セメントメーカー各社によるセメント価格の追加引き上げが相次いでいる。27日にトクヤマが10月出荷分からの値上げを発表。住友大阪セメントも追加値上げする方針を固めた。UBE三菱セメントは10月出荷分からの追加値上げを発表済み。最大手の太平洋セメントは9月から石炭価格変動分を一部上乗せする。セメント需要の低迷と石炭価格の高騰に、円安が追い打ちを掛けている。「過去最悪の厳しい状況」(住友大阪セメントの諸橋央典社長)の打開へ価格転嫁を急ぐ。
価格改定の主な動きを見ると、昨年12月出荷分からトクヤマが、1月出荷分から太平洋セメントとUBE三菱セメント(当時は宇部三菱セメント)、デンカ、麻生セメントが引き上げ。住友大阪セメントは2月出荷分から値上げした。その後、ロシアによるウクライナ侵攻が発生。世界第3位の石炭輸出国であるロシアとの取引が難しくなる中、世界的な石炭価格の高騰がさらに進行。急速な円安も加わり、セメント製造コストが上昇している。
今月に入り、UBE三菱セメントが10月出荷分から1トン当たり3000円引き上げると発表。トクヤマは10月出荷分から同3300円以上の価格改定を目指し、商社らとの交渉に入る。
住友大阪セメントの諸橋社長は、日刊建設工業新聞社の取材に対し「自助努力できる範囲を超えている。近々に第2弾の値上げを発表する」と明らかにした。
セメント各社は、石炭価格を1トン当たり200~300ドル程度と見込んでいたが、現状は400ドルの水準に達している。「石炭の値上がりはまだまだ続く」(セメントメーカー広報)との見方も強い。太平洋セメントは石炭価格変動による影響のうち、一定割合の負担を顧客に求める「石炭価格サーチャージ制度」を9月に導入する。
セメントのさらなる値上げは、生コンクリート価格に影響を及ぼす可能性が高い。生コン協同組合では、今年に入り卸値を引き上げる動きが相次いでいる。生コン業界関係者からは「コストアップが先行し、価格転嫁が追いつかない。このままでは経営が持たない」と悲痛な声も上がる。出荷ベースによる契約への変更を目指す協組も出ている。
source https://www.decn.co.jp/?p=144814
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