2022年8月10日水曜日

九州大など36機関/洋上風力発電で産学官コンソ設立、技術開発や人材育成推進

 九州大学など36機関は洋上風力発電に関する技術の研究開発や人材育成を推進する「洋上風力産学官連携コンソーシアム」を設立した。同大学が4月に設置した洋上風力研究教育センターを核に、組織の垣根を越え、オールジャパン体制で人材育成プログラムや関連技術の標準化、国内のサプライチェーン(供給網)の形成などに取り組む。同大学によると洋上風力発電分野の産学官によるコンソーシアムの設立は国内初。8日に福岡市内で設立総会とシンポジウムを開き、シンポジウムではパネリストから風車本体の国産化が不可欠とする意見が相次いだ=写真。
 コンソーシアムには発電事業者やメーカーのほか、佐賀大学などの教育機関、地方自治体では長崎県五島市、佐賀県唐津市、北九州市、福岡県、建設関連企業では西日本技術開発、大成建設、富士ピー・エス、大林組、西松建設などが参加する。
 活動内容は▽セミナーやシンポジウムの開催▽参加機関などが抱える個別課題の連携コーディネート▽産学官連携プロジェクトの企画・検討▽ビッグデータの蓄積・分析・利活用。
 産学官連携プロジェクトについては人材育成部会を設けるほか、産業創出、地域振興といった部会の設置を想定。人材育成では2023年度に「風車工学」「支持構造物・浮体設計」、24年度以降に「洋上風力入門」「サイト条件評価」「環境・経済評価」の各講座の開講を予定している。
 技術の研究開発では2~3年後に200キロワット級の中型レンズ風車やTLP(緊張係留式プラットフォーム)型洋上風況観測塔の実用化を目指す。
 九大洋上風力研究教育センターのセンター長とコンソーシアムの会長を務める同大学の福田晋理事・副学長は、大学独自の風力発電技術などの研究開発実績と水素など他分野の研究とのコラボレーションにより「洋上風力に新たなイノベーションを起こしていく」と表明。「コンソーシアムの活動を通じて政府が掲げる2050年のカーボンニュートラル社会の実現、洋上風力産業の主力産業化に貢献していきたい」と話した。
 シンポジウムの基調講演では海外の有識者が風力発電で浮体式洋上風力発電が研究の主流となっていることなどを紹介。パネルディスカッションでは海外の技術に依存せず、低コストで日本の風況に耐えられる国産の風車を早期に開発すべきだとの意見で一致した。



source https://www.decn.co.jp/?p=145214

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