海外建設協会(海建協、佐々木正人会長)がまとめた会員企業51社の2022年度海外建設受注実績は、前年度比14・6%増の2兆0485億円となった。2兆円を超えるのは過去最高だった19年度(2兆0570億円)以来2度目。主力市場のアジアで政府開発援助(ODA)案件がコロナ禍以前の水準に戻り、民間建築が好調だった北米市場も全体を押し上げた。ただ世界的な物価高騰や円安などで苦戦を強いられることも多く、今後の海外受注が拡大基調に乗るかどうかは不透明だ。=2面に関連記事 受注実績の内訳は日本の企業本体(本邦法人)が74・3%増の6800億円、現地法人が2・1%減の1兆3685億円。8地域別の受注実績は多い順に▽アジア=1兆1244億円(前年度比14・0%増)▽北米=6682億円(33・1%増)▽大洋州=859億円(39・5%減)▽東欧=761億円(16・0%減)▽中南米=396億円(172・5%増)▽アフリカ=279億円(41・3%増)▽中央・北アフリカ=175億円(45・5%増)▽欧州=88億円(56・7%減)。 本邦法人の受注増はアジアでのODA案件が寄与した。19年度に3709億円だったODAの円借款案件は20年度に516億円と急落。21年度には1301億円と若干持ち直し、22年度は2891億円と回復傾向が鮮明となった。 北米市場はコロナ禍からの回復が早く、21年度時点で一定規模の受注量を上げていたが、経済活動がさらに活発化。病院や工場などで大型案件があった。発注者別で日系企業からの受注案件は▽20年度=2637億円▽21年度=3529億円▽22年度=5085億円-と少しずつ増えている。 この流れがさらに加速し海外受注が伸びることが期待されるが、5日に東京都内で記者会見した首藤祐司専務理事は「エネルギー価格の高騰やウクライナ情勢、特に円安もあり(22年度は)受注が難しい状況もあった」と指摘。こうした外的要因は先行きの見通しが付かないため、今後も刻一刻と変化する市場動向を的確に見極めていく必要がある。
source https://www.decn.co.jp/
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