国土交通省は災害復旧事業の円滑な実施につなげるため、地方自治体や建設産業界にICTの積極的な活用を促す。災害復旧事業に特化したICT活用の手引を作成し、5月30日付で全国の自治体に通知した。本年度は手引に基づく自治体の取り組みをフォローアップし、好事例を収集する。気候変動の影響で水害が多発している状況を踏まえ、関係者に新技術の積極的な導入を求めていく。=11面に関連記事
国交省は自治体向けに「災害復旧事業におけるデジタル技術活用の手引き」を作成した。都道府県と政令市に通知。都道府県には管内市区町村にも周知するよう依頼した。手引は素案の段階で、今後は好事例を元にブラッシュアップしていく。年度内に正式版を公表する予定だ。
手引は被災状況調査や災害査定、工事、成功認定(完成検査)など、災害復旧事業の各段階で有用なデジタル技術を体系的に整理した。例えば被災状況調査の場面で使える技術として、ドローンによる撮影や、レーザーで対象の形状を検知するLiDAR(ライダー)スキャナーを搭載したモバイル端末などを挙げた。
国の査定官による災害査定は、ウェブ会議システムを使ったリモート形式を奨励。実施設計の段階ではライダーや、水中の地形を測量できるグリーンレーザーといった技術が有用だとした。施工段階では多額の費用がかかるとしたものの、無人化施工や遠隔臨場の導入を前向きに検討するよう促している。
国交省は近年、災害復旧事業の迅速化に力を入れている。昨年度末には有識者会議の検討を経て「市町村における災害復旧事業の円滑な実施のためのガイドライン」を策定。災害査定時に求める書類の簡素化など、効率化につながる施策を指針にまとめ、自治体に提供している。
気候変動に伴い水害や土砂災害が近年多発している。赤羽一嘉前国交相は昨年8月、豪雨被害を受けた福岡、佐賀、長崎各県を視察。自治体関係者から査定手続きの効率化を求められ、「可能なものは机上で行えるようにする」と対応に前向きな考えを示していた。
source https://www.decn.co.jp/?p=143128
0 comments :
コメントを投稿