フジタと河本組(広島県安芸太田町、河本和雄代表取締役)はダム湖の水質汚濁を防ぎ、湖底の堆砂を20メートル以上の吸い上げ高さ(揚程)で除去できる浚渫工法を開発した。組み立て式の台船に高性能な真空発生装置と、泥土を搬送する中継ポンプユニット「高濃度攪拌(かくはん)ポンプ」を搭載。真空吸引だけでは不可能だった水上10メートル以上の揚程でも効率的に堆砂を除去できる。
現在、ダム湖の堆砂で機能が低下しているダムが全国に100カ所以上もあるという。小型浚渫ポンプ船を使ったり、水を抜いて重機で撤去したりする従来方法では水質汚濁が避けられなかった。水質汚濁のない真空吸引の方法もあるが、水深が深いダムでは使えないという課題があった。
開発した「ハイリフト無濁浚渫工法」は20メートル以上の揚程でも汚濁発生を抑え堆砂除去が可能。汚濁の発生で困難だった電力系ダムの取水設備近傍でも発電しながら浚渫作業が行える。
主な設備は水中掘削機付き吸引機と中継ポンプユニット、大型の連続泥土回収タンク、真空発生装置で構成する。2基の高トルク水中掘削機が湖底に堆積した土砂や粒径40ミリ以下の砂礫を掘削し、土砂が拡散する前に吸引。高濃度攪拌ポンプを併用することで、20メートル以上の揚程がある場合でも高い搬送能力を発揮する。
台船はユニフロート(約2メートル×約4メートル、重さ4トン)を複数組み合わせて使用。運搬性に優れ、個数を変えることで、さまざまな施工条件に対応できる。GNSS(全球測位衛星システム)を活用したICT施工管理システムで施工状況をリアルタイムに把握でき、従来は5人程度必要だった作業員を1人に減らせる。
電力系ダムを含む広島県内4カ所のダムで試験施工を行い水深20メートル、水上10メートルから堆砂除去が可能なことを確認した。今後はさまざまな制約があるダム湖の浚渫作業の効率化とともに、ダムの長寿命化を支える技術として展開していく。
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