川崎市はJFEスチール東日本製鉄所京浜地区(川崎区扇島、約222ヘクタール)が高炉設備などを休止する9月以降の扇島地区の土地利用方針案をまとめた。日本のカーボンニュートラル(CN)を先導する拠点形成を目指す。同地区のうち水素供給拠点など早期土地利用転換が可能な先導エリアは、2028年度の一部供用開始を見込む。土地利用の概成は50年度を想定している。概成までの概算投資額は2兆0600億円と試算。市は8月にも方針を策定する。市の策定を受けてJFEホールディングス(HD)も高炉休止前に整備方針を公表する予定だ。 2日に開いた市議会総務委員会で報告した。土地利用方針の対象となるのは高炉休止で用途未定となる扇島地区など計約400ヘクタール。扇島地区(約280ヘクタール)のほか周辺地区(約74ヘクタール)、南渡田地区(約52ヘクタール)が対象範囲となる。28年度の一部供用開始を見込む先導エリア(扇島地区)は既存の大水深バースを活用した水素などの受け入れ・貯蔵・供給拠点や、最新技術を導入した高度物流拠点の形成を図る。先導エリアは30年度の概成を目指す。 先導エリア以外は敷地内に高炉や製鋼工場などの構造物が多く、解体・撤去などで長期的・段階的整備を想定する。導入機能は水素発電所などのCN関連、研究・実証などイノベーション関連、高度物流施設、展示場、商業施設、宿泊施設など多岐にわたる。対象エリアは広大で長期間の事業となるため、社会経済環境の変化や技術開発動向などを捉えながら3~5年程度で方針を見直す。 概算投資額2兆0600億円の内訳は▽施設整備1兆3100億円▽道路整備3600億円▽港湾整備1300億円▽生活インフラ整備400億円▽解体撤去など2200億円。このうち市の負担額は約2050億円で道路整備、バース改修、上水道・工業用水道・下水道などのインフラ整備に費用を支出することを想定している。 市とJFEHDは21年2月、川崎臨海部を含む地域の持続的発展を目指して土地の有効利用に向けた協定を締結している。JFEHDは市と協力し、脱炭素社会の実現などに貢献できる公共性・公益性の高い土地利用への転換を図る考え。土地は売却、賃貸、事業利用の選択と組み合わせを検討している。
扇島地区概成時のイメージ(報道発表資料から) source https://www.decn.co.jp/
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