国土交通、農林水産両省は10月時点で技能労働者に支払われる賃金を調べる「公共事業労務費調査」の実施内容を公表した。昨年度と同じく書面調査を原則としつつ、来年度の本格導入を見据えオンライン調査を一部工事で試行。調査票の回収率や無効標本の棄却率の改善につなげ、賃金水準を正確に把握する。斉藤鉄夫国交相と建設業主要4団体が2022年の賃金上昇率の目標として「おおむね3%」の実現に取り組むことを申し合わせており、本年度調査はその成否を判断する最重要指標となる。
調査結果は公共工事の積算に用いる「設計労務単価」改定の基礎データとなる。両省や都道府県、政令市、独立行政法人が発注した1件当たり1000万円以上の工事から約1万件を抽出し、積算に用いる51職種ごとの賃金実態をまとめる。標本数が少ない38職種は9月分も調査する。
9月に入ってから約2万の調査対象業者に通知する。技能者数にして約11万人を想定。うちオンライン調査は地域ブロック単位などで構成する各地方連絡協議会で最低10工事を選定し計100工事以上で試行する。
コロナ禍以降は調査方法を対面から書面送付に切り替え、電話での聞き取りを組み合わせ運用。来年度以降は書面送付を廃止しオンラインシステムを用いた回答記入に変更する。システムは構築済みで、本年度はトライアルとして調査票の提出、管理、審査を円滑に行えるかどうか確かめる。
オンライン化でさまざまな手間や拘束時間が省かれ、一人親方などからの回収率アップが期待できる。システムは誤記入のチェック機能もあり書類不備の削減にもつながる。無効標本の棄却率は改善傾向だが昨年度で22・3%あった。
調査票も一部変更し、元請会社から技能者に直接支払われる手当の受け取り実態を把握する記入欄を新設。下請会社を通さない手当は賃金台帳に記載されないため別途確認する。建設キャリアアップシステム(CCUS)が浸透し、技能レベルに応じた手当支給の動きが広がっていることが背景にある。
source https://www.decn.co.jp/?p=144093
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