが、急激な物価変動で物価資料に上昇額が反映されるのにタイムラグが生じるケースがあるためだ。
 新たな運用ルールを踏まえたマニュアルも先月公表。発注者が購入金額の妥当性を確認する際の考え方を明示した。



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大林組/豪州で超高層ビル受注、木造ハイブリッド構造で世界最高高さに

 大林組はオーストラリアの大手不動産会社Dexusがシドニー市で計画する木造ハイブリッド構造で世界最高高さ182メートルの超高層ビルの建設工事を受注した。RC・S・W造39階建て延べ約7万5000平方メートルの規模。7階から上階以上が鉄骨とCLT(直交集成板)を採用した木造ハイブリッド構造となる。同国の建設会社Built(シドニー市)とのJVで建設する。受注金額は非公表。2026年の完成を目指す。
 工事名称は「アトラシアン・セントラル新築工事」。シドニー市のイノベーションと技術の街区(Tech Central)の象徴となる超高層の複合施設を建設する。高層部にオフィス、低層部に宿泊・店舗施設を配置する。設計者はSHoP Architects(米国)、BVN Architecture(豪州)ほか。敷地面積は約3500平方メートル。工期は8月~26年。
 設計段階では、米グリーンビルディング協議会の環境認証制度「LEED」や、健康建築性能評価制度「WELL」などグリーンビルディング認証で最高レベルの認証取得を目指す。建設中に排出される二酸化炭素(CO2)は通常の50%以下に抑制することを目標にしている。
 完成後、建物の全てのエネルギーを再生可能エネルギーで賄う予定だ。



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首都高速会社/老朽橋梁点検にドローンなど最新技術活用、目視範囲が大幅拡大

 首都高速道路会社が、最新技術を活用して老朽化が進む道路橋梁の点検・診断業務を効率化する取り組みを加速する。カメラを搭載したドローンや自走式の点検ロボットを含む複数の点検ツールを使い、橋桁を構成する部材の接合部などを撮影。人力での確認が困難だった箇所の目視範囲を大幅に広げる。東京都内の大規模橋梁で試行導入し今後、本格展開を目指す。
 老朽化が進む橋梁の維持管理や効率的な修繕を狙い、首都高速会社はドローンやロボット、全方位カメラなどを開発。特に床版の下面、橋桁の縦方向は点検用足場からの目視確認が困難となっている。最新の点検ツールを使って足場から損傷レベルを正確に把握できる態勢を整え、きめ細かい補修につなげる。
 試行導入したのは、2024度以降に大規模修繕を計画する湾岸線の荒川湾岸橋(東京都江東区~江戸川区、1975年竣工、延長840メートル)。約1700の部材が複雑に絡み合うトラス形式の同橋梁は、足場から目視点検するには限界があった。人力作業をロボットに置き換えると目視範囲(捕捉率)が床版面下は約27%から約81%に向上。縦桁も約29%から約75%にアップする。
 ロボットでも確認が困難な箇所はドローンで補完する。足場からつり下げて使用する昇降式全方位カメラで足場直下周辺を可視化し、捕捉率を一層高める。点群データから損傷状態を3Dモデルで表現する「3Dハンディースキャナー」も使用し、維持管理の高度化を進める。
 最新技術で得た情報は維持管理システム「i-DREAMs(アイ・ドリームス)」に集約する。資料収集~現場確認の時間が大幅に短縮され、生産性が約20倍アップするという。現在、首都高速会社はロボットとドローンは各1台、全方位カメラは10台を保有している。
 24日には導入状況を報道機関向けに公開した。増井隆保全・交通部点検・補修推進課長は「成果を踏まえて今後展開する」とコメントしている。



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鹿島/グラウンドアンカーに光ファイバー張力計測システム適用、健全性見える化

 鹿島は光ファイバーを用いた張力計測システムを、神奈川県山北町で施工中の「東名高速道路上石山地区切土のり面補強工事」(発注者・中日本高速道路会社)のグラウンドアンカー更新工事に適用した。従来方法と比べ簡便にグラウンドアンカー全長の張力分布を高精度に把握できるのが特徴。グラウンドアンカーの健全性を見える化し、切り土のり面の変状を随時検知。高速道路のり面の安全性向上や、維持管理の高度化・効率化に貢献する。
 同システムを高速道路の切り土のり面に本格適用するのは初めて。
 同工事では計測管理対象となるグラウンドアンカー21本に同システムと荷重計を併用する計画。荷重計が故障しても、グラウンドアンカー頭部をジャッキで引っ張る「リフトオフ試験」が不要になる。張力の変動要因となる地山内部の変状を面的に精度よく把握できる。
 同システムに用いる光ファイバーは、通信分野でも使う汎用性の高い安価な製品。システムの核となる光ファイバー計測技術は、遠く離れた地点を計測できるのがポイント。広範囲に存在するグラウンドアンカーで補強した切り土のり面を、遠隔で一元的にモニタリングと管理ができる。
 今後、同工事で得た成果と実績を切り土のり面補強工事に広く展開する。インフラ維持管理の高度化に生かし、光ファイバー計測技術の開発を進める。将来的にはグラウンドアンカー以外に、橋梁やトンネルなどにも光ファイバーを設置し同一の計測システムに統合する考え。道路構造物を構成するインフラの状況を光ファイバーで網羅的に把握できるようにする。



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山形県、福島県/国道121号大峠道路応急復旧、国に権限代行を緊急要望

 3日からの記録的な大雨でのり面崩落が発生し、通行止めになっている国道121号大峠道路の応急復旧で、道路を管理する山形、福島両県が権限代行制度の適用を国に緊急要望した。豪雨で川が増水し、勢いを増した水流で崖の上にある道路の下部のり面が崩落し通行できなくなった。現場が山間部の谷あいで県境という地理的な条件に加え、施工計画の立案や施工に高度な技術力が必要なため、国の支援を決断した。
 山形県の吉村美栄子知事と内堀雅雄福島県知事が24日、斎藤鉄夫国土交通相とウェブで会談し権限代行での応急復旧を要望した。両知事は大峠道路が物流や観光に加え、通勤・通学にも利用され「欠くことのできない重要な道路になっている」と指摘。崩落したのり面に破砕帯が存在し復旧には高度な技術が必要で、「早期の通行確保が容易でない状況にある」ことから国交省の支援を強く求めた。
 大峠道路は福島県喜多方市と山形県米沢市を結ぶ全長25・2キロの路線(幅員6・5メートル、2車線)。3日からの大雨で最上川支流の鬼面川が増水し、米沢市入田沢の八谷トンネル北側で道路下部ののり面(高さ約25メートル)が崩れ落ちた。崩落箇所は川の流れがカーブしている場所で水流の影響を受けやすい。谷から25メートル余りの崖上に道路があり、川と反対側は樹木が生い茂る斜面になっている。
 被害箇所は6月下旬の大雨でものり面崩落が発生。8月の豪雨で被害範囲が拡大した。被害は甚大で、復旧にはかなりの時間が必要と見ている。大峠道路は米沢市入田沢(道の駅田沢)~福島県境間の延長9・5キロが4日午後3時から全面通行止めになっている。山形県置賜総合支庁によると、被害箇所の状況を把握するため、県がボーリング調査を実施しているという。
 政府は、今月上旬から東北や北陸などで相次いだ豪雨の被害を「激甚災害」に指定し、復旧にかかる自治体の費用を支援する方針を固めている。



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2022年8月24日水曜日

公共事業予算、順調執行/補正で繰り越し増加も平準化進展で施工確保しやすく

 今月末を期限とする2023年度予算の概算要求を控え、政府の公共事業予算の行方に注目が集まっている。ここ数年の大型補正予算の影響で前年度からの繰越額が増加傾向にあり、事業執行の停滞を懸念する声が一部で出ている。ただ実際の執行率は過去5年で大きな変動はない。国土交通省は適正な工期の確保や施工時期の平準化に配慮しながら「順調に執行している」と強調する。
 政府全体の公共事業の予算現額(前年度からの繰越額と当初予算額などの合計)のうち、20年度の繰越額は4兆6937億円(予算現額の35・2%)と過去最高を更新。21年度も4兆円を超えたと一部報道で指摘された。
 「予算が過大で消化できていないのでは」との臆測を呼んでいるが、この見方には注意が必要だ。国交省によると、繰越額の多寡は各年度後半に成立した補正予算の規模に左右される。20年度は「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の初年度分を盛った第3次補正予算が、年度末を目前とした1月下旬に成立した。例年以上の予算規模が繰越額に影響したとみられる。
 それでは繰り越し分が多く含まれる21年度の予算執行は順調だったのか。国交省分に限ったデータ=表参照=を見ると、予算現額の執行率は契約ベースで91・0%。16年度以降5年間の平均(91・5%)とほぼ同じだった。
 各年度の予算のうち最終的に使用されず国庫に返納された「不用額」もごくわずかだ。政府全体の公共事業予算で20年度の不用額の割合は1・1%(国交省分0・8%)。例年も1%前後で推移している。そもそも不用額が生じた主な要因は各事業の効率執行や経費節減という。過大な予算措置のため執行できなかったわけではない。
 事業執行を引き受ける側の建設業界からも「施工余力は十分」との声が挙がっている。国交省の建設労働需給調査によると、東日本大震災からの復興需要を背景に技能者不足がピークを迎えた13年度以降、不足率は徐々に小さくなっている。現場でICT導入が進展し施工効率も向上。施工時期の平準化など発注者主導の取り組みで施工力を確保しやすい環境も整えられてきている。
 国交省は新・担い手3法を踏まえ、適正な工期設定や施工時期の平準化を推進している。繰り越しとは異なる方法として国庫債務負担行為を積極的に活用。22年度予算では新たな枠組みの「事業加速円滑化国債」を盛り込み、2カ年国債やゼロ国債のいわゆる「平準化国債」が過去最大の規模となった。こうした方向性を23年度以降も引き継ぎ、計画的で円滑な事業執行に努めていく方針だ。



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政府/国土強靱化地域計画の内容充実後押し、交付・補助金の要件化対象追加を検討

 政府は地方自治体が策定する「国土強靱化地域計画」の内容充実を後押しする。2023年度以降の交付金や補助金の採択や予算配分で、地域計画に事業箇所など具体的な内容が位置付けられた事業に対する「重点化」を加速する。地域の強靱化には自治体、住民、企業など関係者の連携が欠かせない。強靱化への理解や主体的な自助・共助の取り組みを促すため、より実効的な地域計画を集中的に支援する。地域計画の策定を交付要件とする要件化の対象追加も検討する方向だ。
 今月決定した政府の国土強靱化政策の推進方針「国土強靱化の取組の着実な推進について」で重点化や要件化に関する方向性を示した。
 政府はこれまでも財政面で自治体が地域計画を充実させるのをサポートしてきた。補助金や交付金での重点化対象は21年度予算で6件だったが、22年度に3倍の18件へと大幅に増やした。18件には老朽化対策や事前防災・減災対策を支援する国土交通省所管の「防災・安全交付金」や、地域活性化につながる道路整備などを対象とする内閣府の「地方創生整備推進交付金」などが含まれている。
 これまでに重点化支援を活用した強靱化関係事業の実施事例もまとめた。事業が地域計画にどのように記載されたか示すとともに、活用した補助金と交付金のメニューと交付金額、事業概要と効果を整理した。
 政府は23年度以降も、重点化対象を増やしていく方針。関係府省庁の同年度予算での交付金や補助金などの重点化の状況は、内閣官房が同7月ごろにまとめ公表する予定だ。
 地域計画に基づき、地域だけでなく国全体の強靱化への貢献を目指す意欲的な自治体もある。新潟市の地域計画では市域の強靱化を目指す「足元の安心安全の確保」と、首都直下地震や南海トラフ地震など太平洋側の大規模災害に備えるための「救援・代替機能の強化」を柱に据えている。中原八一新潟市長は3日に日刊建設工業新聞社の取材に応じ「東日本大震災が発生したときに、新潟市が日本海側で(被災した太平洋側の)代替機能を発揮した。そうしたことも踏まえ、いち早く地域計画を作らせてもらった」と語った。政府は同市のように主体的に強靱化施策に取り組む自治体を引き続き支援していく。



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東北地域づくり協会/北上川上流域治水記録誌を発刊、河川整備の歴史を次代に

 東北地域づくり協会(渥美雅裕理事長)は約100年に及ぶ歴史がある北上川上流域(岩手県)の治水事業をまとめた記録誌『五大ダムと一関遊水地~北上川治水・百年の軌跡~』=写真は表紙=を発刊した。1級河川・北上川水系に国直轄で建設された五大ダム(田瀬、石淵〈現胆沢〉、湯田、四十四田、御所)などの整備と流域社会の歴史的背景などを後世に伝え、担い手の確保につなげる狙いがある。約1200部を用意し、岩手県内の中学校や高校、大学、図書館、自治体などに寄贈する。
 北上川上流で本格的な河川改修が始まってから80年が経過し、国内最大級規模の一関遊水地(岩手県一関市、平泉町)の完成が迫っている。これを機に北上川河川事業を俯瞰(ふかん)する記録誌を作成し、ダムの役割・整備効果や河川管理の法制度の移り変わり、次代の川づくりに向けた課題などを確認する。
 編さんに携わった平山健一岩手大学名誉教授(元学長)は発刊に当たり「最近の異常気象による自然災害に対する流域社会の脆弱(ぜいじゃく)さが指摘されている。命を守る防災意識の形成や災害に強い街づくりの参考として、若い皆さんにぜひ読んでもらいたい」とのコメントを寄せた。北上川上流域の治水事業については「戦前・戦後の『もの』のない時期に生み出されたダムの建設技術や補償制度の充実は五大ダムが育てた先駆的な成果だ」と高く評価した。
 記録誌は土木事業のありのままを伝えるため物語風に分かりやすくまとめ、当時の歴史的背景や生活状況なども紹介している。
 北上川上流部は日本の河川総合開発のベースになった物部長穂博士提唱の思想「河水統制」を受け継ぎ、河川改修計画を1941年に策定。「多目的ダム」と「水系一貫管理」を柱とする総合的な治水事業が始まった。
 五大ダムは81年の御所ダム完成によって一段落した。記録誌は▽治水▽発電▽灌漑(かんがい)用水▽上水道用水▽社会的効果-の五つで整備意義をまとめている。



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大林組ら/木造建築のCO2削減量など提示アプリ、S造と比較検証し素早く提案

 大林組はソフトウエア開発のGEL(東京都江東区、藤岡優子代表)と共同で、ハイブリッド木造建築物のデザインイメージや二酸化炭素(CO2)削減量などを検証するアプリ「WOODX(ウッドエックス)」を開発した。敷地の形状に合わせて簡易設計したハイブリッド木造と鉄骨造を比較検証できるのが特徴。木造建築を検討する顧客にその場でイメージを提示し、具体的な計画検討に向けた合意形成に役立てる。
 WOODXはタブレットで地図から敷地を指定し、外形や階数、木材の適応範囲、内外装のデザインを設定すると、ハイブリッド木造建築物の外観・内観を3Dビューや360度のパノラマ画像で表示できる。各部材の数量を自動計算し、推定した木材使用量からCO2発生量と固定量を算出。鉄骨造と比較したCO2削減率や概算コストのアップ率を把握できる。検討結果の保存とPDF出力が可能なため、複数のシミュレーション作成、比較も容易に行える。
 今後、WOODXを営業担当者のタブレットに標準ソフトとして導入する。顧客からの木造建築に対する要望にタイムリーに応え、木材利用の拡大を促していく。
 木造建築の市場を拡大していくには、建築計画の初期段階で顧客が木造建築を検討できる建築イメージや条件を提案しなければいけない。提案の作成や変更には多面的な検討が必要なため、多くの人員と時間がかかっていた。



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堺市/ART・BRTの実証実験に着手、総合調査設計が実施支援業務

 堺市は、市中心部の大小路線に自動走行技術を搭載したバスタイプの次世代都市交通システム(ART)を導入するとともに、美原区と市中心部の間にバス高速輸送システム(BRT)も取り入れる「堺・モビリティ・イノベーション(SMI)プロジェクト」の実証実験に着手する。「令和4年度SMIプロジェクトに係る実証実験実施支援業務」の委託先を決める一般競争入札を10日に行い、1250万円の総合調査設計(大阪市北区)に決定。大小路線で自動運転バスの走行実験や仮設停留所の設計・設置などを行い実現性を検証する。
 実証実験は大小路線に計画している「SMI都心ライン」と、美原区と市中心部間の「SMI美原ライン」について実施。
 都心ラインでは▽自動運転バスの調達・事前調整・運行を行うための支援▽仮設停留所の企画(設計)・製作・設置・撤去▽利用客が乗降時に直接歩道へ着地できるバスの停車状態「正着」の精度を現行シャトルバスと実験車両で検証▽阪堺電気軌道阪堺線と交差する大小路交差点周辺の歩道空間などの活用実験-などを計画している。
 仮設停留所は、歩道に切り込みが入ったバスベイ型の熊野小学校前停留所(東行き)に設ける。形状はバリアフリーを考慮し、幅員約2メートル、スロープ(勾配5%)を確保。長さは15~20メートル程度を見込む。正着の検証は、停留部分を車道側に張り出すテラス型停留所とバスベイ型停留所で行う。
 大小路交差点周辺の歩道空間などの活用実験では、周辺民間用地も含めた場所にベンチやテーブルを設け、滞留・交流空間をつくる。
 美原ラインでは直通急行バスの運行実験を実施。定時性・速達性の確認、国道309号を想定した交通量調査などを行う。
 業務期間は2023年3月31日まで。
 本年度の実験結果を踏まえ、23年度以降に仮設専用レーンでの実験なども検討する見通し。



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2022年8月23日火曜日

国交省ら/8月26日に日・アフリカ官民インフラ会議、優れたO&M技術PR

 国土交通省とチュニジア政府は26日、同国の首都チュニスで第3回「日・アフリカ官民インフラ会議」を開催する。日本政府主催でアフリカ向けの開発支援策を話し合う第8回「アフリカ開発会議」(TICAD8)の関連イベント。国交省が提唱し2016年9月に設立した民間団体「アフリカ・インフラ協議会」(JAIDA)の会員企業も参加し、国内外の施工実績や優れたO&M(運営・維持管理)技術などを売り込む。
 日・アフリカ官民インフラ会議は16年8月のTICAD6(ケニア・ナイロビ)、19年8月のTICAD7(横浜市)に続いて3回目。今回はチュニジア設備・住宅省のサラ・ザファラニ大臣や、国交省の天野雄介官房海外プロジェクト審議官らが出席する予定。JAIDAの宮本洋一会長(清水建設代表取締役会長)が出席して開会のあいさつを述べる。
 国交省の担当者が「アフリカにおける質の高いインフラ投資」をテーマに講演し日本の支援策を紹介する。アフリカ各国からはチュニジア政府の設備・住宅、運輸、商務・輸出発展の3省とリビア政府が、インフラ整備に関する現地のニーズや今後のプロジェクト構想などを発表。チュニジアやリビア以外にもアフリカの2~3カ国からインフラ分野のニーズを聴取する。
 国交省は日本企業の強みを「インフラを施工した後のO&Mに至る段階まで、高い技術力でフォローしていけるのが日本企業の強み」(総合政策局国際政策課)と分析。「ライフ・サイクル・コスト(LCC)で比較したときの優位性では競合国に負けない。アフリカ各国に理解を深めていただく機会にしたい」(同)としている。
 国交省によるとJAIDAは3月25日時点で、国内のゼネコンや建設コンサルタントなど、インフラ関連を中心とする188の企業や団体などが加盟している。



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熊谷組ら3社/5G活用し建機の無人化へ、遠隔操作・自動運転を実証

 熊谷組と京セラ、NECの3社が、ローカル5G(L5G)を活用した建設機械の無人化施工を目指している。熊谷組技術研究所(茨城県つくば市)の屋外実験ヤードにL5Gのシステムを構築し、不整地運搬車の遠隔操作と自動運転の実証実験を6月に実施。高いデータ処理能力と低遅延の実現性を確認した。現場での早期実用化に向け、引き続き検証を重ねていく。
 実証実験では技術研究所の本館と土質実験棟にNEC製のL5G基地局を設置し、アンテナを屋外実験ヤードに向けて調整。基地局ユニットから土質実験棟内のサーバーを経由し、遠隔操作室の通信機器まで回線接続を行った。
 建機には受信電力情報がリアルタイムに取得できる京セラのL5G対応デバイスを搭載する。車載カメラの映像はIP(インターネットプロトコル)ネットワークの上り回線を通じてパケット伝送することで、遠隔操作室のモニターに表示できる。
 3社は通信速度や遅延時間測定に関する屋外ヤード内の基礎実験で成果を得たことから、本格導入に向けた取り組みを加速させる。今後は複数の建機にL5G対応デバイスを接続して遠隔操作時の操作性などを調査し、建設現場で実験試験運用を行う予定だ。



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JSC/新秩父宮ラグビー場整備・運営(東京都新宿区)、鹿島ら4社グループに

 日本スポーツ振興センター(JSC)は22日、東京・神宮外苑で実施する「新秩父宮ラグビー場(仮称)整備・運営等事業」の一般競争入札(WTO対象)を開札し、落札者を鹿島を代表者とする三井不動産、東京建物、東京ドームの4社グループ「Scrum for 新秩父宮」に決めた。協力企業には松田平田設計ら10社が決定した。落札額(税抜き)は81億8181万8182円。入札には3グループが参加した。=4面に詳しく
 所在地は明治神宮第二球場の解体跡地と新宿区道の一部(東京都新宿区霞ケ丘町3の2)。スポーツ博物館を含む新ラグビー場建設をI期、近接する文化交流施設建設などをII期に分ける。新ラグビー場は柱RC、梁S造地下1階地上7階建て。最高高さは約46・15メートル。文化交流施設などと合わせた総延べ床面積は7万0349平方メートルとなる。
 供用開始時期はI期が2027年12月末で、II期が34年5月末の予定。運営・維持管理期間はI期の運営開始日から30年。



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大空衛/配管技能コンテスト、江口氏(ツカサ)と龍野さん(東住吉総合高)が優勝

 大阪空気調和衛生工業協会(大空衛、池田隆之会長)は20日、第12回配管技能コンテストを大阪府東大阪市の府立東大阪高等職業技術専門校で開いた。コロナ禍の影響で3年ぶりの開催となった。「一般の部」で江口昌弥氏(ツカサ、大阪市都島区)が優勝。「学生の部」では龍野美玖さん(東住吉総合高校3年)が1位を獲得した。
 現場で活躍する配管工と、高校で配管技術を学ぶ生徒の技能向上を目的にコンテストを企画。今回は1級配管技能士ら配管工17人と、北大阪高等職業技術専門校と大阪工業技術専門学校、大阪府立の布施工科高校、東住吉総合高校、滋賀県立彦根工業高校の生徒17人が参加し、配管技術を競った。参加者は課題の給水配管図に基づき、規定時間内に作品を製作。参加高の教師らによる審査委員らが水圧試験や寸法測定、出来栄え判定で入賞者を選んだ。
 開会式で福原保豊副会長が「熟練技能者の育成と後継者育成を目的に、コンテストを始めた。現役配管工と学生が一堂に会して技を競うコンテストは全国でも当協会だけが実施している。11月に愛知県で第60回技能五輪全国大会が開かれる。布施工科高校から2人の出場が決定した。高校生の皆さんには技能五輪出場に挑戦してほしい。持つ力を十分に発揮し、素晴らしい作品を作ってください」とあいさつ。
 表彰式では小池清隆審査委員長が一般の部について「上位は僅差となり順位をつけるのが難しかった。素晴らしい作品ばかり。学生がプロの技術を間近で見て、迫力を感じられたと思う」、高校の部は「総合的に出来栄えと寸法、作業時間で減点がなく、水漏れもなかった。皆さんの技術は素晴らしかった」と講評。
 一般の部では協会理事の江木毅氏と赤松孝宏氏が大阪府職業能力開発協会会長賞(優勝)など、高校の部では大阪府商工労働部雇用推進室人材育成課の今田久美課長補佐と協会理事の後藤逸文氏が大阪府知事賞(優勝)などの入賞者に賞状とトロフィーを手渡し、参加者の健闘をたたえた。
 優勝者以外の入賞者は次の通り(敬称略)。
 【一般】準優勝=加藤洋(大谷設備)▽3位=松尾浩二(KOSEI)▽4位=杉浦巧馬(藤井設備)▽5位=前田大輝(ツカサ)
 【学生】準優勝=中田結斗(布施工科高校)▽3位=有村瑠記(同)▽4位=吉田陸人(彦根工業高校)▽5位=田渕大揮(大阪工業技術専門学校)。



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茨城県大子町/純木造の新庁舎完成、木造化のトップランナーに

 茨城県大子町が純木造建築として整備してきた新庁舎が完成した。「木造化のトップランナー」(高梨哲彦町長)を目指し、すべて茨城県産で約900m3の木材を使用した。このうちの約6割が大子町産。林や森をイメージした行政棟をはじめ、3棟延べ約5000m2に計613本の木の柱がある。各棟とも面積と構造材の燃え代を考慮した準耐火建築物となっており、震度7クラスへの耐震性も確保。災害時は緊急対応の拠点になる。設計・監理を遠藤克彦建築研究所、構造設計を佐藤淳構造設計事務所、施工は株木建設が担当した。=5面に詳しく



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2022年8月22日月曜日

国交省/経審改正公布23年1月施行、CCUS現場導入は審査期間に経過措置

 国土交通省は担い手の育成・確保や災害対応力の強化、環境への配慮に取り組む企業を適正に評価する観点で経営事項審査(経審)を改正した。建設業法施行規則の改正省令や経審の項目・基準の改正告示を15日付で公布。一部を除き2023年1月1日に施行する。新たな評価項目となる建設キャリアアップシステム(CCUS)の現場導入状況は審査期間に経過措置が設けられ、公布日以降に開始する事業年度からの取り組みを評価対象とする。
 担い手の育成・確保を目的にCCUSを全現場で導入する企業は15点、全公共工事で導入する企業は10点を付与する。現場導入にはカードリーダー設置など就業履歴蓄積の環境整備が必要となるため、過度な負担を考慮し「軽微な工事」や「災害応急工事」は除外する。経過措置の運用で、例えば3月決算の企業は23年4月以降に現場導入すれば加点対象になる。
 ワーク・ライフ・バランス(WLB)関連の認定取得企業も担い手関連で新たに評価。▽えるぼし認定▽くるみん認定▽ユースエール認定-の3種類のレベル別に2~5点を与える。災害対応力の強化につながるとして保有状況を評価する建設機械の種類を拡充。災害復旧時の稼働が多い締め固め用機械と解体用機械、高所作業車を追加し、ダンプは積載量を問わず加点する。環境配慮の加点対象となる認証制度に「エコアクション21」を追加する。
 いずれも認定取得状況などを証明する書類の提出が必要。CCUSの現場導入状況は申請時に誓約書を提出してもらい、許可行政庁が抽出調査で確認する。
 今回の施行規則の改正では、建設業許可・経審の電子申請システムの運用が23年1月に開始されることを踏まえ、電子申請時に書類の省略を可能とする規定を設けた。提出を省略できる書類は別途告示で定める予定。



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土木学会/9月12~16日に京都市で全国大会、国際人材育成へ提言発信

 土木学会(上田多門会長)は3年ぶりに対面形式で開く2022年度全国大会のプログラムを決定した。日程は9月12~16日の5日間、開催地は京都市。大会テーマは「『文明化された社会』をこえて-土木學のめざすもの」。同14日夕に行う上田会長の基調講演では、世界で通用する多様な技術者や研究者を育成していく観点からメッセージを発信。海外が受け入れるような日本発の魅力的な土木プロジェクトの創成も提唱する予定だ。
 大会実行委員長を務める三村衛京都大学大学院工学研究科教授が大会特設サイト(https://zenkokutaikai.jsce.or.jp/2022/)を通じ報告。気候変動や人口の増加・減少、コロナ禍、技術革新といった世界共通の課題や潮流を挙げ「世界規模の視点で取り組まなければならない課題。『土木學』の発展と社会への貢献が期待されている」とのメッセージを寄せた。
 会場は京都市左京区にある京都国際会館と京都大学吉田南キャンパス。12~13日の研究討論会はオンラインで配信し、15~16日の年次学術講演会は京都大学吉田南キャンパスで開く。
 上田会長の基調講演は14日午後5時15分から京都国際会館で「グローバルな課題・視点と土木技術・技術者」をテーマに行う。これから国際人材として活躍するために何が必要になるのか、国内外のあらゆる技術者や研究者に向けメッセージを発信する。



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ペイトナー/建設業でのファクタリング展開強化、年内に請求書サービスも

 オンラインによるファクタリングサービスを手掛けるペイトナー(東京都港区、阪井優社長)が、建設業への展開を強化している。取引先に発行した請求書データをウェブからアップロードすると、審査を経て同社が売掛債権を購入。手数料を差し引いた金額をユーザーに入金する仕組み。一時的に資金繰りを改善したい一人親方などに貢献できるとみる。請求書業務を効率化するサービスも、年内をめどに開始の予定だ。
 「ペイトナーファクタリング」は、取引先に送った入金前の請求書を買い取るサービス。手数料は10%で、最短10分で支払うという。取引先からの入金後、ユーザーから請求書の全額分を同社に振り込んでもらう。手続きはすべてオンラインで完結する。初回利用時には、事業者情報の登録や身分確認書類のアップロードが必要となる。独自のアルゴリズムで与信管理している。同社と取引先のやりとりは無く、利用を知られることはない。
 2019年2月にサービスを開始し、利用数は6月までで3万件を超えている。個人事業主が約90%を占めている。業種別では「建築・不動産」(約30%)が最多となっている。材料の仕入れや立て替え、下請会社への報酬支払いなどに利用されている。事業の拡大に合わせてキャッシュフローが厳しくなるケースなどに一時的に利用するケースが多いという。阪井社長は「借り入れとなると審査が厳しいため、シンプルさや手軽さで選ばれている。一人親方の方にアプローチしたい」と話す。
 8月からは法人カード事業を始めた。ペイトナーファクタリングの利用手数料を8%に割り引く特典が付与される。
 請求書の管理や振り込みを自動化するサービス「ペイトナー請求書」も年内開始を目指す。振り込み業務を効率化に貢献する。電子帳簿保存法にも対応できる。



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三菱地所ら/丸ビルと新丸ビルをリニューアル、23年春にかけて共用部改修など

 三菱地所と三菱地所プロパティマネジメントは、東京都千代田区にある「丸ビル」と「新丸ビル」の開業20周年、15周年を記念し、両ビルをリニューアルする。開業日の9月6日から来春にかけて、新たな店舗の開業や共用部の改修工事などを実施。記念イベントも開催し、丸の内エリアに新たなにぎわいを生み出す。
 丸ビルでは、9月6日にカフェ「THE FRONT ROOM」を1階に開業する。4階ではラウンジを併設した複合型書店「TSUTAYA BOOKSTORE MARUNOUCHI」を12月にオープンする。地下1階のフードゾーン「マルチカ」も全面改修し、来春にリニューアルオープンする。共用部やトイレの改修なども計画している。
 新丸ビルは、今秋から飲食店や化粧品店などが新たにオープンする。7階の飲食店ゾーン「丸の内ハウス」は、コロナ禍で需要が高まったテラス席を全面改修し、来春に全面開業。仲通り沿いにもテラス席を新設し、利用者に開放する。



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神奈川県ら/広域物資輸送拠点開設訓練を実施、横浜市金沢区の物流施設で

 神奈川県と川崎市、ESR(東京都港区、スチュアート・ギブソン代表取締役)らは、横浜市金沢区のマルチテナント型物流施設「ESR横浜幸浦ディストリビューションセンター(DC)1」で広域物資輸送拠点の開設訓練を17日に実施した。県とESRが結ぶ災害時の協力協定に基づく訓練。県が実際に協力予定の施設を使って訓練を行うのは初となる。
 訓練は大規模災害発生時に、国が被災都道府県の要請を待たずに物資の緊急輸送などを開始するプッシュ型支援を想定。県が広域物資輸送拠点を開設し、支援物資の受け入れ・仕分けを行うとともに、川崎市が設置する地域内輸送拠点に物資を輸送するシミュレーションを行った。
 今回は飲料水・食料・毛布・おむつ・粉ミルク5品目計60箱の支援物資を県の災害救助用備蓄物資保管倉庫から4トントラックでDCに搬送。受け入れ・仕分け後に川崎市中央卸売北部市場に輸送し、川崎市が物資到着を確認した。
 県の担当者は「開設に必要な人員や時間などが分かり、有意義な訓練だった」と評価した。ESRの新田国昭ヘッドプロパティーマネジメントは「災害発生時に迅速に対応できるよう運営・管理体制を構築している。今後も全面的に協力する」とコメントした。
 幸浦DCの所在地は幸浦1の1の8。建物はプレキャスト・プレストレストコンクリート(PCaPC)造4階建て延べ19万5270平方メートル。同社初の免震構造を採用した施設で、設計・施工は塩浜工業が担当した。



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2022年8月19日金曜日

一部資材で価格上昇落ち着く、セメントは過去最高更新/経済調査会・物価調査会調べ

 値上げ一辺倒だった建設資材の価格動向に変化の兆しが出てきた。経済調査会(森北佳昭理事長)の調査結果(10日時点、全国平均)によると、世界経済・景気の減速懸念の影響を受け、外国産資源に頼る異形棒鋼やストレートアスファルト(ストアス)などの一部で価格が下がった。ただ国内の建設需要が堅調に推移している現状を踏まえ、今後は資材によって騰勢に差が表れそうだ。
 調査結果を見ると、過去最高値だった異形棒鋼(規格=SD295・D16〈2〉)が1トン当たり11万2556円となり、前月と比べ2888円安くなった。ストアス(針入度60~80ローリー)も過去最高値だった前月に比べ2800円安い同12万7240円となった。電線や鉄スクラップ、軽油なども価格が下がった。
 背景には欧米がインフレ対策として掲げる金融引き締めや中国の都市封鎖(ロックダウン)など、経済・景気の減速懸念があると見られる。石油や鉄など国際資源の需要が落ち込み、ロシアによるウクライナ侵攻直後の逼迫(ひっぱく)懸念は大きく後退。国際相場も下落基調に入っている。
 一方、セメント(普通ポルトランド〈バラ〉、1トン1万2289円)やコンクリート型枠用合板(無塗装品12×900×1800ミリ、1枚2136円)、配管用炭素鋼鋼管(白管ねじなしSGP25A〈2〉、1本2860円)は過去最高値を更新した。
 国内建設需要はコロナ禍から回復した民間部門がけん引する形で堅調に推移していく見通し。そのため資源や1次製品のサプライチェーン(供給網)の川下に位置する、生コンクリートや再生加熱アスファルト混合物などの資材騰勢が続いている。
 建設物価調査会(北橋建治理事長)が18日発表した7月の建設資材物価指数(全国平均)は134・1と過去最高値を更新した。ストアス価格は上昇したものの異形棒鋼など一部資材で減少傾向が見られた。
 今回の調査結果を踏まえ、経済調査会は依然として国内建設資材メーカーの値上げ姿勢が強いことなどを理由に「潮目が変わったとまでは言い切れない」(土木第一部)と指摘する。建設物価調査会も「下落に転じた資材が下落トレンドに入ったと断定するには時期尚早」(調査統括部)と分析している。



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名古屋生コン協組/10月出荷分から値上げ、1立米2000円の緊急対策費を追加

 名古屋生コンクリート協同組合(内田昌勝理事長)は18日に理事会を開き、10月1日以降の出荷分から生コンの販売価格を引き上げる方針を決めた。既契約分も含め全ての契約に1立方メートル当たり2000円の「緊急対策費」を追加する。セメント各社の値上げ方針を受け、これ以上は内部での負担はできないと判断した。軽量コンクリート(1種)は骨材の価格上昇に伴い、さらに1立方メートル当たり2900円を上乗せする。今後、取引先に理解を求めていく。
 名古屋地区の生コン販売価格は全国的に低く、厳しい採算状況が続いている。4月に1立方メートル当たり2000円の値上げを実施したが、セメント各社は10月からの大幅値上げを表明。骨材など原材料も値上がりし輸送費も高騰しているため、出荷ベースでの値上げに踏み切る。契約済みも含めた全ての物件に適用するとした。緊急対策費は10月出荷分から2023年3月末までとし、4月以降は改めて提示する。
 軽量コンクリートの値上げは、骨材供給企業が10月から1立方メートル当たり4000円の大幅な価格アップを提示しているための措置。1種は1立方メートル当たり2900円を全ての契約に上乗せするとし、その他の軽量コンクリートは別途、問い合わせを求めている。
 名古屋生コン協同組合の年間出荷量は約230万立方メートル。7月末時点で189万立方メートルの契約がある。



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フジテック/地震時のロープ揺れ直接監視、エレベーター休止時間を短縮

 フジテックは高層ビルや高層マンション向けに、エレベーターのロープの揺れを感知するシステムを開発した。レーザー光で対象物との距離を測る「測域センサー」により、精緻に揺れを判定できる。長周期地震動の発生時、安全面に支障がないと判定した場合は運行継続が可能となる。利用者の閉じ込めを防止する機能が発動した場合も、揺れが収まれば早期に運行を再開できるようになり、休止時間の短縮につながる。
 高さ120メートル以上の高層建物が対象。昇降路内の梁2カ所に測域センサーを設置して、ロープの振れ幅を直接監視する。個別問い合わせにより販売する。東京都内の高層マンション1件で導入済みという。昇降路の広さなど一定の条件を満たせば、既存施設にも取り付けられる。
 長周期地震動が起きた場合は、ロープやケーブルなどに振幅の大きな振れが生じて機器などが損傷する恐れがある。このため最寄り階でドアを開き、運行を一時休止して利用者の閉じ込めを防止する「長周期地震時管制運転」が取り入れられている。これまでは機械室に設置した感知器でロープの振れ量を推定していた。安全側に想定するため、振れ幅がそれほど大きくなくても停止する場合があった。



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京セラ/鹿児島国分工場に新工場棟延べ3・8万平米、施工は奥村組

 京セラは積層セラミックコンデンサーの需要増加に対応するため、鹿児島県霧島市の鹿児島国分工場内に新工場棟「第5-1-2工場」を建設すると発表した。規模はS造6階建て延べ3万7600平方メートル。奥村組の施工で9月に既存研究棟の解体工事、2023年2月に新築工事にそれぞれ着手し24年5月に操業する予定。総投資額は約150億円。設計は三信建築設計事務所(大阪市北区)が担当。
 新工場棟は積層セラミックコンデンサーの生産容量拡大や技術開発力の強化、将来を見据えた生産スペースの確保などを目的に計画。17日に霧島市と立地協定を締結した。
 建設地は同市国分山下町1の1。建築面積は7197平方メートル。生産計画では初年度は年間の売上高約100億円、次年度以降は約200億円を目指す。



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伊予銀行/本社ビル(松山市)建て替え2棟延べ4・3万平米、設計は竹中工務店

 伊予銀行は、松山市の本店本館・別館と南別館を解体し、新本社ビル2棟に建て替える。規模は両棟合わせて延べ約4万3000平方メートルを想定。2023年1月から南別館を解体し、同夏に新南館に着工、25年春の完成を予定する。同夏に本店本館・別館の解体に入り、26年夏の新本館着工、29年春の竣工を目指す。設計はいずれも竹中工務店が担当している。
 新本館の建設地は南堀端町1(敷地面積は3766平方メートル)。S造地下1階地上13階建て延べ約3万平方メートルで免震構造となる。新南館の建設地は三番町5の10の1(敷地面積は2073平方メートル)。S造10階建て延べ約1万3000平方メートルで制振構造とする。
 現在の本館は1952年、別館は68年の竣工と老朽化が進んでいる。通りを挟んで立地する南別館も含めて建て替えることで、銀行業務の拡大に伴う執務スペースを確保し、グループ一体となった業務運営体制を構築する。



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2022年8月18日木曜日

関東整備局/霞ケ浦導水を活用した試験通水開始、桜川の水質改善検証

 関東地方整備局霞ケ浦導水工事事務所らは茨城県や水戸市と協力し、建設中の霞ケ浦導水の一部を活用した試験通水を16日に開始した。県北部の那珂川から水戸市内を流れる桜川に最大毎秒3立方メートルの水を流し、桜川の水質改善につながるか検証する。併せて県が整備している千波湖導水施設の機能も確認する。16~28日と9月5~16日の2回にわたって通水する予定だ。
 国が建設中の霞ケ浦導水は那珂川から桜川を経由して霞ケ浦を結ぶ計画で、桜川の水質改善も整備目的の一つ。那珂機場から桜機場を経て水戸立坑までの約6・8キロを結ぶ水戸トンネルは2006年に完成済みで、この部分を使い試験通水を行う。これまでにも那珂川の魚類迷入防止対策の試験時に通水したことがある。
 千波湖は水戸市民に親しまれる水辺空間として活用されているが、流入水量が少なく水質悪化が問題となっている。このため県は桜川に取水堰を設け最大毎秒3立方メートルの水を千波湖に導く千波湖導水施設を整備中。試験通水に併せて導水施設にも試験的に水を流し機能を確認する。



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主要ゼネコン26社/22年4~6月期決算、手持ち工事進み19社増収

 ゼネコン各社が資材価格高騰や競争環境の激化などを受け利益確保に苦心している。主要26社の2022年4~6月期連結決算では、手持ち工事の順調な消化などで増収が目立った一方、本業のもうけを示す営業利益は黒字会社のうち13社が前年同期に比べ減少した。単体受注高はコロナ禍で低迷した民間投資の回復もあり、半数以上の企業が前年同期を上回った。
 10日に出そろった26社の4~6月期決算を見ると、連結売上高は19社が増加。昨年10月に発足したインフロニア・ホールディングス(HD)は前年同期の前田建設連結比で増加した。減収になった企業は前年同期に売上高が多かった反動減や繰り越し工事の減少などを要因に挙げた。
 営業利益の水準維持が難しい中、「前期に収益改善が進まない大型工事があった反動で利益率が好転した」(大成建設)や「売上高が伸びたことで増益となった」(清水建設)など11社が前年同期を上回った。減益となった企業では「新型コロナの自粛緩和で営業活動が活発になった」(中堅ゼネコン)など一般管理費の上昇を要因に挙げる。
 工事の採算性を示す単体の完成工事総利益(粗利益)率は公表している23社のうち、15社が前年同期を下回った。長谷工コーポレーションや戸田建設など10社は2桁台を確保した。
 単体受注高は15社が増加した。今後も防災・減災対策など公共投資は底堅く推移し、民間投資も回復基調にある中で「受注環境は一層厳しさが増す」(中堅ゼネコン)との声も多い。
 通期業績予想は「好採算工事の稼働や原価低減などで営業利益の回復を見込む」(熊谷組)など大半の企業が期初計画を据え置いた。「コスト高で顧客との価格交渉が難航している」(中堅ゼネコン)といった企業もあり、複数のゼネコンが「引き続き資材高騰の動向に注視していく」と警戒感を強める。いかにリスクを回避しつつ好採算工事を確保するかが業績を左右することになりそうだ。



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建設技術研究所/沿岸部の高波・越波予測システム、AI活用で36時間前に

 建設技術研究所は10日、AIを活用してリアルタイムに沿岸部の高潮による越波発生を予測する技術を開発したと発表した。高潮や越波による浸水発生箇所や発生時刻を予測できるAIで高潮・波浪予測モデルを構築。台風の接近に伴う越波や浸水がいつ、どこで発生するのかを36時間前から予測し、避難の判断を支援する情報提供サービスを開始した。
 予測技術のプロトタイプとして、駿河湾の予測システムを開発した。駿河海岸(静岡県焼津市~牧之原市)を対象に、AIによる潮位・波浪予測モデルで、瞬時に36時間先までの沿岸各地点の潮位と波浪を予測。沿岸部の越波の発生を推定できる。
 AIによる予測結果を海岸管理者が地方自治体に情報提供するため、ウェブを介してパソコンやスマートフォンに通知するサービスを提供する。これにより高潮や越波による浸水危険性を場所や時間に関係なく確認できる。自治体による地域住民への的確な避難の支援が可能となる。
 災害の頻発などを背景に、台風などに伴う高潮や高波による浸水リスクをいち早く予測し、避難行動などにつなげたいというニーズが高まっている。しかし気象庁の高潮警報では浸水が発生する場所や時間が分からなかった。



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盛岡市/いわて盛岡ボールパークに命名権導入、募集手続き開始

 岩手県と盛岡市が盛岡南公園内に整備している「いわて盛岡ボールパーク」にネーミングライツ(施設命名権)が導入される。市が公表した募集要項によると、契約希望金額は年額1000万円以上。期間は2023年4月~28年3月の5カ年を想定している。「ボールパーク」を使った愛称が条件で、企業名や商品名を含めた提案が可能だ。
 募集を9月14日まで交流推進部スポーツ推進課盛岡南公園野球場整備室で受け付ける。県と市の職員で構成する審査委員会で協議し優先交渉権者を選定。協議後速やかに契約する。
 「盛岡南公園野球場(仮称)整備事業に係る建設業務」は、BTO(建設・移管・運営)方式のPFIで収容2万人の野球場、屋内練習場などを建設・運営する。PFI事業者は清水建設らが出資する特定目的会社(SPC)の盛岡南ボールパーク。総事業費は約108億円、2023年3月末の完成を予定している。
 設計は環境デザイン研究所・清水建設・久慈設計JV。工事監理を環境デザイン研究所・久慈設計JVが担当し、清水建設・菱和建設JVが施工している。建設地は永井7の16の2。野球場など施設全体でS造総延べ2万0918平方メートルの規模になる。



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北陸整備局/関屋分水通水50周年式典開く、歴史と役割を次の世代に

 信濃川河口(新潟市西区)にある延長1・8キロ、幅270メートルの関屋分水路の通水開始から50年目の10日、北陸地方整備局は「関屋分水通水50周年記念セレモニー」を関屋分水資料館前の公園で開いた。
 式典には、中原八一新潟市長、星丈志新潟県新潟地域振興局長、内藤正彦北陸整備局長、分水路沿線の自治会長、地元小学生らが参加。50年前のこの日に実施された通水式の再現に臨んだ。中原市長、内藤局長らが分水路河口にある新潟大堰の水門を開くボタンを押し往時をしのんだ。
 50年前は、当時首相だった田中角栄氏の書いた「新潟大堰」の銘板除幕式、記念植樹の後、当時の北陸地方建設局長、新潟県知事、新潟市長らが、水門操作につながるボタンを押すと五つの水門のうち三門がゆっくりと開き始め、通水が始まったという。
 1972年8月10日の通水開始により、河口港の宿命だった土砂による埋積と水害が防がれ、大型船舶が入港可能な新潟西港の築港計画も進んだ。
 式典で中原市長は「新潟市民の憩いの場になっているゆるやかな信濃川堤防のやすらぎ堤は、関屋分水路と新潟大堰なしには整備できなかった。関屋分水路の歴史と役割を次の世代に教えて未来につなげていきたい」と話した。
 式典会場では、クイズラリーや地震体験車、降雨体験車の試乗会なども行われ、大勢の市民が訪れた。



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2022年8月10日水曜日

九州大など36機関/洋上風力発電で産学官コンソ設立、技術開発や人材育成推進

 九州大学など36機関は洋上風力発電に関する技術の研究開発や人材育成を推進する「洋上風力産学官連携コンソーシアム」を設立した。同大学が4月に設置した洋上風力研究教育センターを核に、組織の垣根を越え、オールジャパン体制で人材育成プログラムや関連技術の標準化、国内のサプライチェーン(供給網)の形成などに取り組む。同大学によると洋上風力発電分野の産学官によるコンソーシアムの設立は国内初。8日に福岡市内で設立総会とシンポジウムを開き、シンポジウムではパネリストから風車本体の国産化が不可欠とする意見が相次いだ=写真。
 コンソーシアムには発電事業者やメーカーのほか、佐賀大学などの教育機関、地方自治体では長崎県五島市、佐賀県唐津市、北九州市、福岡県、建設関連企業では西日本技術開発、大成建設、富士ピー・エス、大林組、西松建設などが参加する。
 活動内容は▽セミナーやシンポジウムの開催▽参加機関などが抱える個別課題の連携コーディネート▽産学官連携プロジェクトの企画・検討▽ビッグデータの蓄積・分析・利活用。
 産学官連携プロジェクトについては人材育成部会を設けるほか、産業創出、地域振興といった部会の設置を想定。人材育成では2023年度に「風車工学」「支持構造物・浮体設計」、24年度以降に「洋上風力入門」「サイト条件評価」「環境・経済評価」の各講座の開講を予定している。
 技術の研究開発では2~3年後に200キロワット級の中型レンズ風車やTLP(緊張係留式プラットフォーム)型洋上風況観測塔の実用化を目指す。
 九大洋上風力研究教育センターのセンター長とコンソーシアムの会長を務める同大学の福田晋理事・副学長は、大学独自の風力発電技術などの研究開発実績と水素など他分野の研究とのコラボレーションにより「洋上風力に新たなイノベーションを起こしていく」と表明。「コンソーシアムの活動を通じて政府が掲げる2050年のカーボンニュートラル社会の実現、洋上風力産業の主力産業化に貢献していきたい」と話した。
 シンポジウムの基調講演では海外の有識者が風力発電で浮体式洋上風力発電が研究の主流となっていることなどを紹介。パネルディスカッションでは海外の技術に依存せず、低コストで日本の風況に耐えられる国産の風車を早期に開発すべきだとの意見で一致した。



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東京23区内4~6月の大規模建築計画、件数と総延べ面積が過去5年で最高/本社集計

 東京23区内で2022年度第1四半期(4~6月)に公表された大規模建築計画(延べ床面積1万平方メートル以上)は、前年同期と比べて11件多い23件だった。延べ床面積の合計は248・2%増の120万3586平方メートルで、ともに過去5年間で最高水準となった。コロナ禍で働き方や生活様式が変わる中、板橋区や江戸川区といった都心エリア以外でも大規模な開発案件が増えている。
 「東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例」に基づき、4月4日~6月28日に都へ提出された標識設置届を日刊建設工業新聞社が集計した。建築計画が最終的に決定し、近隣説明や行政手続きに入ったプロジェクトが集計対象。公共機関の計画も入る。
 区別で見ると最多の件数は港区の4件。次いで板橋、江戸川の2区が各3件と続いた。台東、中央、中野の3区が各2件、足立、北、江東、品川、渋谷、千代田、文京の7区が各1件となった。大手デベロッパー関係者は「コロナ禍で働き方などのライフスタイルが多様化したことで、都心以外への選択肢の幅が増えている」と話す。
 用途別では住宅を含む計画は14件と半数以上を占めた。住宅需要が高まる中、「都心エリアの用地不足から都心以外の人気も高まり、分譲価格も上昇している。コロナ禍でホテル用地として取得した敷地を、住宅開発に変更した事例もあると聞く」(デベロッパー関係者)という。
 規模別に見ると、▽1万平方メートル台=11件(前年同期比6件増)▽2万平方メートル台=3件(1件減)▽3万平方メートル台=1件(1件増)▽5万平方メートル台=2件(1件増)▽7万平方メートル台=1件(増減なし)▽20万平方メートル以上=2件(2件増)。前年同期にはなかった大型の開発案件が目立った。
 最大規模はJR東日本が品川区で予定する「(仮称)広町地区開発計画」のA1地区。ホテルや住宅、オフィスが入る総延べ約25万平方メートル。最高高さ115メートルの複合施設を整備する。設計はJR東日本建築設計で、施工者は未定。12月に着工し、26年3月の完成を目指す。
 次いで規模が大きかったのは、中央区の豊海地区市街地再開発組合が計画するプロジェクト。住宅や商業施設、保育所などを設ける2棟総延べ約23万平方メートル、最高高さ189メートルの再開発ビルを計画している。基本設計は安井建築設計事務所、特定業務代行者は清水建設が務めている。23年1月に着工し、27年6月の完成を目指す。
 再開発プロジェクトをはじめ、保育所や学習塾の機能を設けた施設計画も目立った。デベロッパー関係者は「マンションの分譲価格が上昇していく中、立地条件以外の付加価値を高めていくことが物件購入の決め手になる」と強調する。働き方やライフスタイルが多様化し続ける中、23区内の開発を巡るデベロッパー各社の動きに注目したい。



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建設各社48%が22年度初任給引き上げ、若手獲得へ待遇向上/本社調べ

 日刊建設工業新聞社が建設関連95社に実施したアンケートで、48%が2022年度の初任給(大学卒、総合職)を引き上げたことが分かった。引き上げた企業のうち、3割弱は1万円以上の引き上げ幅だった。23年度の初任給は現時点で1割強が引き上げる予定。2年連続で引き上げる予定の企業は7社だった。人材獲得競争が激化する中、初任給を上げて優秀な若手の確保につなげる狙いだ。基本給を底上げするベースアップ(ベア)の実施に合わせ、初任給も引き上げたケースもある。=3面に回答企業一覧
 ゼネコン34社、道路舗装会社8社、設備工事会社25社、建築設計事務所13社、建設コンサルタント15社の計95社から回答を得た。期間は6月13日~8月2日。
 22年度の初任給を「引き上げた」と回答したのは46社(48%)。「引き上げていない」は47社(50%)、非公表が2社(2%)だった。引き上げ幅では、2万円が1社、1万円が12社で、5000円以上1万円未満が20社、5000円未満が13社だった。引き上げた理由は「採用の競争力強化とモチベーションアップを図る」(設備工事)や「魅力ある会社にしていく目的から一過性の賞与ではなく固定給での賃上げを実施」(ゼネコン)などが挙がった。ベアと連動して初任給を引き上げた企業も4社あった。政府が進める賃上げ政策が、新卒者の待遇向上にもつながっているようだ。
 23年度の対応は「未定」が68社(71%)を占め、「引き上げる予定」が12社(13%)、「引き上げない予定」が14社(15%)などとなっている。引き上げ幅は3000円から1万4500円まで幅があった。
 引き上げを見送った会社からは「同業他社と比較し遜色ない金額」(ゼネコン)、「既に20年と21年に引き上げを実施」(建築設計)といった声が上がった。先手を打って、近年に初任給を引き上げ済みのケースや、手当を手厚くすることで処遇の底上げを図っているケースも少なくない。
 ある建設コンサルタントは「同業大手や大手ゼネコンと比較して低いことから引き上げる予定」と回答。建設業界内で見劣りするような事態は避けたいとの思惑が透けて見える。「23年は引き上げない予定」とする建設コンサルタントも、「賃金動向を見極め、状況に応じ検討の可能性あり」と回答。就職戦線の状況次第で柔軟に対応する姿勢を見せる。



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清水建設/環境配慮型コンクリートを開発、バイオ炭を混入しCO2固定

 清水建設は、大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収した木材の炭化物「バイオ炭」をコンクリートに混入し、構造物に炭素を貯留する環境配慮型コンクリートを開発した。混和材には針葉樹や広葉樹の製材時に廃棄されるオガ粉の炭化物を使用。コンクリート内部にCO2を固定する。セメントの一部を高炉スラグで代替した低炭素セメントを併用することでカーボンネガティブを実現する。
 開発した「バイオ炭コンクリート」は粒状、粉状にしたバイオ炭をコンクリートに混ぜる。オガ粉を炭化したオガ炭は他のバイオ炭と比べて炭素を安定的かつ多量に固定でき、炭素含有率は約9割、100年後の炭素残存率も約9割に上る。混和材1キロ当たりのCO2固定量は約2・7キロ。コンクリート1立方メートル当たり60キロの混和材を添加することで約160キロのCO2を固定できる。
 セメント材に普通ポルトランドセメントを使用した場合のCO2排出削減率は67%。製造時にCO2排出を抑制する低炭素セメントを使うと最大127%の削減効果が得られ、カーボンネガティブを実現できる。
 強度は一般的な土木配合(1平方ミリ当たりの設計基準強度24ニュートン)で普通コンクリートと同等の性能を備える。現場でポンプ圧送に適応する流動性も確認済みで、コンクリート2次製品だけでなく現場のコンクリート施工にも広く対応できる。
 同社は土木現場で実証施工を行いながら施工性や耐久性を検証。本年度内に大規模コンクリート構造物への適用を目指す。国が運用する「J-クレジット制度」の認証取得などの取り組みも並行して進めていく。



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大阪府枚方市の光善寺駅西地区再開発組合/解体工事に着手、府が権利変換計画認可

 大阪府枚方市の光善寺駅西地区市街地再開発組合が計画している「光善寺駅西地区第一種市街地再開発事業」の権利変換計画が府から認可され、既存建物の解体が今月から始まった。商業棟と住宅棟を合わせた再開発ビルの規模は2万6000平方メートルを想定。商業棟から建設し、最後の駅前広場が完成するのは2028年度を予定する。施工は特定業務代行者のフジタが担当する。
 施行区域は連続立体交差事業が進められている京阪本線「光善寺駅」の西側約1・4メートル(枚方市北中振3丁目)。高架化する駅沿いに約2500平方メートルの駅前広場、広場西側の1街区に商業・業務機能、隣接する2街区に住宅棟の建設を計画し、新たなにぎわいを創出する。
 区域北側に都市計画道路北中振線(幅員17メートル×延長約190メートル)を整備し、幅員5~9メートルの区画街路も設ける。
 再開発ビルの規模は1街区の商業棟がS一部RC造地下1階地上3階建て延べ約5360平方メートル、2街区の住宅棟がRC一部S造26階建て延べ約2万0460平方メートル。低層部に商業施設が入り、駐輪場(S造平屋110平方メートル)も設置する予定。
 工事は1街区の既存建物を解体後、11月ごろから商業棟の建設を始める。商業棟が完成した後、23年12月ごろから2街区で解体を進め、住宅棟を建てる。26年度末ごろに完成し、最後に駅前広場の整備を進める予定だ。事業期間は28年度末まで。
 参加組合員として大京が参画し、コンサルタントはユーデーコンサルタンツが担当する。



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2022年8月9日火曜日

建設分野の特定技能外国人、全作業で受入可能に/政府が近く業務区分再編決定

 建設分野の特定技能外国人の受け入れ対象が、建設業に関連する全作業に拡大されることになった。受け入れが可能な業務区分を、全作業がカバーできる▽土木▽建築▽ライフライン・設備-の3区分に再編・統合する。現行の19区分では受け入れ対象が一部の職種に限られるため、専門工事業団体などから職種追加を求める声が挙がっていた。政府が近く改正する建設分野の運用方針に新たな業務区分などを位置付ける。=2面に関連記事
 先週に相次いで開かれた自民、公明両党の国土交通部会で、国交省が制度改善の方向性を説明した。運用方針改正の閣議決定は詳しい時期こそ未定ながら今夏にも行われる見通しだ。
 現行制度を巡っては、細分化された業務区分を背景に技能者個人の業務範囲が認定職種に限定され、多能工のような働き方が認められないといった問題点が指摘されていた。
 電気工事や塗装、防水施工など現行の業務区分に含まれない作業も多い。日本電設工業協会(電設協、山口博会長)のように、深刻化する担い手不足の打開策として早期の職種追加を求める動きも活発になっていた。技能実習制度の職種と重ならないため円滑な移行が難しいケースもある。
 新たに位置付ける3区分は、建設業関連の全作業を包含する形で設定する。電気工事や塗装など現行制度で位置付けられていない職種も3区分の枠内で柔軟に当てはめることが可能になる。
 日本語能力や専門技能の評価試験も3区分に再編・統合される見通しだ。各専門工事業団体と建設技能人材機構(JAC、三野輪賢二理事長)が連携し訓練・各種研修を充実させる方向で検討が進んでいる。



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フジタら/ダム湖の堆砂除去を効率化、水質汚濁防ぎ高水深に対応

 フジタと河本組(広島県安芸太田町、河本和雄代表取締役)はダム湖の水質汚濁を防ぎ、湖底の堆砂を20メートル以上の吸い上げ高さ(揚程)で除去できる浚渫工法を開発した。組み立て式の台船に高性能な真空発生装置と、泥土を搬送する中継ポンプユニット「高濃度攪拌(かくはん)ポンプ」を搭載。真空吸引だけでは不可能だった水上10メートル以上の揚程でも効率的に堆砂を除去できる。
 現在、ダム湖の堆砂で機能が低下しているダムが全国に100カ所以上もあるという。小型浚渫ポンプ船を使ったり、水を抜いて重機で撤去したりする従来方法では水質汚濁が避けられなかった。水質汚濁のない真空吸引の方法もあるが、水深が深いダムでは使えないという課題があった。
 開発した「ハイリフト無濁浚渫工法」は20メートル以上の揚程でも汚濁発生を抑え堆砂除去が可能。汚濁の発生で困難だった電力系ダムの取水設備近傍でも発電しながら浚渫作業が行える。
 主な設備は水中掘削機付き吸引機と中継ポンプユニット、大型の連続泥土回収タンク、真空発生装置で構成する。2基の高トルク水中掘削機が湖底に堆積した土砂や粒径40ミリ以下の砂礫を掘削し、土砂が拡散する前に吸引。高濃度攪拌ポンプを併用することで、20メートル以上の揚程がある場合でも高い搬送能力を発揮する。
 台船はユニフロート(約2メートル×約4メートル、重さ4トン)を複数組み合わせて使用。運搬性に優れ、個数を変えることで、さまざまな施工条件に対応できる。GNSS(全球測位衛星システム)を活用したICT施工管理システムで施工状況をリアルタイムに把握でき、従来は5人程度必要だった作業員を1人に減らせる。
 電力系ダムを含む広島県内4カ所のダムで試験施工を行い水深20メートル、水上10メートルから堆砂除去が可能なことを確認した。今後はさまざまな制約があるダム湖の浚渫作業の効率化とともに、ダムの長寿命化を支える技術として展開していく。



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万博協/世界に誇る若手建築家20組を発表、休憩所など20施設設計

 2025年日本国際博覧会協会は8日、大阪市此花区夢洲の博覧会(大阪・関西万博)会場に設ける休憩所やサテライトステージ、トイレなど20施設の設計を担う若手建築家20組23人を発表した=写真。会場デザインプロデューサーの建築家・藤本壮介氏は「世界に誇れる20人だ」「若い建築家のアイデアが大きな流れになり、未来をつくるきっかけになるといい」と期待を表明。若手建築家は「おいしい建築をつくりたい」「参加できて光栄」などと語った。
 評価委員を務めた藤本氏は「若い才能から多様なアイデアが集まった」、建築家の平田晃久京都大学教授は「若い人と一緒に積極的な未来の社会との関係をつくる建築界にしたい」、同じく建築家の吉村靖孝早稲田大学教授も「太陽の塔に匹敵するようなチャレンジングな提案を育ててほしい」と語った。
 「2025年日本国際博覧会休憩所他設計業務」の委託先を決める公募型プロポーザルで選んだ。42歳以下を対象に実施。協会が指定した3施設(休憩所1、サテライトスタジオ東、トイレ6)から応募者が1棟を選択し提案する形式で行われた。応募総数は256点。6月の1次審査で30者が通過し、そこから20者に絞り込んだ。大阪府建築士会(岡本森廣会長)が協力。
 基本設計期間は23年2月下旬まで、実施設計は同3月~同12月22日を予定している。工期は24年1月~25年3月。
 各施設の担当建築家は次の通り。▽施設名=担当者(敬称略)、延べ床面積。
 ▽休憩所1=大西麻貴(大西麻貴+百田有希/o+h)、836平方メートル▽同2=工藤浩平(工藤浩平建築設計事務所)、728平方メートル▽同3=山田紗子(山田紗子建築設計事務所)、560平方メートル▽同4=服部大祐、新森雄大(Schenk Hattori+Niimori Jamison)、661平方メートル▽ギャラリー=金野千恵(teco)、1000平方メートル▽展示施設=小室舞(KOMPAS JAPAN)、1862平方メートル▽ポップアップステージ東=桐圭佑(KIRI ARCHITECTS)、90平方メートル▽同西=三井嶺(三井嶺建築設計事務所)、同▽同南=萬代基介(萬代基介建築設計事務所)、同▽同北=佐々木慧(axonometric)、同▽サテライトスタジオ東=野中あつみ(ナノメートルアーキテクチャー)、150平方メートル▽同西=佐藤研吾(佐藤研吾建築設計事務所)、同▽トイレ1=棗田久美子(GROUP)、59平方メートル▽同2=小林広美(Studio mikke)、同▽同3=小俣裕亮(小俣裕亮建築設計事務所)、234平方メートル▽同4=浜田晶則(浜田晶則建築設計事務所 AHA)、135平方メートル▽同5=米澤隆(米澤隆建築設計事務所)、234平方メートル▽同6=隈翔平(KUMA&ELSA)、235平方メートル▽同7=鈴木淳平、村部塁、溝端友輔(HIGASHIYAMA STUDIO+farm+NOD)、135平方メートル▽同8=斎藤信吾(斎藤信吾建築設計事務所)、同。



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関東整備局と京急電鉄/羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線、西松建設で建設着手

 関東地方整備局と京浜急行電鉄は8日、「羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線」工事に着手したと発表した。羽田空港の国際競争力強化に向けた空港機能拡充施策の一環。工事期間中の歩行者動線を確保するための仮切り回し通路を整備する。設計はパシフィックコンサルタンツ、施工は西松建設が担当する。2024年度中の完成、25年度の供用開始を目指す。羽田空港アクセス線関連の工事では初弾工事となる。
 羽田空港第1・第2ターミナル駅で列車を入れ替えるための引き上げ線整備に当たっては、同駅から第2ターミナルへの連絡通路の一部を撤去する必要がある。そのため最初に仮切り回し通路を整備する。現在の歩行者動線の横に仮切り回し通路を設置し、連絡通路を撤去する。仮切り回し通路は地下2階から地下1階にかけての延長47メートル。
 引き上げ線整備はトンネル躯体と躯体に付帯する通路・階段などの鉄道基盤施設は関東整備局が、軌道、ホームなどの鉄道施設は京急電鉄が整備する。
 羽田空港アクセス鉄道の引き上げ線は、京急電鉄の羽田空港第1・第2ターミナル駅のホーム端からエプロンに向け約330メートル延伸する計画。ホーム寄りから開削部、非開削部と続き、残る約300メートルを複合円形の複線シールドトンネルとして整備する。所在地は東京都大田区羽田空港3。



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土木技術者女性の会中部ら/小中学生対象に防災イベント開く、備えの重要性伝える

 土木技術者女性の会中部支部(前川利枝支部長)と愛知県大府市、愛知工業大学は6日、大府市のDAIWA防災学習センターで「土木女子(ドボジョ)といっしょに防災について考えよう」を開催した=写真。小・中学生22人と保護者が参加。地震や水害など自然災害に対する事前の備えの大切さや土木の仕事などを学んだ。
 理工系分野に興味・関心を持ってもらうため、内閣府などが主催する「夏のリコチャレ2022(理工チャレンジ)~理工系のお仕事体感しよう~」の登録イベントの一環として開いた。冒頭、青木治子副支部長が「土木は道路や橋、港の整備など、みんなが安全に暮らせるよう環境を整える仕事をしています」と話し、土木の仕事は現場作業だけでなく計画から設計、施工、維持管理まで幅広いことを説明。土木技術者女性の会は、土木が好きな人を増やす活動を行っているとした。
 イベントでは、冠水時に自動車のドアが開けにくくなることや、ボールプールを使った冠水道路歩行体験、家具を固定した場合としていない場合の振動実験を実施。愛知工業大学工学部土木工学科の鈴木森晶教授は、ペーパークラフトを使って建物の耐震性を分かりやすく説明。子どもたちは紙で簡易な建物模型を作り、筋交いがある場合とない場合で建物の揺れの違いを学んだ。中部支部の担当者は、液状化の簡易な実験を行うとともにハザードマップの使い方を説明し「日常から避難場所の位置や避難ルートについて考えてほしい」と話した。



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2022年8月8日月曜日

国交省/国債活用と技能者賃上げ推進/23年度予算概算要求基本方針に明記

 国土交通省は2023年度予算概算要求の基本方針で、公共事業の円滑実施や生産性向上、働き方改革に向けた方策として「国庫債務負担行為(国債)の積極的な活用」と「技能者の賃金引き上げ」を新たに明記する方向だ。財政の単年度主義の弊害是正や働き手の賃上げの実現といった政府全体の政策課題に呼応する形で、国交省の取り組みを加速する狙いがあるとみられる。
 国交省の22年度予算では新たな枠組みの「事業加速円滑化国債」を盛り込んだほか、施工時期の平準化などを目的とした「平準化国債」(2カ年国債やゼロ国債)が過去最大の規模となった。計画的で円滑な事業執行を促進するため、一連の取り組みが23年度も引き継がれる見通しだ。公共工事設計労務単価が直近まで10年連続で引き上げられており、賃金上昇の流れを維持していくことも重要な課題となる。
 このほかに基本方針では新・担い手3法も踏まえた上で、▽施工時期などの平準化や適正価格・工期での契約▽地域企業の活用に配慮した適正規模での発注▽新技術の導入やi-Constructionの推進▽建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及▽週休2日の実現▽外国人技能労働者の受け入れ・育成-の各項目を列挙する。
 予算編成過程で計上額を決める「事項要求」の対象には「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」や原油価格・物価高騰対策を挙げている。
 概算要求で重点を置く3本柱には、昨年度と同じく▽国民の安全・安心の確保▽社会経済活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大▽豊かで活力ある地方づくりと分散型の国づくり-を設定。建設資材の高騰を踏まえ必要な事業量を確保することも明記する。



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低入札価格調査・最低制限価格/中央公契連モデル、40都道府県に普及/全建調べ

 地方自治体が運用する低入札価格調査と最低制限価格の両制度で、国の一般管理費等率引き上げに対応した中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)モデルの算定式が普及してきた。全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)の調査結果によると、40都道府県が最新モデルに準拠または同等水準以上の算定式を適用。全体の半数程度にとどまる政令市や県庁所在市への普及拡大が今後の課題になりそうだ。
 中央公契連の算定式モデルは3月に改正。ダンピング対策の一環で「0・55」だった一般管理費等率を「0・68」に引き上げた国土交通省の算定式と同様に、「直接工事費×0・97+共通仮設費×0・9+現場管理費×0・9+一般管理費×0・68」に見直した。
 全建は47都道府県と51政令市・県庁所在市を対象に、都道府県建設業協会を通じて低入札価格調査制度と最低制限価格制度の運用状況を調査。7月時点の結果をまとめた。
 中央公契連モデルに準拠し、同モデルの水準を上回る算定式を適用している都道府県は▽青森▽秋田▽山形▽神奈川▽静岡▽福井▽和歌山▽山口▽愛媛▽宮崎▽鹿児島-の11県。山口県は低入札価格調査と最低制限価格の設定範囲を廃止し、一般管理費等率の算入率を70%、直接工事費を100%と高く設定するなど、ダンピング対策に前向きな姿勢を見せている。
 同モデルと同等水準または同等以上の独自算定式を適用しているのは▽福島▽長野▽鳥取▽佐賀-の4県。同モデルと同じ算定式は▽北海道▽岩手▽茨城▽栃木▽群馬▽埼玉▽千葉▽東京▽山梨▽岐阜▽愛知▽富山▽石川▽滋賀▽京都▽大阪▽奈良▽岡山▽香川▽徳島▽高知▽福岡▽長崎▽熊本▽大分-の25都道府県が適用している。10月から兵庫県も同モデルに準拠した算定式を導入する。
 政令市と県庁所在市の運用状況を見ると、同モデルに準拠し算定式を見直したのは25市で、全体の半数にとどまる。
 算定式の見直しが進む一方、同モデルの低入札調査基準価格や最低制限価格の設定範囲は予定価格の「75~92%」と変わっていない。昨年10月に全国9地区で開いた国交省との地域懇談会・ブロック会議では、建設業協会から設定範囲の上限撤廃を求める要望が相次いでおり、今後の対応が注目されている。
 《政令市・県庁所在市の低入札価格調査・最低制限価格の改正状況》
 【中央公契連の最新モデル以上の水準】札幌△横浜△川崎△新潟△京都△堺△高松△高知
 【中央公契連の最新モデル】盛岡△宇都宮△千葉△相模原△甲府△静岡△浜松△名古屋△富山△金沢△大津△大阪△和歌山△岡山△徳島△熊本△大分



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社整審河川分科会小委/直轄3ダムの新規事業化了承/国交省、23年度概算要求へ

 社会資本整備審議会(社整審、国土交通相の諮問機関)河川分科会事業評価小委員会(委員長・小林潔司京都大学名誉教授)は5日、直轄ダム事業3件の新規事業化を妥当と認めた。対象は▽雨竜川ダム再生(北海道)▽寺内ダム再生(福岡県)▽筑後川水系ダム郡連携(福岡、佐賀両県)。供用後に得られる治水効果が建設や維持管理などの総コストを上回ると確認した。国交省は初年度事業費を2023年度予算の概算要求に盛り込む。
 国交省は同日の会合で、地元負担金を支払う道県知事への意見照会の結果も示した。関係知事全員が事業の予算化に同意しており、北海道は環境保全措置の確実な実施を要望。福岡、佐賀両県の知事は事業の効率化やコストの縮減に努めるよう求めた。
 雨竜川ダム再生事業は雨竜第1ダム(北海道幌加内町)と雨竜第2ダム(同)の治水機能を増強し石狩川水系の治水安全性を高める。堤体のかさ上げなどを予定。建設費は328・6億円、供用後50年間の維持管理費は32・3億円を見込む。
 寺内ダム再生事業は寺内ダム(福岡県朝倉市)の放流設備を改良し、堤体もかさ上げする。河道掘削や築堤も併せて実施。建設費は68・5億円、50年間の維持管理費は2・2億円と見積もる。
 筑後川水系ダム群連携事業は筑後川本川と支川の佐田川をつなぐ延長約20キロの導水路を構築し、河川流量を最適化する。建設費は502億円、50年間の維持管理費として105億円を見込む。



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日建設計/TCFD開示へ準備/設計事務所で国内初、CN貢献見据え取り組み強化

 日建設計は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言を踏まえた気候変動リスクの開示準備を始めた。クライアントの間でリスク開示の動きが広がる中、自らも開示することでSDGs(持続可能な開発目標)やカーボンニュートラル(CN)への対応強化につなげる。開示されれば、建築設計事務所で国内初になるという。同社はスコープ3(事業活動に関連する他社の排出)の試算の公表も始めている。定量的なデータを発信し議論を深め、開示リスクの精度を高めていく方向だ。
 大松敦社長が日刊建設工業新聞社の取材に応じ、明らかにした。大松社長は「設計業界で先立ってTCFDを踏まえた開示に向け準備をしている。開示することで自分たちも変わっていけると思っている」と表明。海外クライアントの仕事も多数抱える中、グローバルに業務を展開する上でTCFDへの対応は欠かせないとの認識も示した。
 同社は4月に発表した「サステナビリティーリポート2022」で、2021年の企業活動による温室効果ガス(GHG)の排出量を開示し、スコープ3(事業活動に関連する他社の排出)を含めた総排出量も初めて盛り込んだ。同年竣工の国内設計プロジェクトから今後50年間に排出されるGHGも参考値として提示。約100棟(総延べ約210万平方メートル)から、1001万3820トン(施工時の排出量は含まず)が排出されると見込んだ。
 大松社長は「スタンダードのやり方が確立されているわけではなく、修正が必要な部分があるかもしれない」としつつも、関連する事業者らが「発信し合って互いにすりあわせていくことで、標準的なやり方を見つけていくことが、CNにプラスになっていく」との見解を述べた。



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竹中工務店ら3社/パーソナルモビリティーの屋内外連続自律走行へ実証

 竹中工務店と日立製作所、DX関連のコンサルティングなどを手掛けるgluon(東京都目黒区、牛尾靖成代表取締役)は5日、建物内外でパーソナルモビリティーの自律走行を目指す実証を11月から開始すると発表した。国土交通省が提供する3D都市モデル「プロジェクト・プラトー」と、BIMで生成した3D建物モデルを統合しデジタルツインを構築。屋内外をリアルタイムに連携させた走行実証を本格化する。
 一般的にパーソナルモビリティーの自律走行は、対象エリアを事前に走行させ、独自のマップ情報を作る必要がある。安全性を確保する多数のセンサーも必要となり、実現へのハードルになっているという。実証は国交省がプロジェクト・プラトーの一環で公募した事業に採択。3社は事前走行なしで屋内外を連続させたパーソナルモビリティーの運用を目指す。
 実証は竹中工務店などが運営する実験場「コモングラウンド・リビングラボ(CGLL)」(大阪市北区天満)とその敷地内で行う。CGLLでは人とロボットが一緒に暮らすプラットフォームの実現に向け、デジタルツインの構築などに取り組んでいる。
 走行実証ではパーソナルモビリティーとして電動車いすを使う。これまで困難だった建物内外の連続自律走行やデジタルツインを活用した円滑な走行の効果を検証。3D都市モデルと3D建物モデルの統合手法の開発や都市レベルのデジタルツイン構築、社会実装に向けたガイドラインの作成なども行う。2023年3月までに実証結果をまとめ国交省に提出する。



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2022年8月5日金曜日

CCUS就業履歴蓄積へ、元下団体が相互協力確認/リーダー設置とタッチ推進

 官民で構成する建設キャリアアップシステム(CCUS)運営協議会運営委員会が3日開かれ、工事現場へのカードリーダー設置と技能者のカードタッチの推進に努めていく方向で元請団体や専門工事業団体を含む運営委メンバー全員が合意した。就業履歴蓄積の促進には各現場で元下双方の役割に基づく協力が不可欠。登録技能者のカードタッチ率が現状で3割にとどまる中、協力関係の重要性を相互に確認した格好だ。
 運営委の意見表明の場で、ある専門工事業団体の発案に応える形で全出席者が同調。各団体の所属企業の立場を踏まえ元請としてカードリーダー設置、下請として技能者のカードタッチを推進する役割を果たしていく必要性を共有した。
 カードタッチで就業履歴を蓄積する環境整備は着実に進展している。6月末時点の登録技能者92万8418人のうち就業履歴があるのは約30%の27万8144人。2月末時点と比べると実数で4万4549人増加し、登録技能者に占める割合も2ポイント上昇した。就業履歴のある現場数は昨年9月に1万件を突破してからも増え続け、6月には1万4437件に達した。
 ただカードタッチしていない技能者が7割おり、就業履歴蓄積の環境整備と利用訴求の両面で取り組みの加速化が急務だ。こうした問題意識が運営委で合意に至った背景にありそうだ。
 建設業振興基金(振興基金)は運営委で就業履歴の現状分析を報告。東京都と大阪府に所在する事業者と、元請完工高500億円以上の事業者に就業履歴数が集中している実態をデータで明示し、それ以外の事業者による現場利用の促進に注力する必要があると訴えた。
 運営委メンバーは▽日本建設業連合会▽全国建設業協会▽全国中小建設業協会▽建設産業専門団体連合会▽日本建設躯体工事業団体連合会▽日本機械土工協会▽日本型枠工事業協会▽全国建設室内工事業協会▽全国鉄筋工事業協会▽日本空調衛生工事業協会▽日本電設工業協会▽住宅生産団体連合会▽全国建設労働組合総連合-の13団体。



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東北・北陸地方大雨/地元建設業が応急復旧に尽力、国交省はテックフォース派遣

 東北地方の日本海側や北陸地方では3日から、前線の影響で複数の線状降水帯が発生するなど記録的な大雨となった。それに伴い最上川など複数の河川が氾濫。各地で家屋などの浸水被害や土砂災害が発生した。国土交通省は24市町村とホットラインを構築(4日午前8時時点)。被害状況の把握に全力で当たるとともに、テックフォース(緊急災害対策派遣隊)を送るなどし被災自治体をバックアップしている。地元建設業も排水ポンプ車の提供や道路の土砂撤去など応急復旧に力を尽くす。=4、6、10面に関連記事
 気象庁は3日夜に山形県、4日未明には新潟県内に大雨特別警報を発表した。
 国交省が公表した被害状況(4日午前8時時点)によると、非常に激しい雨が降った影響で5水系7河川が氾濫。このうち山形県内を流れる最上川は▽米沢市▽長井市▽大江町-の3カ所で越水・いっ水し、住宅や田畑などが広範囲にわたって浸水した。このほか、4日午後2時30分には石川県を流れる梯川で氾濫情報が発表された。
 流入量の増加に備え洪水調節を実施したダムは40カ所(うち1カ所は事前放流)。土砂災害は2件確認された。
 道路関係では直轄国道や補助国道で冠水などによる通行止めが発生。都道府県道では山形県飯豊町で県道の落橋被害があった。JR東日本の磐越西線は喜多方~山都駅間で橋梁が崩落し当面運転を見合わせる予定だ。「現時点で水位が高く調査点検に入れない」(仙台支社福島支店)ため、復旧の見通しは立っていないという。
 こうした被害を踏まえ、4日午前までに山形、新潟両県が県内13市町村に災害救助法の適用を決定した。国交省は4日にリエゾン(現地情報連絡員)10人を被災地に派遣。気象庁防災対応支援チーム(JETT)も20人が現地入りした。
 地元建設業も応急復旧に協力。新潟県建設業協会(植木義明会長)は会員企業保有の排水ポンプ車7台を村上市などに派遣した。福島県建設業協会(長谷川浩一会長)は会員が道路の土砂撤去やバリケード設置などに尽力。山形県建設業協会(國井仁会長)も災害対応に万全の体制を敷いている。



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関東整備局/荒川第二・第三調節池工事現場を公開、ICT駆使した最先端施工アピール

 関東地方整備局は埼玉県内で整備中の「荒川第二・三調節池」の現場を報道機関に1日公開した。現場では地盤改良工事などが進んでいる。事業を担当する荒川調節池工事事務所は7月に現場内に「あらいけDX体験館」を開設した。3Dプリンターを使って製作した堤防や排水門などの構造物の完成予想模型を展示。施工中の地盤改良工事の様子をリアルタイムで見られるモニターを設置するなど、現場で取り組む最先端のICT施工を紹介している。
 荒川流域の洪水調節能力を増強するため関東整備局は、荒川第一調節池(埼玉県戸田市)の上流左岸に、総面積約760ヘクタール、総治水容積約5100万立方メートルに及ぶ調節池を整備している。事業期間は2030年まで。総事業費は約1670億円を見込む。
 早期に整備効果を発揮するため、工事は大ロットで発注。各工区ではICTを用いた最先端の施工で、生産性向上に取り組んでいる。現在は地盤改良3工区と基盤整備工事2件、土砂改良工事1件と工事用道路の築造1カ所が同時に進む。
 河川本流と調節池部分を隔てる囲繞(いぎょう)堤の築造予定部分の地盤改良が最盛期を迎えている。3工区に分かれた現場では最大30メートルを超える大型の3点杭打ち機が林立し、巨大事業が着実に進んでいることを強く印象付ける。杭打ち機は最大で11機が同時に稼働。同日は7機が動いていた。いずれもGPS(衛星利用測位システム)を使って高い精度で施工が可能という。
 あらいけDX体験館は、事業区域を一望できる二池見晴台の隣(さいたま市桜区下大久保)に位置する。2階建てで、2階はガラス張りの壁面越しに施工の様子をパノラマで見ることができる。モニターを設置し、見学者向けの事業説明などに用いている。
 1階には3Dプリンターで作成した調節池の模型などを展示。AR(拡張現実)により完成後の様子を見ることができる。モニターでは目の前で施工している杭打ち機の施工状況をリアルタイムで見られるようになっている。展示内容は今後の事業の進展に合わせて変えていく予定だ。7月に完全予約制で見学者の受け入れを始めたが、現在は新型コロナウイルス感染拡大のため中止している。



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建設技術研究所/下水管内の異常早期検知技術開発、腐食箇所や要因を検知

 建設技術研究所は4日、下水管内のさまざまな異常を早期に検知する技術を開発したと発表した。下水管内の水位や微生物を調べて、浸水や下水道管の腐食といった異常を検知する。従来技術よりも早期に異常を検知できるようになり、維持管理の効率性向上やコスト縮減といったメリットが期待できる。
 水位のリアルタイム監視と、微生物調査により異常を検知する。水位の監視ではマンホールふたを取り換えることなく伝送アンテナを設置するだけで監視が可能。下水管内の水位を観測し、リアルタイムで水位状況を確認・共有する。不明水や浸水といった下水管内の水位上昇に関する異常を早期に検知できる。
 微生物調査では下水を採水・分析することで腐食要因や箇所を早期検知。DNAの配列を読み取る次世代シーケンサー(NGS)を使い、多種多様な菌レベルの分析を可能とした。腐食を促進する原因菌を特定したり、場所による量分析を行ったりすることで腐食しやすい箇所を検知する。
 建設技術研究所によると、開発した技術を下水道管路施設の包括的民間委託事業に適用することで、さらに効果的な維持管理が可能になるという。地方自治体や民間の下水道維持管理業者にも活用できる。
 下水道分野の重要課題として、浸水被害の危険発生に関する情報発信や、施設の効率的な老朽化対策などがある。しかし浸水箇所の早期発見と要因調査、老朽化リスクの高い施設の特定には、職員の労力や高額な委託費用が必要だった。



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大阪市と大阪府/難波宮跡公園整備運営、NTT都市開発グループに

 大阪市と大阪府は4日、Park-PFI(公募設置管理制度)で行う「難波宮跡公園(北部ブロック)整備運営事業および難波宮跡(南部ブロック)管理運営事業」の予定者をNTT都市開発・NTTアーバンバリューサポート・NTTファシリティーズグループに決めたと発表した。北部ブロックにはレストランやカフェ、スイーツ店などの整備を提案。事業を安定的に実施できる体制と具体的な事業計画、景観・眺望に配慮した計画などが高く評価された。場所は国指定の史跡「難波宮跡」(大阪市中央区)。来年12月の着工を予定している。
 NTT都市開発を代表者とするグループは、北部ブロックに遺構表示と芝生広場、レストランなどの施設、駐車場・駐輪場の整備を提案した。
 2023年春に南部ブロック管理運営を開始する。同冬頃に北部ブロックの工事に着手。同ブロックの整備は24年度中に完了する予定。25年春頃の同ブロック管理運営開始を目指している。
 府と市は50年の難波宮遷都1400年に向け、にぎわい機能を強化し魅力あふれる公園づくりを進める。2025年日本国際博覧会協会(大阪・関西万博)を控え、世界に大阪をアピールする。
 昨年12月に策定した「史跡難波宮跡附法円坂遺跡整備基本計画」によると、本町通りと築港深江線を挟んだ北部ブロック(約2・3ヘクタール)は広場空間や集客、避難地の機能を持たせ、実物の遺構を展示する。
 築港深江線南側の南部ブロックは太極殿院や朝堂院などの発掘調査に基づき遺構の位置などを表示。レクリエーションの場としても活用する。長期的には難波宮跡全域で歴史的建築物の復元を検討していく。



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2022年8月4日木曜日

宮城大雨/斉藤国交相が崩壊した丸山橋視察、早期復旧へ全面支援

 7月の記録的な豪雨で宮城県大崎市をはじめ宮城県内では浸水などの被害が発生した。同市岩出山の蛭沢川に架かる丸山橋は記録的な大雨で崩落。2日に現地を視察した斉藤鉄夫国土交通相は、県と市の要望を受け早期復旧を全面支援する考えを表明した。気候変動の影響を背景に自然災害の発生頻度が増し、被害規模も大きくなっている。相次ぐ水害にどう対処し安全・安心な暮らしを守っていくのか--。ハードとソフトの両面で対応強化が求められている。 =1面参照
 斉藤国交相は、国交省の丹羽克彦道路局長や山本巧東北地方整備局長、伊藤康志大崎市長らと共に落橋現場を丸山橋を訪れた。視察後に「集落、地域にとってなくてはならない橋。秋のできるだけ早い時期に通行できるようにしたい」と表明。仮橋の架設を急ぎ、完成後には「本格的な復旧と周辺道路の整備を実施したい」と述べた。仮橋は東北整備局が保有する応急組み立て橋を使い、近く作業を始める予定という。
 視察後には、大崎地域広域行政事務組合で自治体と意見交換した。出席した村井嘉浩宮城県知事と伊藤市長は、迅速な復旧に向け財政支援などを強く要望。斉藤国交相は「7年間で3回も堤防が決壊し浸水被害があった地域。気候変動による水害を防止するため東北の河川対策をしっかりしていく」と述べた。防災・減災、国土強靱化対策を引き続き推し進め、東北各地で水害対策に万全を期す構えだ。
 7月の豪雨災害は現在、被害調査を継続している。激甚災害に指定するかどうかは調査結果を待つ必要がる。斉藤国交相は適用にならない場合も「同等の支援できるよう国交省として頑張りたい」と表明。今後の復旧では県が管理する蛭沢川などの機能回復で、財政支援とともに技術者派遣なども実施し、「東北整備局と自治体が連携し、総合力を発揮していく」方針だ。伊藤市長は「直接被災状況を確認してもらい、速やかな復旧への大きな足掛かりになる」と今後に期待した。



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環境省/除去土壌再生利用の実証計画案、道路盛り土への利用模索

 環境省は福島第1原発事故の除染事業で発生した廃棄物の最終処分量を減らすため、除去土壌の再生利用に向けた実証事業の計画案をまとめた。福島県内の中間貯蔵施設(大熊、双葉両町)で、除去土壌を基とする再生資材の用途拡大を見据え、道路盛り土への利用を模索。実証を通じて現場施工時の課題や対応方策を整理する。10月まで設計や施工方法・手順を検討し、同月~2023年1月に施工する。同1月以降、各種試験やモニタリングを行う。県外でも再生資材を駐車場の整備などに利用するための実証を行う。
 3日に「中間貯蔵施設における除去土壌等の再生利用方策検討ワーキンググループ」(WG、座長・勝見武京都大学大学院地球環境学堂教授)の初会合を東京都内で開き、計画案を示した。WGでは実証事業で得た知見の整理・評価や、除去土壌を再生資材化し安全に利用するための方策を検討する。23年度に成果を取りまとめる予定。再生利用に関する実践的な手引も作成する。
 計画案によると、中間貯蔵施設内では道路の路体盛り土に再生資材を活用する。一般的な道路規格で対象となる道路は、1日当たりの交通量が4000~2万台(3種2級)で歩道付きの構造を想定。実際に施工した上で評価を行う。事業の成果を手引に反映する。
 福島県外での最終処分の実現を目指して県外でも実証事業を行う。再生資材を駐車場の路床に使用し、舗装材や路盤材の違いなど埋め立てパターン別に実証する。花壇や広場の造成時に使用するケースも調べる。施工時や供用時に埋め立て箇所や周辺の空間線量率、浸透水中の放射性濃度などを測定し安全性を確認する。本年度に施工し、完成後モニタリングに着手する。



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業界構造の壁に切り込む/課題噴出で官民が共鳴した動き、持続可能な産業へ検討着手

 技能労働者の処遇改善や建設資材の価格高騰など建設業が抱える課題の噴出を契機として、従来型の業界構造の壁を打ち破ろうとする動きが活発になってきた。国土交通省は建設産業政策の新たな展開を検討する有識者会議を立ち上げた。長年の懸案とされてきた重層下請構造の改善に本腰を入れ、価格変動に柔軟に対応できない民間工事の商慣習にも切り込む。それと呼応するように建設業団体との意見交換でも共鳴したテーマが取り上げられる場面が出てきている。
 □国交省/持続可能な産業へ検討着手、契約方式や重層化の改善焦点□
 国交省は3日、有識者会議「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」の初会合を東京・霞が関の国交省内で開いた=写真。建設業を取り巻く諸課題や環境変化への対応策を議論し、将来的な市場縮小局面にも耐えられる制度や仕組みの具体化を目指す。直近の中央建設業審議会(中建審)総会で国交省が必要性を指摘した受発注者間契約のリスク分担や重層下請構造の改善などに焦点を当て、その実現方策を模索する。=2面に有識者会議の委員一覧
 委員7人は幅広い分野の学識者などで構成。オブザーバーとして厚生労働省も参加する。初会合では国交省が議論のベースとなる論点を提示し非公開の場で意見を交わした。
 冒頭、笹川敬官房審議官(不動産・建設経済局担当)は「持続可能な建設業に向けた取り組みが急務。さらなる施策展開の検討が必要だ。各分野の専門的見地から意見をいただきたい」と呼び掛けた。次回以降、業界内外の関係者ヒアリングも予定。年度内をめどに検討成果の取りまとめを目指す。
 論点の一つが資材高騰を契機とした価格変動への対応だ。6月の中建審総会では民間工事の受発注者双方の関係者から価格転嫁が難しい実態を指摘する声が挙がった。受発注者間で価格変動リスクを適切に分担する方策として、国交省はコストプラスフィー契約などを例示。コストの「見える化」で価格変動に対応しやすい契約の在り方を検討する。想定外のリスクやコスト要因を早期に見通す観点でBIMの活用も取り上げた。
 処遇改善を巡る議論にも重点を置く。労務費を技能者に適切に行き渡らせるため重層下請構造の改善方策を探る。先行事例として複数の都道府県が発注工事で導入する下請次数制限制度を紹介。重層化した下請による労働力の需給調整機能を、別の仕組みで補うことが可能かどうか併せて検討する。緊急避難的な運用に限って労働者派遣を認めている厚労省の「建設業務労働者就業機会確保事業」など現行制度の在り方も検証する。
 技能者の賃金上昇を下支えする仕組みも検討課題に設定した。法律や労働協約として賃金水準を保つ仕組みが定着している欧米の事例を参考に、ダンピング競争にさらされやすい民間工事でも機能を発揮する制度構築を目指す。建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用も視野に入りそうだ。
 □建専連/国交省と3年ぶり意見交換、賃上げへ労務費安定を□
 建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)は3日、国交省と3年ぶりの定例意見交換会を東京都内で開いた=写真。技能者の賃上げを柱とする処遇改善に向け、業務の繁閑や建設資材価格の変動に関係なく安定した請負金額で受注できる環境整備を要望。建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用した技能者評価など、民間事業者を念頭に発注者の理解が得られるような取り組みの加速を訴えた。
 冒頭あいさつした岩田会長は「若者に来てほしい業界から、若者が入りたい業界を目指す」と宣言。そのため安定した請負金額を確保する環境整備について、「仕事量が減少する前にスピード感を持って取り組みたい」と力を込めた。
 建専連が提案した意見交換のテーマは▽請負競争でのダンピング受注の徹底排除▽公共・民間工事を問わず建設現場へのCCUSの早急な普及▽工期の適正化と週休2日制の推進▽登録基幹技能者の有効活用(CCUSレベル4の実行ある評価)-の四つ。国交省の見解を聞いた。
 建専連など建設業4団体と国交省は、2022年に「おおむね3%の技能者の賃上げを目指す」目標を申し合わせている。建専連は民間工事や市町村工事でダンピング受注が見られる現状を説明し、「仕事量があっても賃上げに踏み切れない」(岩田会長)と指摘した。
 そのため10年連続で引き上げられた公共工事設計労務単価相当の賃金が官民双方の工事で技能者に行き届くよう、国交省に対しフォローアップや発注者への指導と監督を求めた。下請が元請への価格交渉力を高めるため必要な労務費の見える化や標準化にも期待を示した。
 CCUS関連では、技能者の加入促進を後押ししている建設業退職金共済(建退共)制度との連携も話題に上がった。CCUSに就業履歴を登録している技能者の建退共掛け金について、公共工事では予定価格の積算に反映されている。建専連は民間工事での負担の在り方も明確にするよう求めた。
 国交省の増田嗣郎官房審議官(不動産・建設経済局担当)は、建専連の要望や問題提起に対し「大変示唆に富んだ意見をいただいた」と総括。課題解決に強い意欲を見せた。



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大成建設/河川工事出水警報システム機能拡充、AI活用し24時間先の水位予測

 大成建設は、河川工事中の急激な水位上昇を知らせる出水警報システム「T-iAlert River」に新機能を追加した。AIを活用し、雨雲画像や過去の天気実況・予報に基づき24時間先までの河川水位を予測する。従来に比べ早期に施工現場や周辺流域の出水対応が可能。人員や建設機械・資材などを計画的に退避できるようになる。
 「T-iAlert River」は2008年に開発した。国土交通省が提供する雨量・水位観測所のデータから河川流量を解析する方法や、観測所間の水位の相関式から下流(現場)の水位を計算する方法を使って約12時間後の水位予測が可能。10件以上の河川工事で避難計画立案などの安全管理に活用している。
 機能を拡張したシステムは全国の雨雲画像を利用して過去の天気実況を基に、予測地点の雨雲画像(現在を起点に前後24時間分)を抽出。雨雲画像とその時間帯に工事地点で計測した河川水位(現在を起点に1~24時間後)を併せてデータベース化し、約7万ケースをAIで深層学習させる。
 予測地点の天気実況と天気予報に基づき、現在を起点とする前後24時間分の雨雲変化と類似した雨雲画像を深層学習の結果から抽出。学習した河川水位データを基に1~24時間先の予測結果を表示する。雨雲画像から水位が予測できるため、工事現場の近傍に観測所がなくても行える。
 河川水位の上昇、下降の傾向が早期に把握できる。出水後の復旧タイミングを見越して早い段階から工事再開の準備や作業に着手できるため、出水に伴う工程遅延を最低限に防げる。今後は従来システムも併用しながら予測精度を高め、土木・建築を問わず積極的に提案していく。



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関東整備局相武国道/八王子南BP高架橋上部工、多軸台車で夜間に一括架設

 ◇施工はエム・エムブリッジ
 東京都八王子市内で建設が進む「国道20号八王子南バイパス(BP)」で2日深夜から3日未明にかけ、多軸特殊台車を使った高架橋上部工の一括架設が行われた。交差する町田街道(都道47号八王子町田線)を通行止めにし、約210トンある主桁を移動、設置。3日午前4時15分ごろ無事に完了した。今後はトラッククレーンで隣接する径間桁の設置に入る。施工はエム・エムブリッジが担当している。
 「R2国道20号八王子南BP館高架橋上部その6工事」(発注者・関東地方整備局相武国道事務所)で夜間一括架設を行った。場所は八王子南BPと町田街道が立体交差する予定の「医療センター入り口交差点」(八王子市館町)。八王子南BPのうち、既に開通済みの高尾山IC~八王子市館町区間の東側に接続する。橋梁形式は橋長110・5メートルの鋼3径間連続合成床版細幅箱桁橋で、今回架設したのは3径間のうち町田街道の直上をまたぐ中央径間に当たる。
 作業はあらかじめ隣接するヤードで組み立てた長さ約70メートル、重さ約210トンの主桁を、多軸特殊台車に乗せて約100メートル移動させ、橋脚に据え付ける流れ。2日午後11時ごろに始まり、桁を乗せた台車がゆっくり動き、所定の位置に2時間半程度をかけて移動。ジャッキを下げて、支承部に桁を設置した。今回の架設は下り線側の主桁で、上り線側は6月28日に設置を完了している。周辺では深夜にもかかわらず周辺住民ら十数人が巨大な桁が動く迫力ある様子を緊張の面持ちで見守った。
 八王子南BPは八王子市北野の国道16号から首都圏中央連絡自動車道高尾山ICまでの約9・6キロを結ぶ自動車専用道路。このうち八王子市館町から八王子市大船町付近までは2026年ごろの開通を目指している。



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2022年8月3日水曜日

国交省/40年までの道路施策行程表作成、DXと脱炭素に重点

 国土交通省は2日、2040年までに展開する道路施策のロードマップ(行程表)をまとめた。DXの柱として道路空間の現況を電子空間にリアルタイムで再現する「xROAD(クロスロード)」の実装を推進。電子情報を道路施設の老朽化対策や維持管理の効率化などに役立てる。脱炭素関連では太陽電池を組み込んだ舗装の技術課題を24年度までに確認し、実用化の可能性を探っていく。=2面に主要施策一覧
 社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)道路分科会基本政策部会(部会長・石田東生筑波大学名誉教授・特命教授)の会合を同日に東京都内で開き、国交省が示した行程表の案を大筋で了承した。
 xROADは国土地理院の地図などを基本に、道路空間の現況を電子空間で再現できるデータベース(DB)。先月、道路施設の14年度以降の法令定期点検で得られたメンテナンス情報をオープンデータ化した。23年度にはこのデータを活用し維持管理作業を効率化する「発注者支援アプリ」の開発に着手。構造物の劣化箇所の写真を撮ってAIに入力すれば、DB内から類似の対策事例を探し出し表示するようなアプリを想定している。
 今後は道路の3D点群データもDBに取り入れアプリの機能向上を目指す。25年度までに国管理道路の全てで取得しオープンデータ化する計画。国交省は地下にある占用物件の情報や、地方道の維持管理情報も本年度以降収集し、随時DBに追加する方針だ。
 脱炭素化への対応も道路分野の喫緊課題と位置付ける。海外で実用化されている太陽電池を組み込んだ道路舗装システムの本格導入に向け課題を洗い出す。技術や工法を検証する「導入促進機関」として国土技術研究センター(JICE、徳山日出男理事長)を選定しており、24年度までに検証結果をまとめる。
 走行中の電気自動車(EV)に道路側からワイヤレスで給電する技術の実用化も検討。既に民間企業と連携し実現可能性調査を展開している。20年代半ばの実証実験開始を見据え、取り組みを加速する。



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中部整備局/盛土連絡会議が初会合、自治体の体制づくりを支援

 中部地方整備局は1日、盛り土による災害防止のための中部連絡調整会議(中部盛土連絡会議)を設置し、名古屋市中区の同局会議室で初会合を開いた=写真。「宅地造成等規制法の一部を改正する法律(盛土規制法)」が5月に公布されたことを受け、管内関係機関の連携と協力を目的に独自に立ち上げたもので、同局は県・政令市・中核市の担当者に対し、関係部局との横の連携を図りしっかりとした組織体制を構築することを要請した。
 盛土規制法は、知事などが災害リスクの高い区域を「規制区域」に指定し、区域内の盛り土を許可制にする。宅地だけでなく農地や山林なども含め、盛り土などを行う土地の用途や目的にかかわらず危険な盛り土を全国一律の基準で包括的に規制の網をかける。区域指定の考え方などは今秋をめどに国がガイドラインを案の段階で示す。県・政令市・中核市には施行日を待たず先行的に基礎調査に入ってもらう。
 森川泰敬建政部長は「盛土規制法の施行に向け、管内の基礎調査や規制区域指定などやるべき事は多い。効率的に情報を共有し、準備や同法の運用に少しでも役立ててほしい」と話し、自治体の体制づくりをバックアップしていくとした。自治体のニーズ調査も実施し、中部盛土連絡会議の活動に反映する。会議は年内に2回程度開催する予定。
 中部盛土連絡会議は中部整備局と関東・東海農政局、関東・中部森林管理局など国関係機関、愛知など4県3政令市と岐阜市など5中核市で構成。オブザーバーとして4県の警察本部も参画する。



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フジタら/山岳トンネルずりのかき込み・積み込み機、AI認識で自動作業

 フジタは2日、トンネル機械製作の三井三池製作所(東京都渋谷区、中村元彦社長)と共同で、山岳トンネルのずり出し作業を省力化するAI機能搭載の積み込み機を開発したと発表した。掘削時で発生するずりのかき込みから積み込みまで一連の作業を、オペレーターなしでAI搭載機が行う。実現場に導入したところ、切羽での作業を20%削減できることを確認した。フジタによると、自動で掘削ずりのかき込み・積み込みができる機械は国内初という。
 開発した「AIロックローダ」は、発破後に切り羽から出たずりをかき寄せる「掘削ブーム」、機械後方に直接ずりを排出しダンプなどに積み込む「排土ベルコン」、機械運転席前方に配置した「センシング機器」などで構成する。断面積60平方メートル、延長1キロ以上のトンネルへの導入を想定している。
 センシング機器に搭載したセンサーなどでずりの位置を検出し、掘削ブームを使い自動で排土ベルコンにかき寄せる。ずりはベルコンをわたって後方にあるダンプに積み込まれる。AIはずりと作業員、建機などを判別。ずり以外に接触しそうになると自動停止する。
 一連の動きをすべて自動で行えるため、ずりのかき込み・積み込みの作業が省力化できる。ずりを迅速に処理することで切羽作業エリアを早期に開放でき、次の工程に移行。トンネル掘削全体のサイクルが効率化する。
 通常、切羽では発破、ずり出し・積み込み、支保工のサイクルを5人1組で繰り返す。実現場にAIロックローダを導入したところ、4人での作業が可能なことを確認。20%の省人化を実現した。
 開発に携わったフジタ土木本部土木エンジニアリングセンター機械部上級主席コンサルタントの浅沼廉樹氏は「切羽でのずりの処理には作業員が拘束されたり、待ち時間が発生したりして非効率な部分があった。今後はAIロックローダを長大トンネルに導入していきたい」と話している。



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大成建設/南摩ダム本体工事(栃木県鹿沼市)でDX駆使、自動建機を協調運転

 大成建設は2日、複数の自動運転建設機械(自動建機)の協調運転を制御するシステム「T-iCraft」を導入した南摩ダム本体工事(栃木県鹿沼市上南摩町)の現場を報道陣に公開した。現在はロックフィルダム堤体の盛り立て作業に32トン級ブルドーザー2台と18トン級振動ローラー2台を導入。設定された作業シナリオに基づき、正確にロック材の敷きならしと転圧作業を繰り返していた。
 南摩ダムの建設は水資源機構が思川開発事業の一環として実施。2020年12月に本体工事に着手した。堤体をロック材で盛り立て、上流側を被覆するコンクリートフェーススラブが遮水機能を担う「コンクリート表面遮水壁型ロックフィルダム(CFRD)」が特徴。薄層転圧する近代的な施工方法を取り入れた国内初のCFRDとなる。堤高86・5メートル、堤頂長359・7メートル、体積約240万立方メートル。6月末の進捗(しんちょく)率は31%となっている。
 自律型や遠隔操作で作業を行う建機は同社が開発を進める「T-iROBOシリーズ」。振動ローラーやクローラーダンプ、バックホウ、リジットダンプがある。GNSS(全球測位衛星システム)と自動運転プログラムを搭載し、設定された作業シナリオをそれぞれが自動で実行する。
 「T-iCraft」が司令塔となり、遠隔操作室で各建機の位置情報や作業状況を監視。自動運転の実行・停止を指示するなど協調運転を制御している。今後実施するブランケット工事ではブルドーザーとクローラーダンプ、バックホウを導入し、4~6台の協調運転を行う予定だ。



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新小岩駅南口地区再開発(東京都葛飾区)、総事業費は417億円/準備組合

 東京都葛飾区の新小岩駅南口地区再開発準備組合が計画するプロジェクトの総事業費が、417億3000万円になることが明らかになった。うち工事費は293億6200万円となる。JR新小岩駅の南口に住宅や商業施設、オフィスなどが入る総延べ約7・8万平方メートルの施設群を整備する。7月に本組合の設立認可を申請しており、10月ころにも都から認可を受ける見通しだ。2025年2月に建設工事に着手し、30年3月の全体竣工を目指す。
 計画地は新小岩駅南口に隣接する新小岩1(区域面積約1・5ヘクタール)。駅前広場を含む一帯をA、Bの2街区に分けて開発する。駅に隣接するA街区(敷地面積1200平方メートル)には、S一部SRC造地下1階地上9階建て延べ5910平方メートルと、S一部SRC造地下1階地上12階建て延べ1880平方メートルの2棟のビルを整備する。いずれも店舗やオフィスの機能を入れる。26年7月の竣工を目指す。
 B街区(4440平方メートル)は、27年1月から建設に着手する。ビルはRC一部S造地下2階地上39階建て延べ7万0180平方メートルの規模。高さは約160メートル。店舗やオフィスを1~4階、7~39階には549戸の住宅を設ける。既存の駅前広場と一体になる約1400平方メートルの広場も整備する。
 準備組合には事業協力者として三井不動産レジデンシャルと首都圏不燃建築公社が参画している。日本設計がコンサルタントを務める。



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2022年8月2日火曜日

国交省/市区町村発注業務のダンピング対策、浸透に遅れ改善働き掛けへ

 国土交通省は市区町村が発注する業務(設計、測量、地質調査)のダンピング対策の導入状況を「見える化」し公表した。低入札価格調査制度と最低制限価格制度がいずれも未導入の市区町村は全体の約半数を占め、両制度がほぼ浸透している工事と比べ改善が遅れている。各市区町村の導入状況を都道府県別のマップに色分けし明示。近隣自治体と比較可能とすることで改善のきっかけにしてもらう。
 公表資料を都道府県と政令市に1日付で送付。各都道府県を通じ市区町村に周知してもらう。国交省は都道府県別に市区町村の工事契約担当者などが議論を交わす「都道府県公共工事契約業務連絡協議会(都道府県公契連)」に参加する形で直接の働き掛けにも乗り出す。改善が遅れている団体には必要に応じフォローアップを行う予定だ。
 これまでは工事のダンピング対策の浸透に注力し、両制度を未導入の市区町村が約5%の81団体(2021年10月時点)まで減った。一方、業務で両制度の未導入の市区町村は約49%の853団体(同7月時点)。19年6月施行の改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に業務でダンピング対策を講じることが発注者の責務として明記されてから、未導入団体は少しずつ減ってきたが依然多いのが現状だ。
 導入状況には都道府県ごとに差が見て取れる。例えば石川、長崎両県の市区町村は最低でも一部業種で両制度のいずれかを取り入れており未導入団体はゼロだった。都道府県内の未導入割合が5割以上となったのは20道府県で、中には8割を超えている県もあった。
 ただ両制度の未導入が一概に不適切と言えないケースもある。都道府県発注業務で見ると両制度導入済みが30団体、いずれかを導入済みが16団体、いずれも未導入が1団体。唯一未導入の福岡県は独自の低入札防止対策を導入している。対象業務は特記仕様書に記載することで入札参加者に事前周知。契約額が一定水準を下回った場合、受注者負担での第三者照査や打ち合わせ対応を求めている。



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大成建設、山梨県/建設部材工場脱炭素化で基本合意、再エネ水素製造システム導入

 大成建設と山梨県は、再生可能エネルギー電力で水素を製造するP2G(パワー・ツー・ガス)システムを大成建設グループ会社の建設部材製造工場に導入して脱炭素化を図り、周辺地域を含め有効活用する「脱炭素グランドマスター工場」のモデル化検討に乗り出す。1日午後、山梨県庁で相川善郎社長と長崎幸太郎知事が基本合意書を交わした。
 小規模パッケージ化したP2Gシステムは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け、山梨県と民間企業が共同開発。今後、大成建設グループの大成ユーレックの川越工場(埼玉県川越市)に導入し、2023年度末の実証開始を目指す。県外では初の導入事例となる。
 工場内に設置した太陽光発電の電力で製造したグリーン水素を水素ボイラーで燃焼。その熱をプレキャスト(PCa)コンクリート板製造工程の養生に利用し工場の脱炭素化を図る。
 地域エネルギーマネジメントシステム(CEMS)を使い、工場内で製造したグリーン水素を周辺の地域内で活用する「脱炭素グランドマスター工場」のモデル化も検討する。両者はカーボンニュートラルの実現に向け連携し、脱炭素化と地域資源を生かした水素エネルギー社会の構築に貢献していく。
 基本合意書の締結式で長崎知事は「事業を通じてP2Gシステムが幅広い分野の脱炭素化や再エネの主力電源化に貢献することを証明し、国内外へのさらなる普及につなげたい」と期待を寄せた。
 相川社長は「コンクリート部材の製造工程で環境負荷の低減につながるなど、工場の脱炭素化に向けた新たな一歩だ。再エネ電力で水素を製造する革新的な脱炭素技術やエネルギーマネジメント技術の開発、実装に貢献していきたい」と語った。



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九州整備局八代復興/鋼トラス橋に架替、20年7月豪雨被災の相良橋

 九州地方整備局八代復興事務所は2020年7月豪雨により被災し、権限代行で災害復旧を進めている球磨川流域の道路橋梁のうち架け替えを行う県道遠原渡線の相良橋(熊本県球磨村渡)の構造形式を「鋼2径間連続トラス橋」に決めた。橋長は流失した旧橋より約100メートル長い約230メートルとなる。同橋は架け替える橋梁の中で構造形式が唯一決まっておらず、今回で復旧する10橋すべての復旧方法や構造形式が固まった。
 7月29日に開いた有識者らの球磨川橋梁復旧技術検討会(委員長・園田佳巨九州大学大学院教授)に復旧位置と構造形式を諮り、了承された。
 相良橋はこれまでの検討会では旧橋があった位置に近い上流側で架け替えるとしていたが、球磨川流域の治水対策で最大幅50メートル程度の引き堤を行うことが決まったため、旧橋があった位置の約100メートル上流で架け替えるよう見直した。構造形式の検討では工期の短縮や地域になじみがある旧橋の構造形式に配慮した。今後、詳細設計を進める。橋梁検討業務(詳細設計)は中央コンサルタンツが担当。
 橋梁の復旧では10橋のうち8橋を架け替え、2橋は現橋を活用し橋台の再構築や上部工の一部架け替えにより復旧する。架け替える橋梁はすべて鋼橋となる。
 流失した上部工の一部を架け替える県道人吉水俣線の西瀬橋(人吉市相良町)は復旧工事を21年度に日本鉄塔工業に発注済み。架け替えを行う8橋のうち5橋は下部工工事の発注手続きを進めており、22年度中に工事着手する見通し。同事務所の徳田浩一郎所長は「今後、本復旧工事を本格化する。早期の完成を目指したい」としている。



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東京海上HDら/日本最大の木造ビルへ東京海上日動ビル建替、施工予定者決定

 東京海上ホールディングス(HD)らは1日、「東京海上日動ビル」(東京都千代田区)の建て替え計画の概要を発表した。構造材に国産木材を使用し、延べ約13万m2規模の日本最大の木造ビルを整備する。施工予定者は竹中工務店・大林組・清水建設・鹿島・大成建設・戸田建設JV。2024年12月に着工し、28年度の竣工を予定している。=4面に詳しく



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大阪市/南海なんば駅前(中央区)空間再編プラン、車から人中心に

 大阪市は、大阪・ミナミの玄関口、南海なんば駅前(中央区)の空間再編プランをまとめた。駅の北側に駅前広場を整備するなど車中心から人中心の空間に変え、市の新たなシンボルにする。2022年度内に着工し、25年に開かれる大阪・関西万博までの全体完成を目指す。
 広場の整備は、大阪市と南海電気鉄道が共同で取り組む。高島屋大阪店となんばマルイに挟まれたエリアは車道をなくし、滞留スペースとして休憩用のベンチやテーブルを置き、カフェなどを設けて憩いとにぎわいの場にする。新たな照明も設置する予定。タクシー乗り場は周辺の道路に移設する。
 東側のなんさん通りについては、歩道を拡幅して歩きやすくする。乗用車の通行は禁止とし、午前1時から9時まで貨物車両が通行できる。無電柱化も検討する。
 再編後は、行政と役割分担しながら民間のエリアマネジメント組織が管理・運営を担い、隣接する御堂筋と同様に「歩行者利便増進道路(ほこみち)」の指定を検討する。
 設計はEーDESIGN・中央復建コンサルタンツ・LEM空間工房JVが担当し、大林道路が施工を担当する予定。



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2022年8月1日月曜日

建退共電子申請/CCUS活用「一括方式」スタート、近くタッチ漏れ補完新機能も

 建設キャリアアップシステム(CCUS)と建設業退職金共済(建退共)制度の加入メリットをさらに実感できる新機能が7月29日導入された。電子申請による建退共の掛け金納付にCCUSの就業履歴データを使う場合、元請や1次下請が下位下請分の手続きを一括処理できるようになった。CCUSで漏れた技能者の就業履歴を建退共側のデータで補完する新機能の運用も予定している。
 同日に勤労者退職金共済機構の建設業退職金共済事業本部(建退共本部、岸川仁和本部長)と、CCUS運営主体の建設業振興基金(振興基金、谷脇暁理事長)が発表した。
 CCUSと建退共の両システムを改修。CCUSに蓄積された技能者の就業履歴データを使って建退共の電子申請を進める際、新たな選択肢として「元請・一次下請一括作業方式」と呼ぶ機能を導入した。建退共電子申請の「就労実績報告作成ツール」にCCUSからデータを取り込む作業を効率化。元請または1次下請が下位下請分のCCUSデータも一括処理できる。
 従来は被共済者(技能者)を直接雇用する事業主しかこの作業ができない仕組みとなっており、多くの下請事業者に負担が生じていた。新機能を利用する場合、現場単位で元請または1次下請のどちらがCCUSの就業履歴データを一括し、建退共電子申請の就労実績報告作成ツールに取り込むかを選択しておく必要がある。それをCCUSに登録した翌月から就業履歴データを利用できる。
 一括作業方式のCCUS就業履歴データは毎月10日ごろにダウンロードできるようになる。今月分のデータは9月10日以降に取り込める予定。当面はシステムの不具合有無を確認した後、一括作業方式の説明書に当たる共通マニュアルを公開する。
 CCUSカードリーダーが現場にない状況も想定。建退共の就労実績報告作成ツールに登録された情報を使いタッチ漏れを補完する新機能「R(一覧データ登録)方式」も近く導入する。年内に一括作業方式に対応した運用の開始を目指す。



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大和ハウス工業ら/建設現場向け床清掃ロボット開発、月40時間の作業を自動化

 大和ハウス工業、大和リース、フジタの3社は7月29日、建設現場向けの自走掃除ロボットを共同開発したと発表した。1日8時間稼働させた場合、約3000平方メートルの床を清掃することが可能。これまで現場の床の清掃にかかっていた1カ月当たり40時間相当の人手による作業を自動化できる。今後は実証実験を通じて改良し、2023年度から3社の現場に順次導入していく。
 新ロボットはKYOSOテクノロジ(京都市中京区、岡田恭子社長)と連携して開発した。大きさは幅886ミリ、奥行き863ミリ、高さ714ミリ。連続4時間稼働が可能で、一度の回収量は最大15リットル。秒速0・5メートルで移動する。15ミリ程度の砂利や50グラム程度の小ねじ・くぎなど、現場に散乱するさまざまなものを清掃できる。
 重量は70キロ程度。各ユニットに分割すれば簡単に軽量化・小型化して持ち運べるため、エレベーターのない多層の建設現場でも利用できる。
 店舗や工場などの中・大型施設の建設現場では、清掃作業は広範囲にわたる。現状では床の素材やごみの種類などに応じて、作業員が業務用掃除機や手押しスイーパーなどで清掃しており、長時間労働の一因となっていた。



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長谷工コーポ/コンクリ数量自動算出システムを開発、BIM登録データ利用

 長谷工コーポレーションは7月29日、長谷工版BIMに作成した設計データとオートデスクのビジュアルプログラミングツール(Dynamo)を連携させ、指定範囲のコンクリート数量が自動算出できるシステムを開発したと発表した。あらかじめBIMに登録されているデータを利用し、範囲を指定するだけで数量を導き出す。積算業務全体の作業時間を75%削減できることを確認した。
 従来のコンクリート数量算出は、施工図に記載されているフロア別・部位別の数量を基に、工事の進捗(しんちょく)状況に応じて都度手作業で行っていた。登録データで自動的に数量を算出する新システムは、特に建物の基礎部分など算出が複雑な箇所で効果を発揮する。従来は2時間程度かかっていた作業を30分程度で完了できる。
 内装工事では建物の構造体を傷つけることなく仕上げ材をきれいに納めるため、柱や壁、梁、床などを大きめに施工する「フカシ」の要素もあらかじめシステムに設定。実際の施工で使用したコンクリート数量との誤差を1%未満に抑えることができるという。
 システム化に伴ってヒューマンエラーが大幅に減少し、コンクリート廃棄量の削減にも貢献する。長谷工グループは今後も、長谷工版BIMを活用したDXを推進し、建設現場の生産性向上と働き方改革を実現に努めていく。



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東工大/付属高校を大岡山(東京都目黒区)へ移転、延べ1・5万米

 東京工業大学は7月29日、東京都目黒区の大岡山キャンパスに移転を予定する付属科学技術高校の整備スケジュールを明らかにした。大岡山キャンパス内にある既存施設の解体工事を含め、新校舎の新築工事を2023年10月ころに着工する。延べ床面積は約1・5万平方メートルを想定。25年度中に竣工し、既存校舎がある港区・田町キャンパスからの移転作業を経て26年4月の開校を目指す。
 新校舎の計画地は大岡山2の12の1(大岡山キャンパス内)。S一部RC造5階建て延べ約1万5000平方メートルの規模を見込む。基本・実施設計は石本建築事務所が担当。施工者は未定となっている。
 移転を契機に東京工業大は科学技術高校を「新時代の科学技術教育の在り方を提案」するとしている。大学との連携を深化させ、生徒が教員や学生と交流する機会を増やす。大学の研究室や研究施設へのアクセスも格段に向上し、今後は国際感覚を持った科学技術のリーダー育成に注力する考えだ。
 科学技術高校の移転後は、定期借地権を設定した跡地にNTT都市開発と鹿島、JR東日本、東急不動産の4社グループが2棟総延べ約25万平方メートル規模の複合施設を再開発する予定。30年6月ころの供用開始、32年4月ころの工事完了を目指す。定期借地権の期間は26年から75年間を見込む。



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万博協/パビリオンワールド施設整備DB3件/清水JV・大林JV・竹中JVに

 2025年日本国際博覧会協会は大阪市此花区夢洲で開催する同博覧会(大阪・関西万博)のパビリオンワールド(PW)施設整備事業3件について、「PW南東工区」は193億6000万円(税抜き、評価値0・6198)の清水建設・東急建設・村本建設・青木あすなろ建設JV、「PW北東工区」は166億8000万円(同、0・6865)の大林組・大鉄工業・TSUCHIYA・安井建築設計事務所JV、「PW西工区」は175億5500万円(同、0・6636)の竹中工務店・南海辰村建設・竹中土木・昭和設計JVに決めた。簡易型総合評価方式一般競争入札を7月4日に開札した。
 同協会は3件の入札結果を7月29日に公表した。いずれも工事監理・撤去工事を含む実施設計・施工一括(DB)方式を採用し、会場中央の展示施設などが集積するPWの整備を行う。シンボル施設「大屋根(リング)」の建築面積は約6万平方メートルで、世界最大級の木造建築物になるという。パビリオンのうちタイプBは協会が建設し出展者が展示空間を作る施設で、タイプCは協会建設施設に複数の出展者が展示空間を設ける。
 3件の概要は次の通り。▽工区名=〈1〉概要〈2〉契約期間〈3〉予定価格(税抜き)。
 ▽PW南東工区=管理施設、供給処理施設など21棟(延べ約4万9000平方メートル)、大屋根(水中部含む、周長約640メートル)〈2〉7月~27年2月〈3〉198億0190万2000円
 ▽PW北東工区=〈1〉パビリオンタイプB・C、ゲート施設など23棟(延べ約5万平方メートル)、大屋根(周長約640メートル)〈2〉7月~27年2月〈3〉180億6437万9000円
 ▽PW西工区=〈1〉パビリオンタイプB・C、供給処理施設など26棟(延べ約4万6000平方メートル)、大屋根(周長約640メートル)〈2〉7月~27年2月〈3〉175億5708万8000円。



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