2022年8月10日水曜日

東京23区内4~6月の大規模建築計画、件数と総延べ面積が過去5年で最高/本社集計

 東京23区内で2022年度第1四半期(4~6月)に公表された大規模建築計画(延べ床面積1万平方メートル以上)は、前年同期と比べて11件多い23件だった。延べ床面積の合計は248・2%増の120万3586平方メートルで、ともに過去5年間で最高水準となった。コロナ禍で働き方や生活様式が変わる中、板橋区や江戸川区といった都心エリア以外でも大規模な開発案件が増えている。
 「東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例」に基づき、4月4日~6月28日に都へ提出された標識設置届を日刊建設工業新聞社が集計した。建築計画が最終的に決定し、近隣説明や行政手続きに入ったプロジェクトが集計対象。公共機関の計画も入る。
 区別で見ると最多の件数は港区の4件。次いで板橋、江戸川の2区が各3件と続いた。台東、中央、中野の3区が各2件、足立、北、江東、品川、渋谷、千代田、文京の7区が各1件となった。大手デベロッパー関係者は「コロナ禍で働き方などのライフスタイルが多様化したことで、都心以外への選択肢の幅が増えている」と話す。
 用途別では住宅を含む計画は14件と半数以上を占めた。住宅需要が高まる中、「都心エリアの用地不足から都心以外の人気も高まり、分譲価格も上昇している。コロナ禍でホテル用地として取得した敷地を、住宅開発に変更した事例もあると聞く」(デベロッパー関係者)という。
 規模別に見ると、▽1万平方メートル台=11件(前年同期比6件増)▽2万平方メートル台=3件(1件減)▽3万平方メートル台=1件(1件増)▽5万平方メートル台=2件(1件増)▽7万平方メートル台=1件(増減なし)▽20万平方メートル以上=2件(2件増)。前年同期にはなかった大型の開発案件が目立った。
 最大規模はJR東日本が品川区で予定する「(仮称)広町地区開発計画」のA1地区。ホテルや住宅、オフィスが入る総延べ約25万平方メートル。最高高さ115メートルの複合施設を整備する。設計はJR東日本建築設計で、施工者は未定。12月に着工し、26年3月の完成を目指す。
 次いで規模が大きかったのは、中央区の豊海地区市街地再開発組合が計画するプロジェクト。住宅や商業施設、保育所などを設ける2棟総延べ約23万平方メートル、最高高さ189メートルの再開発ビルを計画している。基本設計は安井建築設計事務所、特定業務代行者は清水建設が務めている。23年1月に着工し、27年6月の完成を目指す。
 再開発プロジェクトをはじめ、保育所や学習塾の機能を設けた施設計画も目立った。デベロッパー関係者は「マンションの分譲価格が上昇していく中、立地条件以外の付加価値を高めていくことが物件購入の決め手になる」と強調する。働き方やライフスタイルが多様化し続ける中、23区内の開発を巡るデベロッパー各社の動きに注目したい。



source https://www.decn.co.jp/?p=145218

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