2023年6月9日金曜日

JSCA/JSCA賞入賞作品決定/奨励賞2件、新人賞1件

日本建築構造技術者協会(JSCA、常木康弘会長)は、第34回「JSCA賞」の入賞作品と受賞者を決めた。作品部門では特に優れた作品や、特定テーマで卓越した技量が認められる奨励賞に福田光俊氏(久米設計)の「嘉麻市庁舎」(福岡県嘉麻市)、宇田川貴章(日建設計)の「天草市複合施設『ここらす』」(熊本県天草市)を選出。40歳未満が対象の新人賞は、黒川巧氏(日建設計)の「早稲田大学本庄高等学院体育館」(埼玉県本庄市)が受賞した。
「嘉麻市庁舎」は、鉄筋コンクリート打ち放しの柱梁によるコンパクトで彫刻的なファサードデザインが特徴。執務空間は二重床の床吹き出し空調とし天井もRC直天井とすることで、災害時につり天井が落ちて防災機能が停止するリスクを排除している。工期や予算が限られる中、打ち放しにこだわって機能的かつ合理的に課題解決を図った点が高い評価を受けた。
「ここらす」は、中央図書館である2階の近似カテナリー形状の木質「重ね透かし梁」が特徴。地元産の木材を使った梁の緩やかなカーブがおおらかな空間を生み出している。実大モックアップを製作して載荷試験を行ったり木材業者と協議を重ねたりするなど、独自性が高い構造アイデアを実現した姿勢が評価された。
新人賞の「早稲田大学本庄高等学院体育館」は建物全体でRC打ち放しを建築表現として使い、内外壁は力強く迫力がある。採光や空調、コンクリートのひび割れ防止などに配慮した工夫を施し、独創的な建物の構造設計をまとめ上げた技量が高い評価を得た。
極めて優れた作品を実現した構造設計者に贈る作品賞は該当がなかった。JSCA賞委員会の山田憲明委員長は、応募案件はいずれも一定レベルに達していたとした上で「作品賞は何らかの新規性が基準となり、極めて優れたものを選ぼうとした時に投票がばらけた」と語った。業績部門の業績賞も該当なしだった。
JSCA賞は技術の発展と建築の質的向上を目的に、建築構造の設計・監理で優れた成果を上げた建築構造技術者に贈る。今回は作品部門に13件の応募があり、前年度から持ち越しとなった1件を含む7件が現地審査の対象となった。業績部門の応募は3件だった。


source https://www.decn.co.jp/

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