2023年6月8日木曜日

鹿島/超高層建物全体の揺れ大幅低減する制御層制震構造開発、居室空間に自由度

 鹿島は、長周期地震動による超高層建物全体の揺れを、従来の耐震・制震架構と比べ大幅に低減する制御層制震構造「KaCLASS」を開発した。制御層が地震エネルギーを大きく吸収し、建物全体の揺れを大幅に低減する。巨大地震による長周期地震動に対しても、従来の耐震・制震架構と比較して少ない柱梁で高い安全性を確保。開放的な空間が実現できる。
 KaCLASSは、制御機構を制御層に集約して配置し、地震エネルギー吸収性能を格段に高める新たな制免震工法。建物高さの70%程度の位置に設けた制御層が地震時に変形することで、制御層から上の躯体に免震効果を発揮する。下の躯体にはTMD(チューンド・マス・ダンパー)制震効果を与え、建物全体に大きな制御効果を付与する。地震時に居住者の不安感をできる限り和らげ、安全・安心でより快適な住環境を提供する。
 フェイルセーフ機構として、制御層には新開発の摩擦バッファを設けた。設計想定を超える大きさの地震動を受けた際、衝撃を和らげながら制御層を所定の変形以内に抑える。
 KaCLASSを導入した場合、制御層が地震エネルギーを大きく吸収し、建物全体の揺れを大幅に低減できるため、居室空間から柱梁を削減し、自由度の高い居室空間を実現できる。
 同社は、KaCLASSを阪急阪神不動産が事業を進める超高層タワーレジデンス「ジオタワー大阪十三」(大阪市淀川区)に初導入した。鹿島は今後、建物の高い耐震安全性だけでなく、居住性や事業継続性を重視した安心性能が求められる超高層建物を中心にKaCLASSを広く展開する考え。
 建物の耐震性能を高めるには制震装置の設置が有効だが、各階に設置する従来の制震装置では建築計画上設置できる台数に限りがあった。巨大地震により発生する長周期地震動に対し、従来の耐震・制震架構で構造の安全性を確保するためには居室空間に多くの柱梁が必要となるなど自由な設計に課題があった。



source https://www.decn.co.jp/?p=153602

0 comments :

コメントを投稿