2022年8月30日火曜日

日本工営、山口大学/DNAトレーサー技術開発へ、漏水の原因把握などに活用

 日本工営と山口大学は、人工的に作ったDNAを使って水の流れを把握する「DNAトレーサー技術」の共同開発を進めている。水が流れる場所の上流から人工DNAを流し、同じDNAが到達した地点やそこまでかかった時間などを調べることで環境流体を可視化する技術。これを応用すれば、漏水がどこから発生しているのかのチェックにも活用できる。
 DNAトレーサー技術は、中に人工DNAを入れた人工細胞「リポソーム」を使う。人工DNA単体では下流で回収用のフィルターをすり抜けてしまうため、リポソームの中に入れることで体積を大きくし、フィルターに引っかかりやすくした。
 人工DNAは環境流体の確実な可視化に使う。自然界に存在しないDNAを使うことで、流し込んだDNAと回収したDNAが同じものであれば、上流と下流をつなぐ経路の証明が可能になる。人工DNAは多様な種類を大量につくれるため、さまざまな場所から異なる人工DNAを流し込むことで、複雑な水の流れも調査できる。
 両者は本年度中にも野外での実験を目指す。実用化に向けては「リポソームよりも安価なカプセル状のものがないか検討する」(日本工営)考えだ。
 技術の活用方法としては、施設管理者や建設会社を対象に、道路陥没と地下工事の因果関係把握や、構造物の漏水箇所のチェックなどを想定している。例えば地下鉄工事などで水が発生した場合、水の発生源として想定される箇所から人工DNAを流し込む。漏水箇所から人工DNAが回収されれば原因箇所が判明するため、DNAを流し込んだ箇所で漏水対策を行う。
 日本工営によると、構造物などから水が発生したり、ゲリラ豪雨でマンホールが冠水したりする際、どこから水が発生しているのかがはっきり判明していないケースは多いという。同社は「技術を使えば水の流れをさかのぼることが可能になる。早期に実用化段階に持っていきたい」と話している。



source https://www.decn.co.jp/?p=145621

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