2023年6月2日金曜日

埋浚協/浮体式洋上風力普及へ海上PF提案、施工効率の大幅向上見込む

 浮体式洋上風力発電の普及に向け、日本埋立浚渫協会(埋浚協、清水琢三会長)が施工能力を大幅に高める作業基地「海上プラットフォーム(PF)」を提案した。水深最大200メートル程度、波高1メートル程度の沖合に常設するタワー式の海上作業構台。起重機船を使って風車を組み立てる従来手法に比べ、施工効率の大幅な向上を見込む。建設コストは検討中だが、政府目標の2050年カーボンニュートラル(CN)実現に大きく貢献する可能性を秘めている。

 海上PFの提案作りは技術委員会が主導した。海上PFは水深150~200メートル、波高1メートルという沖合での建設条件に合わせた海上作業構台。浮体式洋上風力発電設備の組み立てに加え、長期サイクルで計画的な点検や修繕、更新、撤去に取り組むための作業基地になる。
 基礎構造はジャケット工法を採用する。作業構台の大きさは縦・横各100メートル程度を想定し、ここで風車の事前組み立て(プレアッセンブル)も実施できるスペースを設ける。1年間で見ると、起重機船1隻で最大19基程度の風車組み立て・設置が可能だが、海上PFを使えば62基程度を設置できると試算する。構台には固定された旋回式クレーンを置き、風車の組み立て作業などが安定した状態で進められる。作業員が長期間滞在できる宿泊機能も導入する。
 浮体式風車の基礎は製作過程で大水深が必要になる「スパー型」を想定。スパー型は細長く単純な形状が特徴で、波浪や津波などの外力に強いという優位性がある。その一方、海上PFは風車の大型化に対応する「セミサブ型」にも適用できる。
 政府は4月28日の閣議で23年度から5年間の海洋政策の方向性を示す「第4期海洋基本計画」を決定した。CN実現の切り札として洋上風力発電のさらなる拡大に力を注ぐ。国や業界団体などで組織する官民協議会が20年に策定した「洋上風力産業ビジョン(第1次)」では、30年までに1000万キロワット、40年までに3000万~4500万キロワットという導入目標を設定。これらの目標達成に向け、第4期海洋基本計画では「周辺海域の特徴を踏まえれば、浮体式の洋上風力発電が主体になると考えられる」と示した。
 埋浚協によると、海上PFのような海上作業構台の実績は国内外でないことから、まず第4期海洋基本計画に基づく浮体式洋上風力発電の普及に貢献。その過程で国を挙げて実際の事業に海上PFを導入していくような機運を高めていきたい考えだ。

海上PFのイメージ(埋浚協提供)

source https://www.decn.co.jp/

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