九州地方整備局川辺川ダム砂防事務所は、球磨川流域の治水対策の一環として川辺川に計画している流水型ダムの環境影響の最小化に向けた設計の検討状況を公表した。減勢工内に平常時と洪水時に必要な施設を分離する隔壁や、平常時の水面幅などを確保するため3門の河床部放流設備を設置。同事務所によると、環境に配慮し隔壁や河床部放流設備を設ける設計の検討は全国で初めてという。
5日に茨城県つくば市で開いた流水型ダム環境保全対策検討委員会(委員長・楠田哲也九州大名誉教授)の第6回会合で報告した。
減勢工内の隔壁は左右に幅約5メートル、高さ約10メートル、延長約100メートルで設置。循環流の抑制やみお筋を形成しやすくするほか、平常時と洪水時の流れを分ける。隔壁に挟まれた中央部は幅が約43メートルで平常時は生物の移動経路となる。隔壁の左右外側は幅がそれぞれ約16メートルで洪水時の減勢機能を持たせる。
河床部放流設備はダムサイト上下流の平常時の水面幅が10~20メートルであることから、高さ5メートル、幅5メートル、全長約100メートルの設備を3門設けることで現状と同程度の水面幅を確保。うち中央の1門はさらに敷高を1メートル下げ全体の高さを6メートルにすることで、渇水時の生物の移動経路を確保する。
洪水による水質自浄作用も考慮し、毎秒600トンまでは河床部放流設備の上部に設ける常用洪水吐き口2門も併用しながら水を流す。毎秒600トンを超える場合には河床部放流設備を閉鎖して貯水しながら必要に応じて下流側に流す。
5日はつくば市の土木研究所で約60分の1の模型を使った大型水理模型実験も行い、委員らが土砂の堆積状況などを確認した。
今後も検討委員会を複数回開催し、設計のさらなる検討や試験湛水手法の工夫など「環境影響評価(環境アセス)準備リポート」の公表に向けた準備を進める。
source https://www.decn.co.jp/?p=153605
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