鹿島はプレストレストコンクリート(PC)床版とCLT(直交集成板)パネルを活用した新たなユニット化工法「フライングボックス工法」を開発した。現場敷地内の屋内地上部でPC床版にCLTパネルの壁と天井を組み立て、内装まで仕上げた後に揚重して所定の位置に取り付ける。在来工法に比べて、天候の影響を受けないため計画的に安定した施工が可能。仕上材などの揚重回数を大幅に減らし、生産性向上につながる。実現場にも導入し有効性を確認した。
同工法はシンガポールで施工中のウッドレイ複合施設建設工事で採用したユニット化工法「PPVC工法」で得た知見を生かし、日本国内の基準や施工条件に沿ったCLTパネルを活用した。現場の地組ヤードにPC床版を設置し、プレカットされたCLTパネルを組み立てる。建具や設備機器設置などの内装仕上げ後、タワークレーンで揚重して所定の位置に設置する。ユニット間のPC床版の目地にモルタルを詰め、床版を圧着。PC床版と周辺躯体をコンクリート打設して一体化する。
同社は同工法を横浜市鶴見区に建設している(仮称)鶴見研修センター新築工事事務所に適用した。81居室のうち28室に採用する。CLTパネルの組み立ては、外装取り付けアシストマシン「マイティフェザー」を活用。重量のあるパネルの屋内組み立て作業を効率化した。タワークレーンの操作は、地上部からの遠隔操作を実現する「TawaRemo」を導入。オペレーターの作業環境と安全性を向上しつつ問題無く揚重できる。重量のあるユニットを自動的に水平な状態に調整するつり荷制御装置も活用。作業性の向上と揚重時の荷ブレを低減し安全に設置した。
木が持つリラックス効果で、利用者のウエルネス向上にも貢献する。今後、工法の改善、改良を進め、研修施設以外の用途建物に適用を拡大する。伊藤仁専務執行役員建築管理本部副本部長は「マンション、ホテル、病院にも適用できる。今回の導入を比較検証し、発注者にはウエルネスの観点から提案していきたい」と述べた。
source https://www.decn.co.jp/?p=143092
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