最終段階の議論が進む国土交通省の有識者会議「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」で、民間工事を含めて「発注者の責任」を求めるかどうかという論点が浮上している。民間建設工事標準請負契約約款(民間約款)の原則的利用など、検討会が提示する多くの施策案が効果を上げていくには「発注者の理解や協力が必要」との認識で委員らが一致している。年度末に取りまとめる報告書の中で、同省などに何らかの対応を働き掛けることになりそうだ。=2面に関連記事
1日に非公開で行われた第8回会合の意見交換内容を国交省が明らかにした。
検討会は請負契約の適正化に向けた施策案の一つとして民間約款の原則的利用の促進を掲げる。物価変動などを理由に「請負代金額の変更を求めることができる」との規定が、民間工事の契約書では発注者の意向で削除・修正されるケースが多い実態を是正する。この規定が契約書の法定記載事項と解釈できるよう、建設業法の関係条文の内容も明確化する。
こうした制度的措置と併せて発注者に適切な対応を求めていく必要があることから、ある委員は「発注者も建設産業の中で重要なプレーヤー。発注者の理解や協力を得ていく必要がある」と指摘した。
公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)では「発注者の責務」の規定が既にある。一方、民間工事で発注者の責任や役割は明確化されてこなかった。民間発注者はデベロッパーから一般消費者まで工事発注の経験が千差万別だが、「発注者の責任として求められる水準は一定程度ある。必要であれば専門家の協力を得て、発注者の役割や責任を果たしていくべきではないか」との意見もあった。
発注者と元請受注者の関係性について、契約の透明性を高めたり情報の非対称性を解消したりする必要性に改めて言及する委員もいた。ある委員はIT業界を参考例に紹介し、プロジェクトの工数や単価を可視化した上で共有し積極的に協議する「共創」関係を目指しているとした。
前回会合の意見交換では、不当廉売を規制することで発注者にコスト増を強いる可能性があり、その必要性や効果を社会的に説明できるようにする必要性も指摘されていた。
source https://www.decn.co.jp/
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